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天馬編 天馬競馬場で牝馬のお尻を撫でる

このお話は完全なフィクションです、空想話ですのでクレームなしでお願いします。

俺は天翔天馬 年齢22歳独身無職、大学卒業時にDRAの入社試験を受けたが

2次の面接で落ちた まあ理由は何となくわかるので気にしてはいない


※DRAとはドリームレーシングアソシエーションの略です。

 このお話はすべてがフィクションであり実在する団体名、個人名、似た馬の名前

 いっさい関係はありません 作り話ですので気にしないで

 読んでください 競馬関係のお仕事されてる方々日々の業務お疲れ様です。


試験に落ちてから無職の俺は毎週土日の開催日全国の競馬場に足を運んでいる

勝馬投票券を購入し配当金を生活費にするためだがこの2年間

俺の貯蓄額は、既にサラリーマンが定年まで働いて稼げる金額を凌駕している

なので今では馬券を購入するのはメイン11レースだけと決めている

それ以外は、大好きなウマたちをひたすら鑑賞するのみ


※税務署へ申告をして税金を納めているはずです


今日も俺はパドックの最前列に陣取り1レースから馬たちを鑑賞している

今日は阪神競馬場エリザベート王女杯 GⅠ開催日だ


このパドックの周辺もお昼を過ぎたころにはたくさんの人々に埋め尽くされ

ここから移動するにも困難になるが まあG1開催日の風物詩でもあるかな


競馬場に通うようになったのはいつからだろうな

俺の親父も競馬が好きでガキのころから家から近い競馬場に

隔週で通っていたからもう15年くらいか?

そして俺は競馬場の近くの馬頭観音様へ毎回お祈りしていた記憶がある

父さんから貰った百円玉を賽銭箱へ入れて


神さま どうかお願いします、お馬さんとお話ができますようにと


俺が初めて馬の密談を聞けるとわかったのは7歳の時だ


その日も朝から俺は父さんに連れられ競馬場へいった

父さんは競馬に関するうんちくは凄いが馬券は当たらない

1Rから10Rまでかすりもしない 母さんから預かってきた

今晩の夕食代も使い込んでいる始末

このままでは今日の晩御飯がなくなるかもしれない


そんな時 俺の頭の中で声がした。 どこから?


周りを見回すが親父も周りの大人たちもパドックの馬に夢中だ


そのおかしな声はパドックを周回している馬たちから聞こえたような

気がするがありえないだろうと俺は首を左右に振る


「ああ、また聞こえた」


(オイよ どうする このレース1着は俺でいいのか?)


(そうだな、前のレースは俺が1着だったからな それでいいんじゃないか)


(他の奴 誰か意見があるか?)


(あの~すいません 獲得賞金が少ないからクラスが下がりそうなので

できれば2着をいただきたいのですが)


※昔は、新馬、未勝利、500万1000万1600万 オープン特別 GⅢ GⅡ GⅠ

 勝利数、獲得賞金により降級されることもありました。

 今現在のクラス分けとは異なります。


(わかった。 それじゃあ このレース 3番、8番、5番で入着な)


「ナニコレ、馬同士で順位を決めるの?」


俺が頭を抱えていると 


「おい、天馬どうした。」


俺が頭を抱えているので心配してくれているようだが

どうせ馬がしゃべっているなんて信じるわけないしな


「うんん、なんでもないよ。父さん 次のレースね

3番、8番、5番の順で馬券買ってよ」


「なんだ、テンマも競馬やりたいのか?

まあ、そうだな 俺はまるでダメだし

予算も少ないからな 最後だ全部つっこむか?」


父さんは、財布から残りのお金を取り出し三連単投票券を購入した。


それから1時間後


父さんはお札を握りしめ興奮している


「俺の生涯でこの配当金を手にしたのは初めてだぞ

今でも信じられん。今日は母さんも連れてレストランで夕食か?

