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明日のスターを探せ。4歳牝馬の再就職を応援します

後がない8月の未勝利戦です。


相良三郎は中央競馬未勝利を理由に引退し悲運な運命をたどる

馬たちを1頭でも救える環境を日夜模索していた。


第一弾として競り落とされず売れ残った1歳馬を受け入れタレントとして

売り込みに成功し2頭とも馬の国でのんびり生活も確約された。現在

2頭は忙しそうにホースパークで来場者に愛想を振りまいている


映画がヒットしたおかげで配給会社と契約を結びホースパーク内で

関連商品の販売とイベントで毎日出番があるため今は他での仕事は休止中

三郎は次のタレント候補の情報を集めていた。


「こんどは9月までに1勝も出来なかった馬を救済したいな」


競走馬は未勝利のまま4歳を迎えると基本的には引退し別の道を探すことになる

地方へいくか乗馬クラブへ行くか牝馬なら優秀な血脈なら繫殖牝馬への道もある

それ以外の競走馬は何処へ行くのだろうか?


三郎は6月くらいから全国の競馬場を巡りタレントに向いていそうな

競走馬を探していた。


6月と言えば2歳の新馬戦も始まり3歳未勝利のレースも

徐々に減っていく時期でもある


毎回未勝利戦でも3着以内に入る優秀な馬なら格上のレースに挑む猛者もいるが

未勝利戦を2週間前後の短い間隔で出走を繰り返す馬が多くなるのが普通だ

過酷になるが1勝するか未勝利で終わるかで雲泥の差があると関係者は皆知っている


未勝利のまま4歳になりトレセンから出ていく競走馬は

いったい何処へ行くのだろう 馬運車を見送る調教師と厩務員たちの胸中は

如何なものだろう


「いや いかんな考えがネガティブになっている

 いくら俺が馬の神様の使徒でもできることとできないことがある」


「引退する馬をすべて天翔牧場で繋養するのは物理的に不可能

 天翔天馬さんでも出来なかったことだからな」


8月下旬 札幌競馬開催日 


メインレースG2札幌記念が行われる当日三郎は朝から

3歳未勝利戦に出走する馬たちをパドックで見ていた。


パドックを優雅に周回する馬たちは皆綺麗だ

気温は午前中でもあるため25度くらいだろうか

昔のことを考えたら涼しく感じるし馬たちも元気そうだ

そんななか三郎の目に1頭の牝馬が目に留まる


名前はシュティングメロン綺麗な尾花栗毛の牝馬だった。

戦績は7戦して最高順位は、新馬戦での4着だった。

今日のレースは今のところ3番人気だった。

三郎はメロンさんに話しかけてみた 【見た目がタレント向きだから】


「ねえ メロンさん」


突然念話を受けてキョロキョロと周りを見回す

メロンさんの視線の先に一人の男性が目に映る


「え、私ですか?でもあなた人間ですよね

 どうして念話で話が出来るのですか?」


三郎はかいつまんで自分が使徒であると説明し

今はスカウト活動してるとメロンさんに話した


「え、タレント活動ですか? 実は私走るより

 人族の方と遊んだりするほうが性に合ってると前から

 思っていたんです。是非私をスカウトしてください」


随分とフレンドリーなお馬さんでした。

人懐こいのはいいことですよ

レースの順位は惜しくも首差の2着


その後のレースが終わると三郎はメロンさんの馬主の元へ出向いた

ちょうど3歳での最後のレースということもあり

競馬場内にいるそうでアポが取れたからだ


シュティングメロンの馬主は夕張メロン農家の方でした。


「どうも初めましてわたくし天翔牧場代表補佐

 をしています相良三郎と言います。

 どうぞよろしくお願いいたします。」


名刺を受け取った馬主の石田さん


「あの有名な天翔牧場の方でしたか」


いやまあそれから世間話が始まりましたよ

優秀な馬が欲しいけど天翔牧場の産駒は競りでも

高額になるから弱小馬主では落札できないと愚痴をこぼされた。


メロンさんは血脈もあまり良くなかったので

意外と安く競り落とせれたらしい


「それで相良さんはメロンを譲って欲しいと...

 まあ正直これからどうしようかと悩んでいましたからね

 いいですよこちらとしても天翔牧場の方とご縁ができるのなら

 喜んでお譲りしましょう」


「石田さん ありがとうございます。

 メロンは天翔牧場で大事にタレントに育てます」


「タレント活動ですか 今は引退馬にも選択肢は

 増えたのですね 喜ばしいことです」


その場で仮契約をしてメロンは馬運車で天翔牧場へ輸送されることになる


馬バスで輸送されるメロンを見送る調教師と厩務員の

胸中は複雑だろう


「まあ、笑顔だし重圧も感じていたんだろうな」


快適な馬バスの中のメロンちゃん


「三郎さん この馬バスいいですね 綺麗だし

 なんといっても涼しいところ最高です」


三郎はメロンちゃんの頭を撫でながら

彼女をどうやって売り込むか考えていた。





どんなタレント活動するのかな

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