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天馬との出会い プラチナとの運命的な出会い

補足的な内容で短いです

秋の風が心地いい阪神競馬場第11レースパドック


今日は私の最期のレースの日エリザベート王女杯G1開催日

私が北海道の牧場で生まれ今年で5歳になり今日のレースで

引退をすることに決まっている


競走馬として生まれ戦績はまあ人並みの15戦で1着は7回だが

誇れるのは3歳馬の時のG1桜賞で1着を取れたことだろう


※3歳の牡馬のG1レースは桜、樫木、秋華賞とエリザベート王女杯などがある

 日本ダービー、皐月賞も出走できるが普通の牝馬はまず出走はしないかな


パドックでの話し合いでシルバーとストロベリーからは

最後なんだから1着取りなさいと言われたが最初は気が乗らなかった


どうせ1着になってもどうせあの人に【馬】会うこともできないし

どこかの乗馬クラブへ売られるだけだ


そうパドック周回を始める前の私は諦めていた。


天馬に出会う前の気弱なわたし


私の運命を変えてくれた私の最愛の人【馬ならプラチナです】


私の初恋の相手でもあり憧れた牡馬の名前はプラチナシップ


年齢的には先輩にあたり既に引退もしてるがG1も5勝している

優秀な牡馬で彼に憧れている牝馬は私だけじゃないだろう


同じレースに出走してもほかの馬たちとの会話にもあまり参加しないが

だからといって自己中でも傲慢でもなく後輩の面倒もみるし

先輩やら後輩からも信頼され兄貴と慕われていたと

シルバーに聞かされていた


「まあ、あいつ 不器用だから」


私が彼と同じレースで出走したのが4歳のG1大阪杯


今考えるとあの出会いが私の初恋だったのだろう


大阪杯のパドックで私の馬番は3番であいつが2番だったから

私はあいつの後ろを歩いていたわね


誰かが引退するレースなら当然パドック会議が行われるが

今回は該当者がいないので珍しくガチレースだった


騎手、馬主やら馬券購入者には真剣勝負が行われる

見ごたえがあるレースになるだろう


人気ではあいつが1番人気で私が5番人気でまあこれはしょうがない

私の戦績はG1を1勝しただけの牝馬で相手は既に5勝してるから


私は周回しながらあいつの後姿を興味深く

観察している


葦毛の馬で体全体はグレーだが白毛が混じる

体格も大柄で筋肉の状態も素晴らしい牡馬


歩く姿も凛々しく牝馬にも人気なのも頷ける


「でも 私もこのレースに勝ちたい」


念話で伝えた感覚はないがなぜか彼が振り返った


彼が振り返り私と目が合った瞬間心臓が激しく鼓動したのがわかる


凛々しい顔で


「お前の力を俺に見せてみろ」


と言われたような気がした。


私も負けず嫌いなのか念話で伝えてしまった


「はい、私負けません あなたに勝ちます」


今思えばなぜあの時 宣戦布告したのか?