いや待てこの金額なら回る寿司じゃなく回らない寿司もいけるか」


「父さん僕は、お肉が食べたい」


俺は自分の手柄だと親父に進言する


「そうだな お前のお手柄だからな

素人のビギナーズラックとはいえ

この万馬券を引き当てるとわ」


その日の夕食はステーキハウスでの豪華な食事になったが、

母さんは、なぜか複雑な顔をしていた。


それから親父につきあいたまに競馬場へ通ったが

その競馬場も俺が中学へ進学するころ

経営難で閉鎖された。


昔は中央の馬券は場外で買えないためどこも赤字でした。


閉鎖が決まった翌年俺たち家族は、親父の仕事の都合で

地方の田舎から都心に移り住むことになり

親父は地方競馬場から都心の競馬場へ週末の行き先が変わるが

馬券のほうはまるで当たらない


自分の予想があまりにも当たらないので

俺がたまに駆り出されるが、

メインレースだけと条件付きで馬券を購入する。

勿論その日の夕食は豪華になるが、親父は落ち込む

馬券購入は20歳になってからと法律で決められているのでそれまで我慢だ。


俺が18歳になり大学進学するとき親父がなんと競馬から足を洗った。

予想が余りにも当たらないため運も才能もないからと諦めたようだ。

他の賭け事に手を染めなければいいけれどと母さんのセリフ


おっと 思わず長い回想を入れていたな


今日の俺の楽しみは当然エリザベート王女杯

俺のお気に入りの牝馬は、3番人気のメリーローズ

3歳さくら賞1着のG1馬で今年で5歳の名牝馬である


メリーローズの戦績は、15戦7勝でG1は1勝だが、

1着以外のレースでも掲示板を外さない実力がある競走馬で

俺の大好きな牝馬だ。



とにかくこの馬 綺麗な尾花栗毛の馬で

タテガミとシッポも金色に輝く見た目も美しい牝馬だ

3番人気だが、今日は是非勝ってほしい


パドックの中を厩務員に手綱を引かれて歩む牝馬たち

すべての牝馬は見事な毛並みの馬体を持つ馬ぞろい

歩みながら恒例の馬たちの会話が始まる


4歳牝馬のストロベリーが、


(ねえ、姫 このレースどうするの?)


姫と呼ばれた牝馬はG1、2冠馬のスタイルシルバーである

栗毛が綺麗な姉御肌の馬で1番人気


(今日はね当然メリーに譲るわ)


(そうですね、メリーさん 今日このレースで引退ですものね)


「え、嘘だろう メリーローズこれが最後のレースだと」


俺は急いで口をふさぐが周りを見ると観客はあまり気にするそぶりもないが

そうでないものもいる。 牝馬たちだ


牝馬たちはその場で立ち止り俺を凝視するが厩務員に促され


数秒後に何でもないそぶりで再び歩き出す

厩務員も驚いた顔をしたが動き出したので

安堵の表情を見せる


(ねえ、あなた )


「え、俺 」


(そうよ、貴方よ どうして人であるあなたが

私たちの念話が聞こえるのよ)


俺に念話で話かけてきたのはスタイルシルバーである


スタイルシルバーは歩きながら俺を見ながら念話で話かけてくる


「俺に言われても理由はわからないがなぜか

子供の時から馬たちの声が聞こえるんだよ」


(まさか ほんとに私たちと念話で話せる人間が

存在しているなんてね 驚きだわ)


「そんなことよりも さっきの話だけど ほんとなのか?」


(私たちにはとても重要なことなんだけどね、まあいいわ)


(メリーのことならほんとのことよ

彼女はこのレースが終われば引退して乗馬クラブへ行くそうよ)


「え、G1勝ち馬だから牧場で繫殖牝馬になるんじゃないのか?」


(まあ、普通はそうでしょうけどね)


(私から話すわ シルバーありがとう)


会話を中断させたのは俺の愛する牝馬のメリーローズだった。


(こんにちは、人間さん メリーローズよ)


「俺の大好きなメリーと話せるなんてもう死んでもいい」


(あらあら 違う種族の殿方に好かれるなんて驚きね

でも、ありがとう 私も嬉しいわ)


