ローズ 不治の病にかかり3歳で現役を引退
アリーナ記念に出走するため 急遽フェリーに乗り馬バスで
美浦のトレセンへ向かう天馬たち
「ローズごめんな無理させてほんとにこれが最後のレースだから
途中で何か問題があればその場で止まってもいいからな
無理するなよ レースなんてどうでもいい
ローズのことが一番大切だからな」
俺はローズを撫でながら詫びる
当のローズはなんで俺が謝るのか理解していないようだ
『パパ 飴頂戴 新発売のがいい』
「新発売の商品ね ブドウと美柑があるけど
どっちがいいかな」
『ブドウは、舌が紫になるから美柑がいい』
ブドウ飴は、果汁100パーセントなので
どうしても舌が紫になる
「ほい、口開けて 入れるよ~」
『あ~ん ウン 美味しいね 美柑』
運転席の佐々木さん達も俺たちを見て
少しはなごんでくれている
「しかし いつ見ても不思議ですね
人間と馬なんですけど
まるでほんとの親子ですよね」
「あそこまで分かり合えると
調教もやりやすいと天馬さん見てると
おもうよ」
美浦トレセンに到着
ローズのことを知る古馬のおばちゃんたちが寄ってくる
そこには現役G1馬のおじさんもいる
「あれローズちゃん どうして戻ってきたの?」
『あ、おばちゃんこんにちは、うんとね
中山のアリーナ記念に急遽出ることになっちゃって
それでパパときたの』
「また、人間どもの無理難題だな
秋華賞で激走したばかりの3歳牝馬がアリーナ記念なんか休養しないで
出られるはずがない どうせ客寄せパンダの扱いだろう」
「天馬がついていてローズに無理させるのか」
『おじちゃん パパを責めないでよ
パパは出たくなければ断っていいと
いってくれたけどローズがお願いしたの
最後だから走りたいと』
「オイ天馬 最後ってどうゆうことだ」
「確かにローズはまだ3歳ですけど
同じ牝馬よりも成長が早すぎるんですよ
3歳がピークであとは落ちるだけです
来年はおそらく出るレースすべて苦戦しますよ」
「なるほどな 俺は晩成タイプだからな
6歳でも今年のG1は勝ったな、
そのような明確な理由があればしょうがないな
すまんな天馬お前を責めて」
「いいですよ、それよりローズのこと気にかけて
くれてありがとうございます。」
「あたり前だろう こんないい子 めったにいないぞ
礼儀正しいし 誰にでも優しくできるやつなんか
このご時世そういない 馬の世界でもな」
「天馬、ローズのこと頼んだぞ」
「勿論です、死ぬまで俺が面倒見ますよ
そのための牧場も今建築中ですからね」
「牧場だとまだ若いのにどんな牧場だ」
「引退した競走馬を繋養する牧場です
勿論設備的には生産牧場として使えますよ」
「そうかそうかやはり天馬は普通の人間と
違うな見直したぞそれならワシもあと十年後に世話になりに行くからな」
そのようなことがありましていよいよアリーナ記念当日
エクセレントローズの出走が急遽決まり
鉄道車内に掲示する中吊りポスターのデザインも
エクセレントローズへ急遽変更された。
このポスターに使われているエクセレントローズの
画像を記録したのは、天馬だった
馬バスの中で飴をなめる仕草が可愛いいので
デジカメで記録した画像だが
DRAはポスターに採用した。
「このエクセレントローズポスター可愛いいわよね」
「そう言えばこの画像の絵ハガキ 競馬場の売店で買えるよ」
「そうなの~じゃあ帰りに買っていこうかな」
中山競馬場 深夜午前2時 既に開場待ちの行列は、
3万人を超えていた。
季節も冬ということで開門時間を急遽1時間ほど
はやめて開場した。
観客のお目当ては、エクセレントローズが走るアリーナ記念だが
開門と同時に場所取りに走る人とグッズの購入するため
売店へ走る人に分かれた
そして11R アリーナ記念 パドック
16頭の馬たちが、会話しながら歩いている
今年の出走馬は、外国からの招待馬は含まれていないので
全16頭すべて国内からの参戦だ。
その中で唯一の3歳牝馬のローズは大人気
「ローズちゃん アリーナ記念初めてだよね
お姉さんが攻略法伝授してあげようか?」
「それならアリーナ記念連覇の俺が丁寧に教えてあげるよ」
パドックはそんな感じで和んでいた。
~~時間は遡りお昼前のことです。~~~~
俺たちは今日この中山でローズの健康診断を
特別にしてもらった。
万が一のことがあるので、MRIとかCTで
骨折などの疑いがないかを念入りに検査した。
「エクセレントローズ号は体に問題ないです。
