君こそ未来のスターホースだ。
毎年7月に天翔ホースパークで行われるDRA主催のセレクトセール数日前
三郎は上場される1歳馬の馬房を周りリサーチしていた。
今回の対象は走れる馬ではなく見た目と性格重視である
今年の天翔牧場産駒にはダービーを勝てる優秀な馬はいたが
スターになれる逸材はいなかった。なのでセレクトセールにて
１期生をスカウトに来たのだ。
今年上場される1歳馬は、牡馬が１３０頭で牝馬が９０頭
そのほとんどは無事に落札されるがそれでも落札されない
可哀想な馬も当然いるがその馬は2歳まで育てられ売れるのを待つか
別の運命が待っている
デビューしてレースで勝てるかなんて1歳馬の段階で
わかるわけがありませんよね
それでも入札の参考になるのが父と母の血筋なんですよ
大手の牧場なら優秀な繫殖牝馬がいて
資金もあるから○千万超える種付けも出来ますが小規模の牧場では
難しく○○万円以下の安い種付けしかできないとこもあります。
※ただし高額落札の馬だからと必ず活躍できるわけでなく
取引価格が安くてもＧ１を複数勝つ馬もいますので
ほんとギャンブルですよ
三郎が購入する馬は走るのは二の次でまずは見た目で選ぶことにした。
今年はとりあえず牝馬を優先的に購入する予定だった
「おお、いい馬がいるな 葦毛か血筋もいいが
でもおそらく高額で落札されるだろう」
「プラチナシップの子孫だから億は超える
うちの牧場の所有馬は全て優秀な競走馬だからな
今回は安く落札しないといけないし」
「おお、可愛くて白毛の牝馬もいるな 今は昔ほど白毛も貴重でもないし
お手頃なら落札してもいいが母方の祖先は．．．だめだ
ミソラちゃんだよ これも億を超える」
三郎は白毛の牝馬に声をかける
「可愛くて綺麗な白毛の仔馬ちゃん 頑張ってね」
念話で話しかけられ驚く牝馬
「え、お兄さんお話できるんだ」
「まあね お兄さんこう見えて馬の神様の使徒だからね
それと君のお母さんのおばあちゃんはうちの牧場で
生まれたんだよ 君もおばあちゃんに似て綺麗だよ」
「お兄さん、使徒様だったんだ お兄さんが私を購入してくれるの
それならお話しできていいんだけどな」
残念ながら無理です
「ごめんね 君は高額で落札されちゃうから
お兄さん 購入出来そうもないんだよ．．．引退後うちへ来る？」
何年先のことやら
でも使徒である三郎には何となく彼女が天翔牧場の繫殖牝馬になる
未来が予想できた
「うん お兄さんの牧場へ行くよ」
三郎は優しく頭を撫でて
「それじゃあ 頑張っていい成績残してね
お兄さん 迎えに行くから」
「うん 頑張る」
※この牝馬はデビュー後Ｇ１レースを５勝して三郎は約束を守り
天翔牧場で繋養馬として余生を過ごすことになりますが
まあこれは別のお話です。
三郎はこの後も馬房を周り情報を集め当日
２頭の牝馬を落札することが出来た。
後日天翔牧場に新たに新設された厩舎の馬房には２頭の新馬が配属された。
白毛のシラユキと青鹿毛のミゾレと命名された馬たちの馬房の前には
三郎と玲奈がいる
※２頭とも綺麗な毛色と温厚な性格でアイドルの素質ありと三郎談
「へえ、２頭とも低予算で落札した馬にしてはいい馬ね」
「２頭とも 可愛いいだろ 間違いなく天下をとれる逸材だ」
※二人の会話は念話でないので馬には聞こえてない
「それでこれからどうするの？」
「そうだな まず育成牧場で普通に馴致するよ
そうしないとアイドルとして活動できないし
動物園の見世物じゃなく歌って踊れるアイドルにしないとね」
「へえ、抜かりはないようね それでもし競走馬として
適性があればデビューさせるのかしら」
難しい顔をする三郎
「いや、最初の挑戦だからね そんな中途半端なことはしない
ただ、仕事で競馬場のターフは走ることもあるだろうから
そのための調教だよ」」
三郎としては調教をすませ最初の売り込み先にはDRAを
考えていた。
競馬場では誘導馬の仕事以外にファンと触れ合うイベントがあり
そのお仕事を手助けするためだ
ここから念話です
馬房から２頭が頭をだし三郎と玲奈を見つめている
「ねえ ミゾレちゃん 使徒様だよ」
「そうですね それで私たちこれから何をするのでしょうかね」
三郎が２頭の頭を撫でて
「あんまり緊張しなくてもいいぞ 今日からお前たちには
アイドルになるための訓練をする だが安心しろ
お前たちには俺がついている 」
「俺がシラユキとミゾレをりっぱなアイドルにしてみせる」
アイドルの意味がわからない２頭だが使徒様の命令だ
「はい、コーチ よろしくお願いします。」
馴致後はDRAへ売り込みに行きますが果たして仕事はもらえるのか
