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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第4章 庵の能力、迫る大群
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88話 認められた?

副団長は唇を引きちぎれるぐらい噛んでこちらを睨んでいた。

やっだー、激熱(ゲキアツ)の視線飛ばさないでくださいましー。



どうやら俺ってば、またやりすぎちゃったようだね。てへへ!


実力を見るって騎士10人と戦うとなって俺はビビっていたんだけど、最初の騎士が開始早々にこっちに向かって来て【武術超越】が発動した時にわかった。

あ、俺大丈夫だわ。って。

向かってくる騎士はゆっくりな上に、俺にはどこを攻撃すればいいか自然とわかる。

多分これは【武術超越】の効果なんだろうな。

俺はただただ次々と向かってくる騎士を攻撃してったら倒れたという感じで、あっという間に10人倒しちゃったわけだ。

騎士10人とも1秒が3~4秒だったので、レベルはBかC辺りみたいなんだよな。

勝負が着いて倒された騎士たちは信じられないみたいでちょっとぽかんとしていた。

けど、俺を見てくる視線は「こいつすごい奴なんだ・・・」という感じがして。

なんか認められた?みたいな気がして、そんな視線をちょっと気恥ずかしくて、倒された騎士にお礼ついでに騎士一人一人の弱点とか気になったとことか指摘してしまった。

そしたらなんか騎士たちがすげえ頷いて来た。

え、なんか「尊敬するレジェンド芸人にアドバイスを受けた若手芸人」みたいな目で見ないで。


次の魔法では、攻撃魔法以外ってことで独り言で考えてるフリして木の精霊と雲の精霊の意見を仰いでみた。

『わしの雲魔法は五芒星しかないからのう。木の精霊がいいじゃろう。』

『まかしてまかして~!』

「でも俺って魔法使うととんでもないことになるよな?」

『その点は大丈夫~。本来なら魔法を使うときは呪文に魔力を乗っけるために集中しないといけないけど、イオリは駄目なんでしょ?だったら集中しなきゃいいんだよ~。』

『頭に浮かぶ呪文を集中せずに言ったらええ。そうしたらタイミングを見て木の精霊が魔法を使ったようにやるじゃろう。』

なるほど、精霊たちあったまいい~!

そうすれば俺が魔法を使ったようにできるってわけか。


そして騎士がアイスキャッスルを出してダイヤモンドダストにした。

わ~、きれいだなあ。

アイスキャッスルといったら某海外アニメが思い浮かぶけど、あれよりは小ぶりだ。


うん、っていうか、アイスキャッスルってなに目的の魔法だよ?

あれか?

歌いながら氷の城を作るのがこの世界でも流行ってんのか?

だったら俺もやるぞ?

・・・よし、今度ヒマな時にやろう。

孤児院の子供たちに見せるか?

いかん。元ネタ知らんからキョトンされるかも。


『アイスキャッスルは六芒星だね。だったらこっちはそれより上をやっちゃおう~!』

「それより上かあ・・・。」


うん、嫌な予感しかしない!

でも魔法のことはいまだにさっぱりだから精霊に任せよう。


「さあ、次はイオリだ。」

ロディオータがそう声をかけてくると、木の精霊が俺に魔法の名前を言ってきた。

その名前を聞いたら頭のなかにその魔法の呪文が浮かんできた。


え、ユグドラシルって、世界樹だよねえ!?

いいの!?こんなところに生やして!?

つうか頭に浮かんだ情報では、ユグドラシルって九芒星じゃねえか!?

最上位木魔法ってマジかよ!?

