安奈編 キャンパスライフ
穂香との出会いです。
穂香との出会いは高校1年生の時
クラスの友人と学食でランチ中に安奈の所へ女子生徒がきた
「歓談中にごめんなさいね あなた相良安奈さんで
間違いないかな?」
「はい、私が相楽安奈ですが何か?」
安奈は立ちあがり女子生徒と対面すると
女子生徒が感極まり安奈に抱き着き泣き出した。
驚く安奈とその友人
「相楽安奈さん..貴女のおかげでお母さんの命が助かったの
ありがとう...心から感謝してます。」
泣きながらしゃべるため声が聴きずらいが
安奈に感謝しているらしいのはわかる
安奈優しく背中を撫でなだめ
「とりあえず向こうで話しましょうか?」
安奈と女子生徒は中庭のベンチに座る
ベンチへ座るころには多少落ち着いたのか泣き止んでいた
「それであなたのお名前は?」
「あ、すいません わたしは1Bの三井穂香といいます」
「はい、三井穂香さんね それで理由を聞こうかしら
私はあなたのお母様と面識はないのだけど?
どこかでお会いしたのかしら」
穂香は話し始めた経緯を
「あれは私が中学2年の時です。自宅近くの路上で母が
交通事故に遭いました。知人が呼びに来て父も現場へ
駆けつけました 父は自宅で内科医院を経営しています」
「それで救急車が現場へ到着しましたが母の怪我がひどく
近くの病院では治療は難しいと判断した父親の進言で
救急隊員の人が無線でミソラ号を要請したそうです」
ドクターヘリミソラ号出撃です。
「すぐさま札幌の大学病院へ搬送された母は、手術室へ運ばれ
緊急手術が行われました。あと30分遅ければ
命は助からなかったとお医者さんから聞きました
だからミソラ号を所有している天翔牧場さんのおかげなんです」
また穂香は感極まり泣き出した
それを見て安奈が穂香を抱きしめ優しく頭を撫でた
まあ、こんな感じで安奈と穂香は運命の出会いをしました。
それ以降安奈と穂香は友人として絆を深めていきました
穂香は最初は医大への進学を考えていたが
医院は兄が継いでくれるため穂香は安奈と同じ獣医を目指せる
ことになり安奈とは何でも話せる親友へと進化しました
それから長い休みがあると天翔牧場で獣医の勉強も兼ねて
厩務員のバイトをする間に将来ここで働きたいと
安奈へ頼んだのでした。
同じ大学へ通うことになった二人ですが
穂香の自宅は苫小牧市内で通学はできるけど
時間を有効活用するため穂香は学生寮からの通学になります。
※今だと苫小牧から特急でいくと札幌まで1時間くらいで
行けますただし1時間に普通と特急が1本ずつしかないので
乗り遅れると悲惨です。南千歳までいければ
エアポート快速がたくさんあります。
そして大学へ入学した二人はこれから6年間大学へ通い
【そのうち2年間は研修期間】
毎年2月に行われる国家試験に挑みます
試験会場は北海道、東京、福岡で行われます。
牧場ではエクレアの初めての種付けが行われた
お相手はお姉さんから大人気のラプター君です。
ラプター君の産駒には既に重賞勝ちの馬もいますので
活躍に期待しましょう
大学キャンパスの広大な敷地内に付属の大学病院がありました
ヘリポートがあるのは大学病院なのでそこで勤務する
医師の間でもミソラ号の話題が出ます
「なあ、最近ミソラ号 よく来るよな」
「何だ お前知らないのか? ヘリ所有者の娘さんが
大学の通学で使用してるんだよ」
「え、大学なら普通学生寮かアパートだろ
なんでわざわざヘリで通う」
「聞いた話だが毎朝 馬の世話してから通学するらしいぞ
牧場の娘さんで獣医を目指しているそうだ」
「へえ~一度その娘さんに会ってみたいな」
そんな会話をしている横を会釈してすれ違う安奈ちゃん
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大学での講義で
「それではこれから君たちに記録映像を見てもらいます
この映像は数十年前の貴重な手術の映像ですが
