if もしも白毛の馬と出会えていたら ⑥
一応このお話で終了になります。 最後はまあ...
シオンの産駒のラグーナテンボスとソラシドの産駒ミソラがトレセンへ旅つ日が来た
2頭ともほかの2歳馬には絶対に負けない自信がある
それだけ育成には自信を持っている
馬バスの前には見送りのためにシオンとソラシドも連れてきた
後部ゲートを開き まずはテンボスを載せて次にミソラを載せる
俺も後からトレセンへ向かうがミソラは長い道中大丈夫だろうか?
後部ゲートが光秀さんの操作で閉じていくその隙間から
どこか寂し気に後ろを振り返るミソラの仕草を見て思わず
「俺もやっぱり ミソラについていくよ」
後部ゲートを再び開けて乗り込んでいく和馬を見て
シオンは 「甘やかすんじゃないわよ」といい
ソラシドは 「和馬はほんと娘に弱いわね」と呆れていた
乗り込んできた和馬を見てお兄さんのテンボスは
「ほんとお父さん ミソラに優しいから」
ミソラは目をうるうるさせて
「パパ ミソラすごくうれしいよ」
ミソラは甘えながら和馬に寄り添っていく
運転は光秀さんの担当だが一人で行くより和馬がいるほうが
いいので呆れながらも喜んでいるようだ
パパと美浦のトレセンへ向かう楽しい旅行でミソラは
すごくはしゃいでいる
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トレセンでは佐々木厩舎の人たちが総出でミソラとテンボスを
出迎えてくれる 当然周りの厩舎からも見物客が来る
馬バスから降りてくる姿を見た佐々木さんは
「2頭とも見事な馬体ですね 大きく見えますよ 2歳馬には見えませんね
これからの調教も楽しみです」
「ところで なぜ相良さんも馬バスで来られたのですか?」
佐々木さんに聞かれて和馬は頭を掻きながら
「娘が心配だったもので」
と返答して佐々木さんから親バカですねと笑われていた。
翌日から2頭の調教が始まったが和馬の仕事はミソラの身の回りの世話
時間を見てはトレセンと牧場を行き来してる
そのためにわざわざトレセンから羽田までヘリもチャーターして
時間の短縮もしている
和馬はビジネスジェットの購入を真剣に考えた
空港での待ち時間がもったいないからだ
そしていよいよ2頭のデビュー戦の日取りが決まる
牡馬のテンボスは芝のマイルから長距離を走れる 脚質は先行タイプか
牝馬のミソラは母の遺伝か芝もダートも行ける万能型で自在脚質
騎手の指示であらゆる状況でも臨機応変に対応でき優秀で従順
素直な性格だから皆から愛されているわが娘は最高
そして距離的には母親と同じか少し長くても問題ないらしい
スピードとスタミナの両方を兼ね備えていると佐々木さんも
太鼓判を押す
新馬戦もレースには俺が必ず帯同しパドックでもいっしょに周回し
娘の相手をする 山崎の腕を信じているがどうかこれだけは守ってほしい
『成績はどうでもいい 無理はさせるな 必ず無事に連れて帰ってきてくれ』
俺の願いが効いたのか ミソラは新馬戦から無難な走りで
新馬戦 2歳馬ステークス 年末の阪神JFを制した。
兄のテンボスも負けじと年末の阪神FSを制し
2頭は2歳優秀馬に選出された
恒例の年末忘年会場所は新ひだか町の有名高級すし店
牧場の留守を守るのは昨年が光秀さんだったので今年は今枝さんがお留守番
お土産には特上握りを奮発することにした
宴会の出席者は俺と紫苑とそのご両親だが 今年はオマケで山崎も参加
まあ主戦だし 紫苑の親友だしね
酒を飲んでほろ酔い状態の時山崎が俺の前へ すごく真剣な表情
「ねえ、和馬 来年ミソラが3冠取れたら 私のお願い聞いてくれる?」
3歳牝馬3冠 さくら 樫木 秋華の3レース 難しいのは樫木賞
走る距離が2400メートルと長い
俺は一つでも勝てればいいと考えていたから つい
「いいぞ もし勝てたら何でも願いを聞いてやる」
この言葉に紫苑は
「和馬 何でもは言い過ぎよ 考え直したら?」
紫苑の横やりに
「紫苑 あなたは黙っていて これは私と和馬との勝負よ」
「紫苑 まあ 気にするな 大したことじゃないだろ
忘年会の余興なんだから」
和馬に言われ呆れながらもそれ以降文句を言うのをやめた
「和馬のバカ あとでどうなっても知らないから」
※この会話の内容は麗華によりスマホで録音されていた
証拠として採用されますね
翌年の春
3歳牝馬の最初のG1レース さくら賞
前評判どおりミソラは一番人気。1枠1番と有利な条件も重なり
山崎は見事な逃げをかまし5馬身以上の差をつけ勝利
ウイナーズサークルではミソラにまたがり右手を天にかざし
指を1本たてた
「まずは 1冠」
観客席からは大歓声が巻き起こる
次のレースは樫木賞
ミソラを負かせるライバルが不在なのか紙面でも優勝は間違いないと
太鼓判を押されているがレースに絶対はない
どんなところでも魔物が住んでいる
レース当日の天候は雨 馬場は稍重 枠は大外の17番
「ミソラ 雨は嫌いか?」
パドックを周回しながら和馬は問いかけた娘の反応は?
