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if もしも白毛の馬と出会えていたら  ②

シオンとの初顔合わせです

母さんのおかげでソラシドは奇蹟的に生還できた


馬はストレスに弱い生きもので怪我や病気になるとストレスで食事もできなくなる


そのまま疲弊し死に至る場合もあれば運よく治療が上手くいったとしても


ボルトによる固定術、ギブスによる保存療法などでも四本肢の動物が三本肢になったら


ほかの肢への負担と蹄機が働かないことで血液の動きが阻害され蹄葉炎になり


治療の甲斐なく安楽死処置されることになる


※そもそも今回の粉砕骨折、複雑骨折などでは予後不良になります

 馬主も種馬とか繫殖牝馬にする値打ちがないと判断すれば

 どんな軽度の骨折でも予後不良になる場合があります

 あくまでもこのお話は全てフィクションです


俺は光秀さんの運転する馬バスで牧場へ帰ることにした


当然俺がソラシドと離れることもなくストレスを与えない配慮もしている


まあ固定ボルトやらギブスも装着してるけどソラシドも多少ながら安心してくれるだろう


家の馬バスのすごいのは馬に対しストレスがかからないような配慮ができてる新型バスだ


オプションを装着すれば怪我した馬でも安全確実に輸送できる優れもの


「ねえ、ソラシド肢のほうは痛くない?」


見た目の表情はよさげに見えるが本心はわからないので


「そうだね 快適だよ 今までの馬バスだとすごく不快だったけど

このバスは最高だね 横揺れも少ないし上下に跳ねないの最高

特に私のそばに和馬がいてくれるのが一番心地いいよ」


患部を保護する装置はしっかり機能しているようでほっとする和馬


東京からの長旅でストレスもかかると思うけどそのストレス解消にもなるのが

大好きな和馬とのお出かけだからだろう


ソラシドがレース中に怪我をしたのは無理なローテーションで出走したから

ではなくあくまでも不運な事故だ誰にも過失はないと思う

春先に一度重賞レースを走り 桜賞、樫木、放牧からの秋の秋華へのながれは

一部の短距離馬以外は既定路線ともいえる


和馬が木戸に不快感を覚えソラシドを救いだそうとしたのには訳がある

あくまでもお金儲け主義の考えかたに腹が立ったから?


いや違うな そもそも普通の競馬の馬主なら名誉と地位向上と

営利目的などで馬主になるのもおかしくないからだ


まあ そうだな 単純に俺がソラシドのことが好きだからなんだ

あんな悲しそうな目で見られてほっとけるわけがない


【ソラシドが予後不良で安楽死処置されるのがわかっていたのに】


そうだ 俺は事前に馬の神様から聞かされていた ソラシドが馬の国へ

いってしまうことを


ただし俺には犯罪者になる覚悟でレースを妨害したりソラシドの出走取り消しを

馬主でもない自分ができると考えていない


ソラシドを助ける唯一の方法が怪我したソラシドを所有馬にして

母さんに治療してもらうことだった。


馬の神様があの時呟いていた不確定要素は母さんが治療できるかわからないから

俺は母さんを信じていたし過去に俺も治療に参加して粉砕骨折の手術に成功している

ホースパークの繋養馬だけどね まあ母さんもその報告のため


【俺が強引に今回東京競馬場での会合に参加させたのだった。】


報告なんてメールでもやり取りできるし インターネットで会合に参加できる

世の中だ自ら足を運ぶも必要もないだろう


ちなみに俺の母さん 本名 相良弥生 たぶん40歳代  【優駿と皐月の一人娘】

大学卒業後 獣医師の資格を取得後 なぜかばあちゃんの勧めでDRAへ入社


獣医職で入社したのに一年目からDRAのCMに獣医師役で出演しブレーク

その容姿のため 芸能事務所からスカウトも来たそうだ


結婚をきに寿退社して現在の役職は、天翔ホースパーク副支配人兼主任獣医師

おまけでDRAの獣医職特別顧問などでまあDRAとのパイプ役かな


獣医師としての腕は組合にも高く評価され昔からアイドル扱いだそうだ


ソラシドの手術中の撮影は参考資料としてDRAの許可のもと行われた

母さんの手術の技を一目見ようと会合に参加した人のほとんどが

見学に来ていたよな


まあ こんなわけで俺はたくさんの人に迷惑もかけながら

1頭の大切な牝馬の命を救うことができた


馬の神様、母さんほんとにありがとう


『どういたしまして』


神様 やっぱり聞かれてましたか


『でも、それはそれで後が大変なんですよ わたし』


何がです?


『そうですね ソラシドちゃんが今後レースに出走するのは不可能なので

彼女本人は今回の事故で馬の国へいけたのと変わりはないので

事象は改変されませんが問題は』


ソラシドが繫殖牝馬になったことで未来が改変される可能性があるわけですね


『さすがですね その通りです。 』


死んでいたはずの牝馬が生んだ産駒が大活躍して未来が変わる

それじゃあ ソラシドには種付けしないほうがいいですか?


