メリーローズの引退レース 繁殖牝馬に私なります。
すいません フィクションだからと温かい目で見てください
ウイナーズサークルでの会話の続きです。
(天馬私の側へ来て)
俺はメリーさんに呼ばれて顔の近くにきたところ
不意を突かれて顔をぺろりと舐められる
俺は驚いてなめられた顔を手で押さえる
(私にキスされるのお嫌でしたか?)
「とんでもないです ご褒美ですよ」
(よかった。 それでですね本題なんですけど)
そういえばまだ頼みごとが何なのか聞いていないな
繁殖牝馬になるなら当然種牡馬のことだよな
それなら
「メリーさんの意中の牡馬は誰ですか?
まあ聞かなくても大体わかりますけどね」
(え、へへへ 余り言いたくないのですが
どうしようかな? でも聞かなくてもわかるですか?
一度いってみてくださいよ まあ嘘でしょうけど)
「メリーさん まあ可愛いいから許しますけど
貴方の意中の牡馬は、ズバリ
昨年引退した、プラチナシップさんですよね」
(え、ええどうしてわかるの)
メリーさんわかりやすいですよ
今もシッポ ブルンブルンしてます
「メリーさんとプラチナさん同じレースで
何度か出走していますよね
着順もプラチナさんが1着でメリーさんが2着ですよね
俺全部馬券購入しましたので間違いないです」
「それに同じレースに出る時のメリーさん
視線の先がいつもプラチナさんに釘付けなんです
おそらくシルバーさんにもストロベリーさんにもばれてます。」
(まさか、プラチナさんにも気づかれているかしら
変な牝馬だと思われていなければいいのだけど)
「見た感じは、悪い印象は持たれていないはずです
どちらかと言えば称賛されていたようですね
牝馬のくせに勝ち負けは僅差でしたからね」
(そうなの、それならいいんだけど
私種付け断られたら死んじゃうかもしれない
その時は天馬が慰めてね)
「お任せください」
天馬はメリーの首筋を優しく撫でる
メリーローズは初対面なのに天馬には甘えている
そんな二人【人と馬】の会話を不思議そうに見ている佐藤がいた
調教師の佐々木も興味心身のようだ。
「彼とは是非話がしてみたい 後で控室へ連れてきなさい」
「わかりました。お連れしますよ」
佐藤が控室へ戻る後姿を見たあと振り返る佐々木の目には
今でも仲良く人と馬が会話している光景がある
「冗談ならすぐに冷めてほしいな」
メリーも厩舎へ戻ることとなり天馬はどうしようかと悩む
佐藤さんと話がしたいけどどう切り出せばいいのやら
天馬が思案しているとそこへ
「天馬君 ちょっといいかな?」
振り返ると声をかけてきたのは調教師の佐々木さんだった。
「馬主の佐藤さんが君に話があるそうだから
私のあとについてきてくれないかな」
これはチャンスだ。
「はい、構いませんよ」
競馬場の中を佐々木さんのすぐ後ろを歩く天馬
「天馬君は、今までに馬の世話をしたことがあるのかな?
君の家が牧場を営んでいるとかでもいいけど」
「ないですね、父も普通のサラリーマンですから
でも小さいころから競馬場には連れていかれてましたけど」
なんと世話した経験もないのに馬とあれほど打ち解ける
ものだろうかポニーとか大人しい性格の馬なら
可能かもしれないが競走馬は気性が激しいのが多いからな
俺は父親が厩務員だったから子供のころから慣れてたおかげで
サラブレッドの世話もできるようになったけど
初心者でも可能なことなのだろうか
何だか自信を失うな
「天馬君が今無職ならぜとも牧場へ来てもらいたいのだがな
佐藤牧場へくれば毎日メリーにも会えるぞ」
「ほんとですか? DRAの入社試験に落ちて今は無職です
メリーの世話ができるならそれもいいかもしれません
少し考えさせてください 前向きに検討しますので」
「そうか、焦らなくてもいいから良い返事を期待してる」
佐々木さんのお誘いも嬉しいけど気になる言葉は
毎日メリーに会えるといっていたけど
それじゃあ乗馬クラブの話は最初からないのかな
まあ、これから佐藤さんに会えるから直接聞いてみよう
それから種付けのお願いだな
しばらく歩き到着したのが馬主専用控室の前
さすが佐藤さん牧場経営者としても優秀な事業者だからな
トントン
「佐々木です天翔さんをお連れしました。」
「おお、入ってくれ」
俺と佐々木さん二人部屋の中へ入ると人がいた。
この人は手綱引いていた厩務員の人だね
俺はまずは今日のお礼を言うことにした。
頭を下げてお辞儀をする
「今日はご無理を言いすみませんでした
メリーローズの引退レースと聞いていたものですから
ファンとして記念にしたかったのでありがとうございました。」
「天馬君 頭を上げてくれ気にしなくてもいいよ
余興として観客にも喜んでもらえたからね
DRAからも感謝されたよ」
「それよりもだ。 天馬君今日のレースがメリーの引退レースだと
誰に聞いたのかね?