「好きだよ ミソラダートも大好きだし
土の感触気持ちいいよね 特に雨降りのぬかるみ」
和馬は無邪気な娘の頭を優しく撫でた
まあ、稍重でも娘には関係ないらしい
不利な条件でも不動の1番人気
各馬ゲートインで解説者たちの会話
「スタートしました まずはどの馬が出てくるのか?」
「まあ、この雨ですから 1番人気のミソラも不利な状況でしょうね
枠も大外からで距離もそのぶん...ええええええ」
「なんと大外からのスタートですがすでに内側へとりつき大逃げ状態です」
正面スタンド前の通過の時点で10馬身離して爆走
これを見ていた観客は勝ち馬投票券を撒いた
当然撒いたのはほかの馬の単勝馬券ですよね
それでも解説者は苦言を呈する
「これは山崎騎手の戦法でしょうか? 無謀ではないでしょうか」
「これでは馬が最後までもたないでしょう」
まあ、外野はこんなこといってますがね
山崎は無茶をしているわけじゃない 理由ですか?
俺の指示どおりミソラの綺麗な顔に泥をつけないように先頭を走っているだけだ
ダートな路面は嫌いじゃないが泥をかぶるのが嫌でとても綺麗好きな娘
まあ俺がいつも丁寧に洗っているからな
「だってパパにはいつも綺麗なミソラを見ていてほしいから」
2400メートルならスタミナの問題はない
山崎はこのまま危なげなくこのレースを制するとまた
指を2本天に差し出す
どよめく観客だが山崎の心境は如何に
『私の願いが叶うまで残りあと1つ』
その気迫に押される不憫なわが娘
山崎は言葉に出さず 俺に何かアピールしてるが何だろうか?
レース後 俺とミソラは久しぶりの我が家に戻った
なぜかミソラが勝てば勝つほど紫苑の様子がおかしくなっていくような
「気にしないで これは私の問題だから」
と言われてしまう
ミソラは久しぶりにママに甘えているようにも見えるが
「わたしはママを超える そしてパパはミソラのもの」
「こら 娘 まだまだあなたでは役不足よ
もっと女を磨きなさい」
何やら緊張感が漂ってますね
そしていよいよ3冠最後の秋華賞ですが
【まあ、あっけないものです まるで漫画かラノベの世界
都合のいい夢ですよねえ】
山崎は天に向かい両手を挙げて
『これで 私の願いは成就した』
年末恒例の忘年会会場ではなく天翔牧場へ山崎が両親を連れてきた
「和馬 私の願いをかなえてもらうから」
昨年の約束を何となく覚えているので無下にできない
「ああ、叶えてやるから 遠慮なくいってみろ」
和馬はそれいじょうになぜここに山崎の両親がいるのかとても
気になっていた
山崎が大きく深呼吸すると胸が弾んだがそれは問題じゃない
「相良和馬さん わたしと結婚してください」
日本では重婚は認められていなかったつい最近までは
和馬が疎いだけですでにその話題は広まっていた
重婚が認められるという特別な法案が可決されたことを
「えええええええええええええええええ 」
驚いて目覚める和馬の目に映るのは
「どうしたの和馬 大丈夫」
奥さんである 紫苑と麗華を見てほっとする
「あ、なんだ夢か よかった」
心配顔の紫苑と麗華だが覗き込んでいるため和馬からは胸の谷間が見えてしまう
普段シオンの馬房でお泊りしない日は3人で仲良く川の字で寝ています
「なんか ずいぶんうなされていたわよ 怖い夢でも見たの?」
麗華との結婚話が怖いと言えるわけもなく話をすり替えた
「いや 多分 昨日のレースが関係してるな」
昨日のG1レースでのアクシデントが思いうかぶ
ゴールした優勝馬が不自然に止まり 騎手が下りて心配顔をのぞかせ
すぐに手配した馬運車に載せられて運ばれていった映像が頭から離れない
DRAの公式からはいまだ発表はない
関係者なら誰でも最悪な状況を考える 予後不良で安楽死処置
「和馬 きっと大丈夫よ 」
「そうだな 軽い故障で秋には元気に走れるよな」
東京競馬場 第11レース 牝馬限定 樫木賞の出来事だった
その牝馬は春のさくら賞を制し樫木賞も制したがその直後に怪我をした
その怪我した牝馬が白毛の美しい馬だった
その後3人は起床し 淡々といつもの作業をこなしていった
10時のおやつ休憩の時
和馬の携帯が鳴り 紫苑と麗華の視線が携帯へ
「誰だろう? ああ 母さんからだ もしもし母さん」
「あ、和馬 母さん疲れているから 簡潔に話すわよ
昨日 繁殖用の牝馬を購入したからよろしくね」
和馬が返事をする前に通話を切られた
「で、和馬 要件なんだったの?」
唖然とする和馬
「俺も よくわからんが 昨日母さん 繁殖牝馬を購入したそうだ」
その翌日母さんが東京から戻り話を聞くことができた
簡潔にまとめると
怪我した牝馬を偶然居合わせた母さんが治療して馬主さんが
母さんに牝馬を預けた。【天翔牧場に】馬の代金は最初の産駒を
適正価格で1頭譲るという契約とのこと
。。。数日後 馬バスが牧場へ到着
俺たちの目の前にいる牝馬は
白毛が美しいその牝馬、名をソラシドという
これは夢か幻か?
あれは予知夢だったのだろうか?
「ソラシド 俺の名前は和馬だ よろしくな」
念話で驚く表情を見せるが
「わたしは ソラシド 和馬今日からよろしくね」
こうして天翔牧場に新たな仲間が加わった
和馬は心に決めた 生まれた産駒にはミソラと名前をつけようと
ほんとテンプレですいません 和馬の夢の話なので都合のいい内容になります
生産牧場になってから数年経つのに繫殖牝馬がシオンだけとか
まあ一番都合のいいのは馬の神様はえこひいきしませんね
知り合いだから信託を授けるなんてありえません 馬の神様は意外とスパルタです
G1を勝てなかった馬は馬の国で鍛えて何度も再チャレンジさせるでしょう