安奈編 安奈獣医師資格を取得
このお話で安奈が大学卒業して獣医師資格取得します
天翔ホースパークに今年度から就職した将来有望な若者がいる
その人物の名は川田翔平 安奈の幼なじみで学生の頃告白した勇者だ
フランスでの修行を終え春からホースパーク内のレストランで働くことになる
天翔ホースパークの休園日は毎年4月1日から4月9日なので
レストランで翔平の料理が食べれるのは10日からだ
※ほぼ年間通して休みがないのでこの期間で本格的な修繕と改修を行う
すでにパーク内の社員寮に住んでいるので女性従業員の皆様興味深々のご様子
「イケメンシェフがきた」
「三つ星レストランで修行した優秀なシェフでなんと
料理長の御子息だそうよ」
「わたしの好みのタイプだわ 彼女いるのかな?」
「噂だとフランスで何人ものパリジェンヌからの
誘いを断ったみたいよ 日本に好きな女性がいるからと」
「え~そうなんだ まあ あのルックスなら
いるよね誰だろ 地元の子かな
同級生とか?」
「同級生? それなら安奈さんかな
安奈さんと翔平さんなら ベストカップルね
美男美女だし」
「ライバルが安奈さんなら不戦敗確定だわ」
まあ、こんな感じで噂にはなってます
安奈も今年も最後の研修でホースパークへ毎日通っているので
当然翔平とも既に面会を終えていた。
いよいよ来年2月に獣医師免許取得の試験が行われる
それと天翔牧場の繫殖牝馬が増えました
怪我も治癒して今年から晴れて繫殖牝馬として活躍が始まる
その牝馬の名はホワイトノエルちゃん
今のところ産駒はすべて馬主の加藤さんの所有馬になる
ショコラとエクレアとも仲もよく毎日ストレスなく暮らせているようだ
話を戻そう
安奈と穂香の卒業まであとわずか1年あまり
研修期間を終えて来年2月に試験が行われる
安奈と穂香のホースパークでの業務は朝馬房を周り馬たちの健康管理
から1日の仕事が始まる
「ねえ、安奈 ホースパークの馬たちの死因はほぼ
寿命による老衰なんだね それだけパークの獣医師が優秀だという
証明なのかな?」
※正確には和馬が存命中のデータが元で安奈が12歳で使徒になってから
は病気や怪我で亡くなる繋養馬はいません
「日頃の健康管理の賜物だよ 毎日欠かさず馬と向き合っていれば
いつもと状態が違うのも正確に把握できるから
穂香ちょっとまってて この馬房の馬の様子がおかしいから」
安奈は馬房の扉を開けて中に入っていき何やら
馬と会話してるようにもみえる
暫くすると馬を優しく撫でて片手をあげて馬房から
出てくる安奈とお辞儀をし見送る馬の姿
「どうだった 安奈」
「ん~昨日から胃腸の具合が悪いらしい
疝痛の疑いはないから安心だけど
念のため母さんに言って薬処方してもらうよ」
穂香驚く
「いやいや 確かに飼い葉残したり糞尿で
健康チェックできるけど なんかまるで
馬から直接問診したような状況把握だよね
それに前から感じてたけどここの馬たち安奈を見ると
会釈するのはなぜなのかな?」
鋭い穂香の指摘で慌てて誤魔化す安奈
「いや~なんかね なんとなくわかるだけだから
気にしないで 母にも再度診察頼むから」
その後 明菜が来て安奈と同じ判断をしくすりが処方された
やっぱり日頃の健康管理は馬も人も大切です
病気も早期での発見で完全治癒できますから
まあそんな安奈だが明菜と競馬場へアラートで出向いた際
自分の無力さに落ち込んだこともありました
あれは福島競馬開催日 明菜の担当エリアではありませんが
DRAのミスで明菜にアラートが送られた
競馬場へ到着すると事務員から謝罪されたが
一応医務室へ顔を出すことにした
「もうすでに安楽死処置されたのだろうか?」
メールでは障害3歳以上オープンレースで転倒落馬事故
第二頸椎骨折と診察されたと明記されていた
事故直後の痙攣状態で医務室へ搬送された
通例なら治癒の見込みなしで安楽死処置されるが
まだ心肺停止していないため
馬主の承諾がもらえていなかった
【馬名ジャンパースカイ7歳 15戦10勝 JPN G15勝
主な勝利は中山大障害 春と秋】
医務室へ到着した明菜へ不手際を詫びる獣医
明菜への説明ではこれから安楽死処置をするとのこと
それでしたらここに研修医もおりますので
診察させてくださいと許可を取り
安奈はスカイの元へ
僅かに息があるものの意識がない状態だが
まだ死んでいないなら馬の神様は来ていないと
安奈は念話で問いかけた
「スカイさん 聞こえますか?」
「その声 馬の神様ですか?