ただまあ心配なのは血液検査で疲れぎみの
値が出たことでしょうか まあ秋華賞から
の連闘ですからね 」
「DRAは、何を考えているのでしょうね
おっとこれはオフレコでお願いしますね」
「客寄せのためだけに競走馬に無理をさせるなんて
獣医の立場から言えば当然ながら出走を許可しませんよ
これでなんかあれば、誰が責任取るのやら」
「私も含め 獣医師全員で何かあれば全力で対応します。
何かなんてなければいいのですがね」
まあ、こんなことがありましたけどその責任取る
当事者たちは、もうすぐ出走時間なのに呑気にコーヒータイムです。
「しかし今回は疲れましたね」宣伝担当
「DRAに逆らう生意気な馬主のせいだよ
寒いのに2度も静内へ行かせられたからな
いい迷惑だぜ 偉そうに条件まで付けて何様だよ」営業担当
「それもこれも現役の競走馬に碌な馬がいないからだ
他に客寄せできる馬がいれば俺たちが頭下げることも
なかったのにどの馬も客寄せの役に立たない駄馬ばかり」宣伝担当
「でもいいんですかね 万が一エクセレントローズが怪我でもしたら
俺たち解雇ですよ 規定違反ですからね無理やり出走させるの」営業担当
「バレなきゃいいんだよ それにそう簡単に怪我なんてしないもんだよ」宣伝担当
休憩所のテレビモニターでレースを見てる2人に悲劇の結末が訪れるのは
この数分後のことです
パドックではいつものように天馬に甘えるローズの姿が
お客さんを和ませる
「エクセレントローズがなついている厩務員の人
いつも同じ人だよね、あれだけなつかれると大事にしてるよねきっと」
「ねえ、今の見た エクセレントローズがあの人の顔舐めたよ」
出走時間が迫り 騎手が騎乗する
「いつものことだけど ほんとお熱いわねあなたたち」
「焼いているのか 美鈴」
「見慣れているから 今更焼かないわよ」
「そんなことよりも 今日の作戦は、」
美鈴から作戦はと聞かれ
「ないよ 今回は ローズにも無理せず
のんびり走れといってあるしな
だから、お前もローズが走ろうとしたら
必ず止めろよ 怪我する前に」
「ローズもパパとの約束だぞ ほれ」
ローズの口の中へブドウ飴を入れる天馬
「あ~パパ 何入れるの ブドウは舌が紫に
なるから ダメといったのに~」
プンスカ怒る娘に天馬は
「じゃあ ローズ ブドウ飴いらないのか」
「むんむん いるよ~」
と口を開けるローズの舌は綺麗なムラサキ色でした。
スタートゲートに向かうローズは悩んでいた。
大好きなパパとの約束は守りたい
でも無敗も守りたい じゃあどうすればいいのかな~
パパには内緒にしてるけど正直後ろ足が痛い
秋華賞で痛めたみたい 無理すれば何とかなるけど
パパ,怒るよね ママも怒るかな
そんなことを考えながらゲートは開いた。
いつもの癖で機敏に反応したわたし褒めてね
おじちゃんとお姉さんたちは足が速い
ローズもおいていかれないように馬郡に加わる
パパも美鈴も順位は関係ないといった。
でもほんとにそれでいいのかな 後悔しない?
メインスタンド前を通過するとき ローズを応援する声が聞こえた
「ローズ頑張れ~ 目指せ頂点 」「古馬に負けるな~」
その声を聴いたとき 迷いは消えた
ローズ後悔したくない どうせ今年で引退なら
怖いものはない なら思いっきり 走るだけ
パパには謝る パパは優しいからきっと許してくれる
2コーナーを過ぎて 3コーナーを過ぎる時
『ここだ。』 頭の中のスイッチが入る
いきなり加速したローズを手綱を引き減速させようと
するが、ローズは指示に従わない
「天馬どうしよう ローズ走る気満々だよ~」
俺と佐々木さんは、モニターを見ていた。
「佐々木さん まずいです 美鈴の指示無視してます」
「ここで見ていても何もできんな 念のためコースの近くへ
行こうか」
俺と佐々木さんは、ゴールの先へ向かう
ちょうどそのころローズは先頭を捉えていた。
「お嬢ちゃん やる気だね いいよ その目
走るプロの目だよ 俺とタイマン勝負だ」
4コーナーをまわり最後の直線へ2頭並んで
中山名物の上り坂へ挑む
「この上り坂 お嬢ちゃんにはきついよ
どうせへばるから 無理するなよ」
「それは、ローズのセリフだよ
おじちゃんには負けないよ~」
ローズは勢いをつけるため 左足に重心をかけた瞬間
イタッ 足に激痛が走る
ゴールは目の前 諦めるもんか ローズ最後のレースを
負けて終わるんなて絶対にいやだ。
『パパに勝利をプレゼントするんだ~』
エクセレントローズ今ゴールイン!!
