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3、水の魔女・西園寺杏美(さいおんじあずみ)

 あの学園に入学してから一ヶ月。ダンジョン攻略の鬼と化した俺は魔法科の授業をすっぽかして、軍団の育成に励んでいた。もうレベルも80を越えている。Sランクパーティーに誘われてもおかしくないレベルだ。


 俺は東京都から少し離れた南神島に陣取っている。理事長の勧めでオンライン授業を視聴しているところだった。かつて軍の研究所があったようだが、今はリゾート施設が並んでいる。観光島だ。


 俺はリゾートビル三十階のVIPルームにいる。魔人ザキエルと女魔人オスタシアが俺と共にいた。二人とも魔界から召喚されてきた魔王級の魔人だ。


 俺はオンライン授業が終わって、一息つく。


「主上、お疲れ様でございます」


 オスタシアが声をかけてきた。氷を操る魔人だ。優しそうな美人である。金髪なので外人さんかとも思う。


「疲れてなどいない。ただ、基礎的な知識は講師の授業に頼るしかない」


 俺はメモしたノートを閉じると、ベッドに寝転がる。ダンジョンで得た通貨は現実でも使える。この離島もその金で購入したものだ。俺たち魔王勢の拠点でもある。魔王の軍団が本土にいると目立つ。そのため、ここを隠れ(みの)にしている。


「魔女の笹倉澄子だが、ステータスを見たが、弱すぎる。超級レイドには連れて行けないな。足手まといだ」


「まあ、主上。笹倉澄子はお気に召しませんでしたか」


 オスタシアが頬に手を当てる。


「ではこの者はどうでしょう?」


 天井に一人の女生徒が映し出された。西園寺(さいおんじ)(あず)()、十七歳。元SSSのパーティーの一人だが、現在行方不明になっている。


「行方不明か。殺されたのか?」


「その能力を危ぶまれ、ダンジョンの地下深くに幽閉されているとネット上では言われていますわね」


 オスタシアが部屋に備え付きのパソコンを操作している。


「そのダンジョンとは?」


「墨田ダンジョン、永田町ダンジョン、色々説が出ていますが、一番有力なのは小笠原海底ダンジョンですね」


「ほう、なぜもっと早く言わなかった。俺の翼で飛んでいける距離じゃないか」


 オスタシアが苦笑する。


「西園寺杏美ももう死んでいるかもしれませんよ? 二年前に失踪していますし」


「死んでいたら、復活魔法をかけるだけだ。とにかく人材を揃えたい。明日には出立する。オスタシア、魔人たちに通達をしておくのだ」


 オスタシアが目を細める。仕様がない坊や、とでも思われているのだろうか。西園寺杏美はレベルも200を越えている魔女だ。そのステータスも凄まじいに違いない。


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