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もしも白毛の馬と出会っていたら グレイにも春が来た

種付けシーズン到来です やはりグレイの相手はあの馬です

新春 牝馬たちの出産シーズン


そして我が牧場にも待望の春がきた


なんと嬉しいことにシオンが可憐な尾花栗毛の牝馬を産んでくれたのだ


俺は出産に立ち会っていたので仔馬が無事に4本足でたった瞬間


思わず感動で仔馬を抱きしめてしまいシオンに怒られた


「和馬 うれしいのはわかるけど先にお乳を飲ませてあげなさい」


「はい、すいません」


その様子を隣の馬房から見ていたソラシドの仔馬は


これもまた綺麗で愛くるしい白毛の男の子だった


※ことしのセレクトセールも盛り上がるだろう


ミソラはシオンの仔馬が生まれるのをみて


「来年はミソラがパパを喜ばせてあげるから待ってて」


そしてグレイだが今はこの厩舎にはいない


昨年のことだがグレイに種付けされたい牡馬はいるのか?


と聞いたところトムさんの牧場で繋養されている


種牡馬の名前を出したから種付けシーズン前に


俺はグレイと渡英したのだった


グレイは受胎が確認できたら種牡馬ともに牧場へ帰ってくる


そうグレイが気にいった牡馬はうちの種牡馬になることが急遽決定


その馬の名前は『サンダーサイレンス』


アメリカ生まれ 青鹿毛の逞しい体躯の素晴らしい種牡馬だ


現役での成績は文句なし アメリカのケンタッキーダービー優勝者で


尚且つBCターフでも優勝したダートでも芝でも勝てる優秀な馬だ


そのような優秀な馬をトムさんは俺に格安で提供してくれた


理由は優秀だが素行が悪く厩務員の評価は最悪で


アメリカからイギリスへ来た理由もアメリカで買い手がつかなかったからだ


まあ でもそこは【話せばわかる】だ


俺はサンダーと馬房で会話して奴を気にいったからだ


素行が悪いのにももちろん理由があるサンダーは悪くなく被害者だった


見た目がどうしても精悍でたくましいため厩務員も扱いに困るのか


粗雑に扱うためサンダーが厩務員にマジギレした


グレイが彼を好きになったのは彼がグレイの大好きな牡馬の子孫でもあり


その容姿が瓜二つなのもその要因になる


まあ そんなわけでグレイがベタぼれなんだ


サンダーの先祖は日本でも有名なグレイトサイレンス


天馬さんのいた時代の有名な種牡馬の1頭で一大勢力を築いた


伊藤牧場の功労馬だったので今でも牧場敷地内に献花台とお墓がある


ただグレイがほんと好きなのは馬の国で世話になったグレイトサイレンス


サンダーもそれがわかっているから


「俺がその爺よりも優秀な馬だとグレイにわからしてやる」


と意気込みをみせていた


サンダーもグレイに心底惚れているんだ


『過去の亡霊に囚われるな 俺はここにいる だから俺を見てくれ』


サンダーが本気を見せてくれたらまた競馬界も盛り上がる


サンダーが日本へ来ることはまだ内密で父さんと母さんにしか


話していないので公表すれば大いに話題になるだろう


それで今俺の膝の上で寝ころびくつろいでいるのは


つい先日生まれたシオンの産駒で名前はカノンちゃん


競走馬登録名にするなら ラグーナカノン


「ねえ 和馬 私の馬房へ毎日くるのは歓迎するけど

たまにはカノンじゃなく 私も愛でなさいよ

そうじゃないと私も拗ねるわよ」


同じくシオンと同意見のソラシドとミソラも大きく頷いた。


シオン、ソラシド、ミソラの内心はホットしていた


『そうよ この顔が和馬本来の顔 この笑顔が見れただけ

 今は我慢する だけど和馬 わたしも愛でなさいよ』


と心の声も駄々洩れの3頭です


春が過ぎて受胎が確認できたグレイとサンダーが検疫の隔離期間が


終わり本日牧場へ到着しました。


厩舎内では馬たちが歓迎の挨拶を交わす


まずはシオンの先制


「グレイ おかえりなさい 男連れて里帰りなんて やるわね」


グレイの反撃


「いい男でしょ このワイルドな牡馬に惚れない牝馬はいないわよ

それに彼は、 あの時は優しくしてくれるから

そのギャップがいいの あなたも一度経験してみなさい」


シオンには一応ブラックがいるがサンダーを見て心が揺れる


「まあ、悪くないわね 考えておくわ」


シオンも満更でもないようでこれはブラックもうかうかできない


今年の種付けは尾花栗毛の牝馬が生まれたためブラックが継続したが


来年はわからないぞ


サンダーの馬房はグレイと同房にするわけもなく


隣の馬房ですよ さすがに現役の牝馬と同房にはしません


引退したら考えますよとつぶやくと


グレイさん


「私は同房でもかまわないけど まあ我慢するわ」


それとサンダーの種牡馬登録の時には


伊藤牧場経営者の伯父さん


「これは紛れもなく正当後継者だよ まさかまだ純血が

残っていたなんて驚きだよ。」


「ねえ、和馬君後生ですから サンダーを○○億で譲ってくれないか?」


「残念ですがサンダーはグレイの旦那さんなので譲れません

でも 種付けシーズンの時は伊藤牧場に預けますから

その際はよろしくお願いします。」


伯父さん


「それは構まわないが これは来年からの種付け

新たな種牡馬の誕生で馬産地も盛り上がるよ

なんてったってあのグレイトサイレンスの再来だからな」


伯父さん 興奮してますが 父さんも同じようで


「なあ 和馬 種牡馬登録してすぐに予約が入ったぞ

このペースなら300は超えるかもしれんから

購入代金も数年でぺーできるだろう」


けっして安くない種牡馬ですから大切にしましょうね


サンダーサイレンス頑張れ 負けるな 馬産地の英雄になれ





今回も短めですがどうぞよろしくお願い致します。

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