いよいよお迎えが来たようだ
まあG1も勝てたし悔いはない」
「スカイさん わたしは神様の使徒の安奈と言います。」
「使徒様に看取られるなんて俺は幸せですよ
昨日の夜 神様にお会いして覚悟はしてました」
「スカイさん 私も獣医師目指してますが
わたしではもう治療することができません
ほんとに申し訳ありません」
「使徒様 謝らないでください
誰も恨んでいませんよ 柵を飛び越え着地をミスしたのは
騎手ではなく俺なんですから まさか頭から落ちるなんて
ドジなんですよ 笑ってください それよりも最後に
よくやったと褒めてくださいよ それだけで成仏できそうだ」
「わかりました」 【スカイよく頑張りましたね りっぱです】
安奈は優しくスカイを撫でた
その直後 スカイの瞼が開き 安奈を見て 小さくいなないた
そしてスカイの心肺は完全に停止息絶えた
安奈はスカイに寄り添い冥福をお祈りする
『安奈さん ありがとうございます。
スカイさんも幸せものです
伝言ですが馬の国でまた会いましょうとのことです』
「神さま スカイさんの事よろしくお願いします。」
明菜が安奈の肩に手を置き
「安奈 あとの処置は獣医さんにお任せして
帰りましょう」
安奈はうなずきヘリで牧場へ
回想終了
「ねえ 穂香 獣医師資格の試験頑張ろうね」
「安奈 突然どうしたの 勿論頑張るわよ」
翌年の2月試験に臨んだ二人は無事合格通知を手にした。
そうしてもう一つの懸案事項である
翔平の告白のリベンジだが
翔平ではなく安奈が呼び出した。
「翔平 長いこと返事を保留にしてごめんなさい
返事は既に以前から決まっていたんだけど
わたしは親の跡を継いで天翔牧場の代表になりました
それで翔平には悪いのだけどわたしのお婿さんに
なってほしいの無理なら諦めるわ」
川田家には翔平以外に2つ年上の兄がいる
「なんだ そんなことか それなら中学の時から
両親の許可はもらっている
安心してお婿さんにしてもらえとな
だから安奈 俺と結婚してくれないか?」
安奈が気にしていたのは苗字が変わることだったようで
安奈も子供のころから結婚するなら相手は翔平と決めていたのです
「勿論 喜んであなたの妻になります」
安奈は涙をうかべ翔平の胸にとびこみました。
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オマケエピソード
安奈と翔平は婚約をし今は天翔牧場の母屋で同居生活をしている
まあ、母屋も広いし当然明菜も麗華もいっしょに暮している
ホースパークの休園日は4月1日から9日なので定休日はありませんから
普段は交代制で休日を取ります。
たまたま同じ日に休みを取ったそんな朝
「ねえ、翔平今日の約束覚えているわよね」
「勿論だ 式場の下見と打ち合わせだろ
それで札幌までどうやって行くんだ
車か電車か?」
NRを使うなら苫小牧から特急に乗るか
南千歳まで車で行きそこからエアポート急行に乗るのが
定番だが
安奈を見ると安奈がヘリポートを指さして
「今日はあれでいくよ ついでがあるから」
「あれでいくのか? まあいいけど俺初めてだよ
ヘリに乗るの」
二人仲良く連れ立ってヘリポートへ
そこにはヘリが大人しく佇んでいるが
操縦士の姿がない
翔平は自分が乗るなら後部座席だと扉を開けるとそこには
本来は操縦士の栗原さんがいた。
栗原は安奈に対し
「安奈さん 点検終了してます いつでも飛べますよ」
「栗原さん ありがとうございます。
それと翔平 あなたの座席はこっちよ」
安奈が指さしたのは前席の左側の座席
※航空機は普通は機長席は左側ですがヘリの場合は右側です
「それでわたしはここに座ります。」
「ちょ 安奈 お前そこ操縦席だろ
いいのかそんなとこ座って怒られるぞ」
翔平は後部座席に座る栗原を見て頭を下げ
「すいません 栗原さん すぐどかせますから」
「川田さん 構いませんよ 今日の機長は安奈さんで
わたしは整備士として乗務してますので」
「え、嘘だろ 安奈 お前操縦できるのか?
いつ資格取ったんだ」
安奈はバックからパイロットのライセンスを翔平に見せ
エッヘンと自慢する
「資格取ったのは大学1年の頃かな
3年からだと研修で時間取れないから
意外と簡単だったよ 栗原さんや神田さんに
指導してもらったしね」
「安奈さんは筋がいいですよ 現役で自衛隊入隊しても
ヘリのパイロットになれます。」
呆れる 翔平は
「で、安奈 このこと知ってるのは誰だ?」
「そうだね 梓と健太にはいってないよ
穂香はもう大学時代からよく乗ってるけど」
「それでなんでお前が操縦士の資格取ったんだ
専属のパイロットなら神田さんと栗原さんがいるだろ」
「まあ、いろいろ理由もあるけど
わたしね ヘリで牧場へ往診に行きたいの
今はまだ航空法の問題がクリアできてないから
無理だけど...車だと手遅れになるから」
手遅れになると言われ
「そうか わかった 安奈の好きにしろ」
「ありがとう 翔平 もうね ヘリも新しいの注文したし
わたしの専用機で名前はショコラだよ」
「もう、名前までつけてるし もう購入したのか?
ちなみいくらした」
「山崎の伯父さまが婚約祝いだと安くしてくれたの
中型ヘリなんだけど1億円だったの
お値打ち価格でしょ 本来20億くらいするそうだから」
「1億とか20億とか庶民の俺の感覚では
それが安いのかわからんな
専門家の意見を聞いてみよう
どうなんでしょう栗原さん」
「安奈さん ヘリの型式番号わかりますか?」
「あ~わかりますよ たしかYMZH099...
です、試作機なんで安くしてくれました。」
栗原はスマホを取りだし調べた
「安奈さん 1億ならお買い得でしたね
たしか神田がテストパイロットとして
開発に参加してましたよ 残念だけど自衛隊で採用されず
選定されなかったって悔しそうに愚痴をこぼしてました」
「購入されたのでしたらあいつにも操縦させてやってください
喜ぶと思うので」
「そうですか わかりました それじゃあ 丘珠まで
行きましょう」
こうして安奈の操縦で丘珠までの遊覧飛行をした
翔平の感想はどうだったのでしょうか?
いよいよ次回からは安奈の獣医師としての日常のお話へ進みます
安奈はこの先神さまの使徒として馬たちとどう向き合うのでしょう
自家用ヘリを往診で使用できるのでしょうか?