『いえいえ それじゃあ ソラシドちゃんがかわいそうです』


『私にお任せください こうみえて わたし馬の神様ですから

 馬のことなら何とかなります えっへん』


『それじゃあ 今後のことは使徒である 和馬さんに一任します』


神様の声は聞こえなくなった


使徒である俺への一任って 丸投げですよね


「ねえ、和馬 聞こえている?」


あ、ソラシドの声が聞こえる


「あ、ごめん 何? 飴でも食べる」


「和馬が突然無口になったから 不安になっただけだから気にしないで

でも 飴は欲しいかな イチゴ味で」


俺は籠から飴の袋を取り出し


「は~い 口あけて」


ソラシドの口の中へ飴を投入 


「うん 美味しいね 」


周りの景色が見慣れたものにかわる


「ソラシドそろそろ到着するよ」


「和馬との逃避行で北の僻地に到着だね」


まあ、確かに見渡す限り 放牧地が広がる大自然のなかだけど

コンビニはパークの中にあるし ファミレスも敷地内にあるし

だんじて僻地ではない


厩舎の横へ馬バスを止め 光秀さんが後部ゲートを開くと


外からは夏の蒸し暑い空気が涼しい車内へ流れこむ


「やっぱり どこも暑いね 扇風機あるかな?」


トレセンにはエアコンはなく扇風機しかない


和馬はにこりと笑うと


厩舎の中へ入ればわかるよと紫苑と二人でソラシドを厩舎の中へ連れていく


「うわ~ 何ここ すごく涼しい 気持ちいいよ~」


頭を上下に上げ下げして興奮してるソラシド


厩舎の中にはたくさんの馬房があるが今のところ居住者はシオン1頭のみ


「あ~ やっと帰ってきたわね この浮気者」


その声に振りかえれば 馬房から頭を出す シオン


そこへすかさずソラシドが牽制


「初めまして わたし ソラシドと言います 和馬の恋人です 

どうぞよろしくお願いします」


謙虚なのか挑発なのかわからないがここは正妻の貫禄で


「フン 愛人のくせに 私が正妻のラグーナシオンです よろしくね」


どうよ 見たかこの余裕に貫禄 ソラシドの返答は如何に


「わたし3歳で引退しましたけど G1は2勝していますよ あなたは?」


この瞬間 シオンは成績の話は今後しないと決めた


「まあ、とにかく ここでは私が先輩だから 何でも聞いてよね」


「そうですね、若輩者ですがどうぞよろしくお願いいたしますね。お姉さま」


マイル女王の貫録と余裕なのか


「おお、二人とも 仲良くな それとソラシドには担当厩務員を

  紹介するよ」


厩務員と聞いてソラシドは優しいあの顔を思い浮かべた


あの人に会わずにここへきてしまったな 元気だろうか

和馬には今枝さんも廊下でソラシドの手術の成功を祈っていたよと

聞かされていたけどあれから会えなかった


「一言 お礼が言いたかったな ありがとうと」


言えばいいじゃないかなここならいつでも会えるしね


和馬の声で前を見るとそこには懐かしい顔があった


「今日からソラシドの担当厩務員の今枝さんだよ」


感無量の表情の今枝さん 少し涙声だ


「会いたかった ソラシド ほんとよかった」


今枝さんは 優しく ソラシドの鼻筋を撫でた


ソラシドも頭を下げて答える


「わたしも 会いたかったよ」


今枝さんは退職後天翔牧場へ入社し寮に住んでいる


天翔牧場の施設を見学して驚いていたらしい

引退馬たちのための快適な施設だと


まあ、日本では多分ここだけだろう


そして今枝さんから驚愕の事実が告げられる


「そういえば 私の祖父は天翔牧場で繋養されていた

プラチナシップの厩務員でした。

それとソラシドにはプラチナシップの血が受け継がれています」


これも運命なんだろう 巡り合わせに感謝しよう


そして翌日 この牧場へ木戸さんが来るらしい


ソラシドの元馬主の木戸さんが来訪していきなり


「相良さん この度はうちの愚息がご迷惑をおかけしまして誠に申し訳ありません」


謝罪の言葉を頂戴した


俺が以前にお会いしたこともある馬主の木戸さんで例のバカ息子の父親でもある


息子さんの言動がDRAの役員会で問題となり馬主として品格を疑われ

馬主の資格をはく奪される危機を迎えたそうだ


※その他 規範意識や遵法精神に欠ける言動を頻繁に行うとこかな


それで木戸さんが馬主へ返り咲いたわけだね


「木戸さん 頭をお上げください 私は別に怒っておりませんし

結果的にはソラシドの命も無事に救うことができましたから

お父様であるあなたに謝罪されてしまうとこちらも困ります」


成人してる以上 自分で責任持ちましょうね


まさか 今更ソラシドを返せと言わないよな


「相良さん ご心配には及びません すでに正式な手続きで

契約されているのを反故にすることは断じてございません

それよりも未来のことを考えましょう お互いに」


さすが企業の社長さん


「そうですね ソラシドの産駒のお話はいずれまた」


帰宅される前に是非ともソラシドが見たいと頼まれ

馬房へ案内する


もともと木戸さんがソラシドを気に入り高額で競り落とされたんだ


今枝さんの姿を見て少し驚いていたが逆に安心したようだ


「厩舎で見たときよりも綺麗になりましたね

おそらくこの場所がとても気にいったのでしょう

これなら産駒に期待が持てます」


木戸さんは施設を隈なく見学すると待たせていた車に乗り込んだ


俺と紫苑もお客様のお見送りだ


「相良さん ほんとに環境もいい素晴らしい牧場ですね

これからもよろしくお願いします。」


俺と紫苑も一礼をし車を見送った。


「ねえ、和馬 あのひと また来るかな?」


「来るだろうな でもそれはソラシドが仔馬を産んでからだと思うよ

まだ ソラシド3歳だし」


「え、和馬知らないの? 牝馬は発情すれば3歳で繁殖できるよ」


今枝さんと紫苑から聞かされ


いやだ ソラシドはお嫁にださないぞ




















せめて産駒の活躍のお話まで書きたいです

それと3歳から繁殖可能だそうです。


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