今年のアリーナ記念は、エクセレントローズが見事勝利しました。
2着のガンテツロードと鼻差ですが審議ランプは
点灯していませんこのまま確定になります。
ところが、エクセレントローズがウイニングランをしていないことに
観客が気が付き競馬場が騒然となる
1コーナーの手前で佐藤騎手がエクセレントローズから
降りて馬に声をかけている光景が目に入る
「ローズ大丈夫、どこが痛いの 直ぐに天馬呼ぶからね」
エクセレントローズは、左足を引きずり
何かを探すしぐさをする
天馬と佐々木は柵を乗り越えて獣医とともにローズのもとへ走る
「ローズどこが痛いんだ」
『パパ ごめんね 約束守れなかった
でもローズはこのレース勝ちたかったの』
「ローズは何も悪くないよ よく頑張った
偉いぞ 流石俺の娘だ」
撫でると 喜んでくれるローズだが、
足が痛いので顔がこわばる
我慢強いいい子だ
「それで、診察したいからどこが痛いか
教えてくれるかな」
『左後ろ足の膝からしたくらいかな ブチッとか変な音が聞こえたの』
「先生ここですね」
俺は、両手でローズが示した場所を獣医に教える
「わかりました。ここですね やはり随分腫れてます
相当痛いですよこれ 直ぐに医務室へ運びましょう」
獣医はDRAの係員に指示を出してローズを搬送
することにした。
運搬車が来るまで俺はローズに寄り添い
励ますことしかできない不甲斐ない自分を責めた
「そうだ、ローズ飴舐めるか?」
『うん、欲しい でもブドウは嫌』
俺は、ミカンの飴を口に入れる
「甘くて 美味しいね」
俺たちの周りには、アリーナ記念を走った馬たちも
心配そうに周りを囲んでいる
「天馬 ローズは治るか」
「心配しないで、必ず治るから
ただ、おそらく屈腱炎だから もうレースに出れないと思うよ」
俺も厩務員になるため医学書も読んだから
馬特有の病気もある程度わかる
俺が心配しないでいいというと馬たちは安心したのか
厩務員に連れられて戻っていった。
医務室では獣医がローズの診察している
俺と佐々木さんはただ見ているだけだが
ローズは俺がいるだけで安心できるようで
落ち着いている
「先生どうですか?」
「そうですね、X線、検査でも骨折ではないのが確認できたので
少しほっとしましたよ
ただ、天馬さんもお分かりのようですが、
腱の一部が断裂して腫れてますよね、これが通称エビです
場所的に浅屈腱で病名は屈腱炎です。」
「競走馬にとって不治の病として有名ですね
治療には超音波治療とレーザー治療と患部の冷却する
方法がとられますが、この病気は再発の恐れがありますから
競走馬がこの病にかかるとほとんどが引退します。」
DRAにはこのまま獣医から報告が行く
場内の観客にもアナウンスされることになる
エクセレントローズが不治の病で引退すると
聞かされた観客たちからは
「DRAに無理やり出走させられたからだ」
「可哀そうだな エクセレントローズ
もう あの愛らしい姿を見ることが出来ないなんて」
泣き叫ぶ 小さな子供もいた。
この件での被害者であるお義父さんはDRAへ
謝罪と賠償を求めた 当然のことである
エクセレントローズの出走に関して
規定違反の行いをした2人に対して審問したが
否認したので佐藤はスマホに録音した音声を証拠として
提出 観念した二人は真実を話した。
2人は当然 DRAを懲戒解雇された。
規定で違反とかはフィクションです
出走に関しては、どのようになっているのか
わかりませんのでご了承ください