後輩なのに出しゃばってすいませんと

謝るべきではないかと頭では考えていたが


なんかそれじゃあ ほかの牝馬と同じだと思われるが

嫌だと感じたのだろう


プラチナは私に対して


「強情な牝馬だ そんなお前 嫌いじゃないぞ」


嫌いじゃなと言われ 私の心臓の鼓動が高鳴るが


周りの馬たちの視線が痛いほど突き刺ささり我に返る


ほんと若輩者が粋がってすいません


ファンファーレが鳴り 各馬ゲートイン


そしてゲートが開き スタートした


私の得意の脚質は差しであいつは後方からの追い込み


第四コーナまでは2頭とも後方待機で騎手の指示を待つ


第四コーナーを通過して最後の直線で勝負だ


私は騎乗する騎手の指示で加速して先頭を伺い残り100メートルで

トップに躍り出た、


私は首を動かさず周りを見るがあいつはいない


「なんだ 大した事ないじゃない」


その瞬間


「え、なに」


ゴール直前 私の左から葦毛の馬が現れ並ぶことなく

そのまま抜かれて1馬身差をつけられ2着でゴールした


そのままウイニングランに入るプラチナシップが

私の横に並び


「お前 いい走りをするんだな これからも頑張れよ」


いきなり念話で伝えられ慌てる


「はい、ありがとうございます」


とすで返事を返してしまった


違うでしょ まずは素直に謝らないと ごめんなさい

ちょうしこいてすいませんでしょ


そうだ 私このレースからプラチナのこと意識していたんだね


※ まあプラチナもこのレースからメリーのこと意識してました。


このレース以降私はプラチナに種付けしてほしいと願うことになったが

現実は厳しい状況ね


私がこのまま引退して繁殖牝馬となっても

プラチナに種付けしてもらえる可能性は低い


それに今のままなら繁殖牝馬にもなれず乗馬クラブ行だ


※引退後繁殖牝馬になったり乗馬クラブへ行けるだけでも

 引退馬としては幸せな未来ですね 大半は用途変更で処分されます


そして長い思考から覚め ここはエリザベート王女杯のパドック


「え、あなた 人間なのに私たちの言葉わかるの?」


メリーの頭の中へシルバーとストロベリーの驚く声で我に返った


「天翔天馬と言います メリーローズさんの大ファンです」


メリーは天馬との出会いで人生【馬生】の転換期を迎えた


後日談


メリーはこのレースのこと天馬に聞いた


天馬は私のファンでデビューから私のおっかけをしていたから

きっとあのレースも現場にいたと思うから


「ねえ、天馬 聞いてもいかな?」


「なんだ 何でも聞いてくれ?メリーのことならなんでも答えてやる」


ほんとだろうか


「それじゃあね 私の4歳の大阪杯のレースなんだけど

馬券購入したででょ? 勝ったの」


天馬はなんだそんなことかとため息つくと


「愚問だな 当然現地でレースも見て購入したよ

馬単は見事的中したぞ おかげで夕食は豪華になった」


メリーは驚きの表情で問いかける


「でも、あのレース パドック会議なかったわよ

よく当てたわね」


メリーは天馬が馬券を当てられるのはパドック会議で

馬同士が順位を決めていたレースだけ儲かっていると

考えていた


天馬はすぐ近くにいたプラチナを見ながら答えた


「メリーとプラチナが出てるレースなら

どちらが勝ってもおかしくないからな

当然保険で馬連も購入したよ」


「でもあのレース 凄くいいレースだったな

ゴール直前でプラチナがメリーを抜き去る姿

俺は感動したよ プラチナお前は凄い馬だよ」


話題にされたプラチナは照れている


「まあ、当然の結果だな 俺が負けるわけがない」


メリーはその話を聞いて疑問に感じた


「ねえ、天馬 確かにプラチナは競走馬としても優秀だけど

あのレース私との差は1馬身よね  感動するほどなの?」


天馬はメリーが馬なのを忘れていたようです


「ごめん メリーはレース全体のこと知らないの忘れていたな

あのレースのゲートでな プラチナが立ちあが…」


天馬の証言をプラチナが遮り


「天馬よ あの話はするな あのレースメリーはほかの馬よりも速く

俺との差はわずかだったのだ それでいいだろ」


「あ~あ なんかごまかされた なんか気になるな~ 教えなさい」


プラチナよりメリーが大好きな天馬が教えないわけがない


「メリー プラチナはゲートで立ち上がり スタートは出遅れ

最後方からのスタートで15馬身以上離されたのを挽回して

メリーにいいところを見せようと頑張ったんだ

褒めてやれよ」


その話を聞いたメリーは


「そうだったんだ それじゃあ 私の完敗だね

私今までプラチナは凄い馬だけど

私よりもちょっと凄いだけだと勘違いしていたんだね

ちょっと恥ずかしいかな でも…よかった」


天馬が問いかける


「メリー何がよかったんだ?」


メリーが照れながら答えた


「私大好きなプラチナがほんとに強い馬だったと再確認できたことだよ」


この日からメリーは今まで以上にプラチナに甘えるようになった




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