今でもこの手術は獣医たちの間で話題になります」
準備が終わりモニターへ映像が映し出された
「この映像はDRAからお借りした貴重な映像です
DRAの臨床獣医の診察では粉砕骨折と診断され
通常なら予後不良でその場で安楽死処置されます」
「ところがこの手術を担当した獣医の
見事な施術で手術は成功し
この白毛のソラシドはその後繁殖牝馬になり
30歳を超える長寿で老衰で亡くなりました。」
「今の医療で粉砕骨折は治療できますが
人間相手ではなく動物が相手では
意思疎通困難でほとんど施術後の怪我か併発した病気で
予後不良と判断され安楽死処置されます」
「なのでこの成功例は特例だと言われています」
ここで映像が終わり
【弥生おばあちゃんの施術も見事だけどやっぱり
和馬おじいちゃんの功績が大きいよね
この映像で見るソラシドの表情がものがたっている
意思疎通ができるって素晴らしい】
『わたしも 馬たちの命を救える獣医になりたい』
安奈の大声で教授が安奈を見てニコッと微笑み
「そうですね 頑張ってくださいね
それでは講義の続きをしましょう」
学生たちに笑われ恥ずかしさのあまり
机に顔をうずめる安奈を慰める穂香です。
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ところ変わり 安奈を乗せたヘリが飛び立ち見送った麗華と明菜は
事務所でティータイムです
「ねえ、お母さん ちょっと聞いてもいいかな?」
「突然 なんだい?」
「いや ちょっとね 前から聞こうと思ってたんだけど
お父さんを好きになったのって紫苑さんじゃなく
お母さんが先だったんだよね」
「いやだね ほんと突然変なこと聞くわね
まあ、確かにお父さんを好きになったのは紫苑より
先だと思うわよ それが何?」
紅茶を一口飲む 明菜
「その話は前にも聞いたけど それで紫苑さん 突然教室で
いきなり告白したのよね その時母さん どんな思いだったの
やっぱり やられた~って感じたの」
その時の状況を思い出す麗華
「正直その時は別に何も感じなかったわ
和馬がそく婚約するなんて誰も思ってなかったし
当事者の紫苑もまさかその場で和馬が受け入れるなんて
考えていなかったって後で聞かされたわ」
「それじゃあ 決め手はやっぱり尾花栗毛のシオン
だったんだね」
「まあね でも本来結納がわりとか持参金が牝馬なんて
あり得ないことよ それでいいなら私もおじい様に
頼んで尾花栗毛の牝馬を用意できたし
でも和馬にはシオンじゃなくてはだめだったのよ
当時の和馬はシオンが大好きだったから」
※さすが山崎重工です
「おそらく和馬もシオンの名前を聞いた瞬間 舞い上がったん
だと思うわ あとから少し後悔してたようだし
でもね和馬が紫苑に好意があったのは事実だから
馬につられたわけじゃないから 勘違いしないでね
後悔したのは誰にも相談しないで婚約を決めたことだから」
「紫苑も慌てていたし その話のあとすぐ私の所へきて
ほんとにごめんって謝っていたしね
でも私はほんと悔しかった 私にもう少し勇気があれば
先に告白していれば紫苑と立場は逆だった可能性もあるしね」
「それで母さんの一途な想いを知った山崎のおじいちゃんが
政治家を巻き込んで法律を変えることになるんだ」
「あの当時はほんとに驚いたわよ
まさか私のために法律を変えるなんて
でもほんとに感謝しているわ あなたを授かることも
できたし それに和馬の後継者が私の孫だなんて
こんなにうれしいことはないわ」
「あ、母さん それに関してわたしは安奈に嫉妬してる
どうして馬の神様は私じゃなくて安奈を選んだのよ
私にあの能力があればたくさんの馬たちの命を救うことができた
かもしれないのにってね 今は安奈でよかったと本心で思えるわ
わたしが引退するまで安奈とともに馬たちが健康で長生きできる
ように頑張るわ」
麗華はふと考えました。 あの時告白したのが紫苑じゃなく
わたしだったら...