「これはお世辞でもなくあなたを嫌いな競馬ファンはいませんよ

その見事なプロポーションと尾花栗毛の容姿

ほんと綺麗です 勿論走る姿も美しいです

それと俺の名前は天翔天馬と言います よろしく」


(あら、いやだ 照れますね でもありがとう

 名前が天馬ですか いいお名前ですね)


そこでシルバーさんが


(メリーはね、その容姿だけでなく 年下からも

慕われる お姉さんだからな

あいつは 着順もよく譲っているからな

ほんとならあいつはG1は3つ勝っているよ)


やっぱりだ、最後の直線見事な末脚でまくれるレースが

あったが、最後の最後後輩に勝ちを譲る姿を思い出す。


(そうですよ、おかげで私もG1馬になれました)


ここで声をかけてきたのは今日の2番人気のハイスマイルだ。


(でも今日は誰にも譲らず1着になってくださいね

そうしないと繫殖牝馬になれず乗馬クラブ行きです。

繁殖牝馬になれればもしかすると

憧れのあの人に種付けされるチャンスも生まれますからね)


メリーさんの憧れのあの人【牡馬】って誰だよ

何となくわかるけど


(あの人【牡馬】は関係ないわよ。)


(じゃあ、嫌いなんですか?)


(うううう、意地悪ね。大好きよ)


(じゃあ、決まりですね 今日は1着でゴールしてください)


このレースは、馬番3連単 1-3-5で決まりだ。


【馬番1番 メリーローズ 馬番3番スタイルシルバー 馬番5番ハイスマイル】


下見所と呼ばれるパドックの馬に騎手がまたがり

いよいよ出走時間が迫る


俺も一番いい席でメリーローズが見たいのでその場を後にしようと

椅子から立ち上がると後ろから声がかけられる


振り返ると メリーがこちらを見ている


何だろうと首をかしげるとメリーが


(天馬あとでウイナーズサークルにきて 頼みたいことがあるから

必ず来てね)


メリーが俺に頼みがあるらしい 好きな女の頼みは断らない


「勿論 必ず行くから 」


メリーが大きく首を上下に振る


レースは見事なものだった。後世に残るような出来事が目の前で起きる


4コーナーを回り最後の直線で後方からまくしたてるメリーローズ

すると馬郡が左右に分かれて花道を作り

メリーローズが乙女を引き連れてその花道を駆け抜ける


メリーローズがゴールを駆け抜けウイニングランが始まると思われた

なぜかそこにはシルバーもスマイルもいる

なぜか離れたがらない 


(メリーさよなら 貴方の産駒と私たちの産駒が

戦える日が来るのを楽しみにしているからね

必ずあの人の【牡馬】子供を産みなさい)


(メリーさん 今までありがとうございました。)


別れの挨拶を済ませて走り去る2頭の牝馬


(貴方達の期待に応えないとね そのためには天馬に

助けてもらわないと…)


ウイナーズサークルでは優勝馬メリーローズがいる

周りには馬主と調教師と厩務員の姿と関係者たち


俺は関係者でないのでサークル内に入ることはできないが

メリーさんに頼まれたので一応最前列に陣取っている


(天馬ここへきて すぐによ)


「え、無理ですよ 俺関係者じゃないので」


(まあ、それもそうか でもほかに方法は?

  ここには馬主もいるから大丈夫ね)


(天馬 作戦を授けるわ 聞きなさい

まず、私と記念写真を撮りたいと

 馬主にお願いしてそれからね..)


なるほど、ほんとメリーは頭がいいな 感心するよ

以前にもあった出来事を再現するなんて


以前のレースでもファンの男が馬主にお願いしたんだよな

引き手綱を持たせてくださいと

馬主の佐藤さんも人がいいから提案したんだよな

それならメリーが承諾すれば認めようと


ただ、競馬ファンなら知っているがメリーのシッポには

目立つように赤いリボンが結ばれていて

この意味は気に入らないと後ろ足で蹴る癖があるので注意するように

だったよな


それにメリーは女性には優しいが

男性には苦手なのか無愛想な態度をとる


その男はどうなったか?


