もしも白毛の馬と出会っていたら カノンの主戦騎手決まる
牧場の事務所では和馬が佐々木から渡された資料に目を通していた
資料の内容は佐々木厩舎の所属女性騎手のデータだった
「よし、これで騎手も決まったな」
そこへ 扉を開けて事務所へ入室する一人の女性がいた
「和馬 時間よ行きましょ」
声の主は麗華だ
「ああ、麗華それじゃあ行こうか」
和馬はその場にいた紫苑にあとを任せ麗華と二人で出かけた
2人で向かった場所は
パークの敷地内に建てられている全国チェーンのファミレスだった
其の店舗の横には同じく大手コンビニも併設されている
この施設を誘致するのに和馬の父親も苦労した。
今は2店舗とも年間黒字経営なので一安心とのこと
借地代がただなので維持管理費用も大幅に軽減されている点が大きい
主なお客はパークのお客さんだがそれ以外にパークの従業員と
近隣にお住まいの方がたにもご利用いただけてます
カラン コロン
店に入ると
「いらっしゃいませ ようこそ○○○○へ お客様は何名様ですか?」
麗華が対応
「ごめんなさい 待ち合わせなんです」
そこへ
「麗華 こっちよ~」
待ち人登場
イスに座ると店員さんがお冷とおしぼりを持ってきたので
お勧めスイーツを注文する二人
すると和馬の前に座る女性が頭を下げ
「ほんじつはお呼びだてしてすいませんでした
わたしはDRAで騎手をしています
タテサクヤといいます。」
麗華からは話は聞いている
サクヤさんには麗華が新人の頃から世話になったらしい
昨年までフリーで現在は佐々木厩舎の所属
成績は女性で唯一ベスト10位内をキープしてる
優秀なジョッキーで人気もある
「それで俺に話があると麗華から聞いていますが
どんなご用件ですか?」
サクヤは和馬の目を見て真剣な顔をした
「相良さん ラグーナカノンに騎乗させてください」
横から麗華も参戦
「ねえ 和馬お願い サクヤ先輩に騎乗させてあげて
まだ主戦騎手決めてないでしょ わたしがお世話になった
先輩なのお願いよ」
すでにカノンの主戦は決まっていた
カノン本人が既に決めていたから
あとは佐々木に連絡するだけだった
実はカノンが生まれてから天翔牧場の見学者は異常に増えていた
ツアー客を除き見学は不可だが例外として牧場の関係者と
調教師、厩務員、騎手などDRA関係者は事前連絡があれば
見学は認めていた
見学の目的は産駒を自分の厩舎へ預けてもらうためと主戦騎手を
任せてもらうためだろう
今までは預ける厩舎は佐々木厩舎となっていて
騎乗依頼も厩舎所属の騎手になる
サクヤもフリーからなぜか今年から佐々木厩舎所属になっていた
成績も優秀でG1も5勝してるので当然佐々木からも
カノンの主戦騎手なら彼女が最有力候補と名が出ている
「それで どうしてカノンの主戦を希望されるのですか?
あなたほど優秀な騎手なら 馬主からの依頼も多いでしょう」
サクヤはどう答えるかな
「それは、カノンちゃんを馬房で拝見したとき
ビビッてきました この馬となら天下がとれると
確信したからではおかしいですか?」
和馬は以前から話に聞いていた
騎乗したい馬がいたら自ら牧場へ足を運び直接直談判すると
「さすが 楯さんのお孫さんですね」
和馬の発言に多少驚くが
「はい 私の大好きなおじいちゃんでした。
父は裸眼視力が規定クリアできず騎手を断念しましたが
わたしがその夢を叶えました 受験は1度落ちましたけど」(笑)
※身長は問題ないですが体重が40キロだいとか視力が裸眼で08とか
メガネやコンタクトレンズ装着不可なんです 厳しい世界です
わたしは体重で無理です
タテサクヤさんはあのレジェンド騎手のお孫さんです。
「わかりました カノンのことよろしくお願いします。
わたしから佐々木さんに伝えておきます」
この発言にはサクヤも麗華も驚く
「え、そんなに簡単に決めていいの?」
和馬
「麗華は反対なのか? それじゃあほかの騎手にするか?」
麗華
「ばか 和馬の意地悪 反対するわけないでしょ
これで先輩の夢もかなうかもしれないのに」
和馬
「夢 夢って何 聞いてもいいかな?」
サクヤ
「もう、麗華 恥ずかしいじゃない
そうですね でも そんな変わった願いでもないですよ
騎手ならみな夢見ることですから
麗華には先をこされましたけどね」(笑)
麗華と咲夜が目を合わせ答えた
「G1日本ダービーで勝つことです。」
咲夜
「麗華ったら 日本ダービーだけじゃ飽き足らず
騎手人生最高目標の一つとされている
ドバイワールドカップと凱旋門賞も勝って
素敵な旦那様みつけてあっさり引退しちゃうし…それと」
麗華タジタジです
「先輩 それ以上は和馬の前で言わないで」
和馬
「おふたりほんと仲いいですね 披露宴にも来ていただき
ありがとうございました」
咲夜
「和馬さんへの惚気話は騎手の時から聞かされてましたから
結婚が決まったと聞かされたときは
とうとう法律までも変えたのかと友人一同言葉も出ませんでした」
麗華 頭をかかえている
「もう、先輩 勘弁してください」
和馬
「咲夜さん 麗華のライフは既にゼロなんで
勘弁してやってくれませんか それと
主戦騎手のことですが 佐々木調教師は
最初からあなたが適任だといってました」
咲夜
「先生がですか?」
和馬
「そうです 嘘じゃないですよ
有望な騎手が厩舎に来てくれたと
褒めていましたからね 自信持ってください
それと主戦の件よろしくお願いします。」
咲夜
「こちらこそよろしくお願いします
頑張ります」
麗華
「先輩 よかったですね また飲みに行きましょう
もちろん 先輩のおごりで」
咲夜
「麗華 ありがとう 死ぬほど飲ませてあげるわね」
麗華さん 涙目
「先輩 それは勘弁してください お酒は楽しく美味しくいただくものです
わたしは ドンペリ2002でいいです」
咲夜
「麗華、あなたそれ本気なの1本○○万するわよ このブルジョアめ」
大好きな白毛の子が引退しました 今後はこの子が産んだ産駒の活躍を楽しみにしています