確かまだ報道はされていないはずだし 牧場のみんなにも
口止めしたよな 佐々木」
「はい、マスコミには今日のレース後に正式に発表する予定でした
万が一のこともありますからね」
※ 競走馬にはつきもの事故や怪我などで予後不良となる場合があるため
まあ、しょうがないよな 種付けの話をするのに
言わないわけにもいかないし
「佐藤さんこれからお話することは内密でお願いします
佐々木さんと厩務員のかたもよろしいですか?」
3人ともが一応頷いてくれた
「これからお話するのは冗談のように聞こえますが
紛れもない事実です。」
「引退レースのことは、メリー本人と出走馬のシルバーさんとスマイル
さんに聞きましたが聞いたときにまず私が驚きました
今日初めて聞きましたからね」
「え、君 冗談だろ 馬と会話ができるだと
もしほんとならそれは競馬関係者全員の夢だぞ」
「会話といっても声に出すわけではないのです。
頭に響いてくるような念話みたいなものです
彼女たちも仲間と同じように念話で会話しているのです。」
3人はポカ~ンとしているが紛れもない事実だ
「佐藤さんそこでお聞きしますけど引退の話は
事実なんですね?」
「そうだ、引退して来年は乗馬クラブへ引き渡す
予定だったよ 今日のレース前まではね」
佐藤さんは少し落ち着いたのか
椅子に腰かけて コーヒーを一口飲む
「メリーは今日のレースで勝ちこれでG1 2勝目だ
2冠馬を乗馬クラブへ引き渡す無能な馬主はいないよ
当然来年からは生産牧場で繁殖生活だよ」
「そうですか、よかった これで彼女の望みは一つ叶ったんだ」
「彼女の望みとは何だね?」
「はい、今日のレースで勝てば繁殖牝馬になれるから
メリーさんにG1勝利をプレゼントしようと
彼女たち仲間が仕組んでくれました。
まあ、これはオフレコでお願いします。」
「なんと、今日のレースは出走馬が仕組んだレースだと
それで最後の演出があんなに派手になったんだな」
まあ、あの花道は人間が考える演出そのものだけど
馬が仕組むと八百長じゃないよね
「それじゃあ 今行われているレースはすべて
競走馬が自分たちで行動しているのか?
誰が1着で誰がビリだと決めるのか馬が信じられん」
「佐藤さんご安心ください すべてじゃないです
ほとんどのレースは競走馬のガチンコレースです
ごくたまに私情が絡むようですが
普段のレースは騎手の指示に従うようですね」
馬が仕組んだレースと聞かされ涙目の佐々木さん
「天馬君 私たち調教師の役目は無駄なことなのか?」
「厩務員の仕事も無駄なことか」
佐々木さんと厩務員さんが俺を責めるが
「まあ、競走馬の中には適正馬場とか距離適性に関して不満が
あるのは事実ですね たまにパドックでぼやいてますから」
「そうか、無駄じゃないなら少しは救われるけど
適性判断の間違いは、どうしようもないかな
俺たちでもあとから後悔することもあるからな」
「でも天馬君がいれば馬に直接聞けるんだよね
佐藤さん直ぐに天馬君、家で雇用しましょう
凄い人材です、競馬界の救世主です。」
「佐々木 それはまずい バレたら後が怖い
他の馬主もDRAも黙っていないだろうしな
競馬関係者がみんな平等にならないと損得でイザコザが起きる」
「この件は暫く内密にしておこう
天馬君も公表はしないでくれ
近いうちにDRAへ私が説明してみるから
それでもすべて話せる内容ではないがな」
皆さん 平静を装うが内心は凄く動揺しているようだ
「それでは、この件は置いといて
私の話を聞いてください
メリーからの二つ目のお願いです」
「二つめか? 今の話で驚きすぎて何が来ても
慌てないと思いたいのだが、
一つ目は繁殖牝馬になることだったな」
「そうですね、その件は問題がないようなので
二つ目ですね、唐突ですが佐藤さんプラチナシップのシンジケートは
何口保有されてますか?」
「あの優秀でも問題馬のプラチナシップか
当然高額だったが、種馬として魅力の良血馬だからな
2口は確保しているよ余勢株も話がついている
まさか、メリーの種付け相手がプラチナシップなのか?」
「そのようですね、デビュー当初から繫殖牝馬になったら
種付けされたいと考えていたそうです。
一途でいいじゃないですか?」
繁殖牝馬が種付け相手を指名するのか
「来年からの種付けも相手として問題ないがプラチナシップは
メリーのことどう思っているのかな
片思いなのか?」
「やはり気になりますよね 私も凄く気になるので
繋養先の伊藤牧場へ直接聞きに行こうと考えています
メリーも返事を聞きたいといってましたからね
佐藤さんアポと紹介状をお願いできますか?」
「そうだな、メリーの希望でもあるし
シンジケートの話でもあるからできれば両想いの
産駒が生まれてほしいからな
天馬君頼めるかな」
「お任せください 明日でも行きますよ」
プラチナシップが種牡馬として繋養されている
牧場へ行けるのは凄く楽しみだ。