勿論蹴られたよ おもいっきり 幸い軽症で済んだけど


「え、いいけど 蹴らないよね」


(もう、頼み事するのに 蹴らないわよ

それにあなたには私のお尻を撫でる権利も上げるから

ついでにキスもしてあげるからお願いよ)


「勿論やります。 喜んでやりましょう」


牝馬のお尻を撫でるなんて普通は無理だ

牝馬でなくても蹴られる可能性が高い

お腹も触るの嫌がるし臆病なんだよな

首筋やタテガミは撫でると喜ぶけど


メリーから催促があり 覚悟を決め最前列から声をかける


「すいません 馬主さんにお願いがあります。」


「何だね、君は誰だ」


「はい、私は天翔天馬といいます メリーローズの大ファンです」


「そうかそうか それはありがとう それでお願いというのは?」


なんとか 話を聞いてくれるようだ。


(天馬 頑張れ)


メリーからの応援に答えないと


「是非とも私にも引き手綱を引かさせてください

お願いします。」


「ほ~ 確か前にも君のようなお願いした若者がいたような」


「それじゃあ、君もあの時のことは知っているよね

知らない人間が近寄るとメリーは蹴るよ

大怪我するかもしれないがそれでもいいのかな」


「はい、構いません メリーの引き手綱を引く

チャンスをください」


「しょうがないな まあ時間もあるし 余興にもいいかこれで最後だし」


「それじゃあ、こちらに来てメリーに触れてみなさい

危ないと判断したらすぐに止めさせるから

その時は諦めてすぐ立ち去るようにな これは約束してくれ」


周りの競馬ファンも主戦の騎手の人 調教師と厩務員の人も

困り顔をしているよな すいませんねこれもメリーのためだから


俺は緊張してるがそれでも喜びを隠せない表情をしているだろう


そりゃあ大好きなメリーに触れる機会を得たのだ

正直興奮が止まらない


俺はメリーに声をかける


「メリー君に触れさせてくれ」


メリーは何だか笑いたいのを我慢しているような不思議な顔をしてる

裏で糸を引いている張本人だからな


「ほんとにやるのか 知らないぞ」


俺はメリー近寄ると両手でお尻に触れる


なでなで ううう、気持ちい手触り感触

思わず 頬擦りしてしまう


スリスリ


メリーは呆れた顔してるが怒る仕草を見せないことで

馬主の佐藤さんも心底驚いた顔になる


「嘘だろう 牧場の厩務員でもない一般人だよね

厩務員でもたまに蹴られているのにこのメリーの態度

信じられない」佐藤談


「いや~ 俺でもここまで触れさせてもらえませんよ

後ろ足が飛んでくるか噛まれますね」厩務員談


「天馬君 もういいよ 感心したよ

引き手綱の件 こころよく認めようではないか」


「佐藤さんありがとうございます。 メリーもありがとう」


俺はメリーの首を抱きしめハグすると

メリーが俺の顔をペロリと舐める


(どういたしまして )


周りの観客からも大歓声が上がる


「凄い奴だな 俺でも無理だよ」担当厩務員


「初見であれだけ触れるなんてプロの俺たちでも

 躊躇するけどあいつ厩務員に向いているのかな」騎手


「佐藤さんどうされますか? 」佐々木調教師談


「彼と少し話がしたいので控室へ連れてきてください」佐藤


俺はウイナーズサークルで彼女の隣で手綱を引かせて

貰える栄誉を手にいれたが、これがゴールではなく

単なるスタートに過ぎないことを知るのはもう少しあとのことだ


メリーの頼みとは何だろうか?



















この小説は個人的な趣向のため牡馬より牝馬が中心になります。

競馬場で見る馬は牡馬も牝馬も美しい毛並みですが、

牝馬にはそれ以外に優しい眼差しと女性らしい美しさも兼ね備えています。

私もパドックでデジカメで撮影してますが、ファインダー越しでも牝馬は格別です。

牡馬は馬の性格にもよりますが、落ち着きがない馬が目立ちます

性別が違っても厩務員さんに寄り添い甘える仕草は可愛いいです。

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