でも木の精霊からはものすごくヤル気満々の感覚がする。

やるしかないっぽい。

目の端に頭を抱えるグランの姿が見えた。

きっと後で怒られるな。絶対。


俺はなるべく1ミリも気持ちが入らないように呪文を唱えた。

棒読みはしょうがない。

だって集中したらいけないんだもーん。

世界樹というくらいだからでかいのが生えて来そうな気がしてので呪文の追加で10分の1スケールをリクエストした。

多分木の精霊はリクエストに答えてくれるはず。


・・・うん。

100分の1スケールがよかったかもしれん。

世界樹の出現に当たり前だが皆見事にぽかん。


・・・これは絶対後でグランにぶん殴られる。



まあ、こんなところに世界樹はやしてしまって大丈夫かと思ったが、あくまでも魔法で出したものなので術者が魔法解除を思うと消えるらしい。

よ、よかった。世界レベルで超重要な木がこのままとか申し訳無さすぎる。

ただ、解除しようとしたら待ったがかかった。

実は世界樹の枝と葉は武器や防具や薬の材料になるが、稀少すぎて貴族でも世界樹の枝や葉を見たことある者はほとんどいないらしい。

だからこの機会に採取させてくれと言ってきた。

騎士たちとハンターたちが。

・・・まあ、消えちゃうんならいいかな?

木の精霊も『別にいいよ~。』と言っていたのでオーケーした途端、騎士たちとハンターたちは競うように世界樹に群がってった。

・・・ふむ、そんなに皆欲しがるものなら俺も採りに行こうかな?


俺も行こうと世界樹の方へ一歩踏み出したら誰かに首根っこを捕まれた。

「ぐえっ!?」

誰だ?ギルマスか?

思って振り返ったらそこには激オコなグランがいた。

「イオリ!てめぇっ!」

ボコッ!

「いってー!!」

頭殴られた!


それからしばらく説教されたが、キリのいいタイミングで逃げた。

グランは「あっ!?まだ終わってねえぞ!?」と言っていたが【武術超越】で速くなった俺には追い付けないのだよ!ぬはははは。

っていうかなんで【武術超越】発動してんだよ。

発動条件の戦闘の許容範囲でか過ぎだろ。


とか思いながら世界樹の元に向かうと、皆必死に木に登って枝や葉を採っていた。

因みに葉は某ゲームのように死者を生き返らせられる訳ではないらしい。

でも葉をそのまま噛んだらどんな状態(・・)でも死んでなければ完治するらしい。


俺は他の騎士たちやハンターに混じってよじ登って・・・と思ったが、よく考えなくても結構な高さの木になんて登る体力なんて俺にはない。

どうしよっかなーと思っていたら木の精霊が『登れないなら枝生やすよ?』と言ってくれたのでお言葉に甘える。

「長さ2メートルくらいでできるだけまっすぐで、片手で掴めるほどの太さってできる?」

皆登るのに夢中で俺が小声で話しても誰も気付かない。

『りょーかい~!』

俺の目の前でミシミシ言って枝が生えた。

俺のリクエスト通りの長さ太さまっすぐさだ。

俺はマジックバッグから取り出すフリしてリンクから魔剣ナイフを取り出すと割りと簡単にスパッと切った。

余計な枝も削ぎ落として、きれいな1本の棒ができた。

よしよし。


俺はキョロキョロ見回して、目的の人物を見つけた。

その人物はアイスキャッスルを放った騎士で、俺と同じく体力がないので木に登れず仲間が登っているのを眺めていた。

俺がその騎士に近づいてくと騎士は俺にすぐに気が付いた。

俺は棒を差し出した。

「これあげる。」

「え!?」

騎士はめちゃくちゃ驚いていた。

「アイスキャッスルなんて面白くてきれいな魔法見れたお礼だよ。」

「こ、こんな貴重なもの・・・。な、なんで?」

「この棒で杖作ってもらったらあんたもっと強くなんじゃないかなーって思っただけ。」

俺の言葉にすごく驚いていた。

「じ、実はこの間愛用していた杖が壊れて修理に出すか新しく買い直すか迷っていたんだ。」

「お、ナイスタイミングじゃん。これで新しい杖作んなよ。あ、もしかして葉っぱもいる?」

俺がそう言うと気を利かせてくれた木の精霊が手の届くとこから細い枝をいくつも生やして、枝はものすごい量の葉を繁らせた。

俺は繁った葉に一気に腕を突っ込んで引きちぎった。

30枚くらい採れたのでそのまま騎士に差し出した。

騎士はものすごい戸惑いながら受け取ってくれた。


「まあ、騎士さんたちも魔物と戦ったりするかわかんないけど、怪我することもあるかも知れないじゃん?その時用でも持っといたら?俺も持っとこうっと。」

そう言ってまた繁った葉を豪快に引きちぎってマジックバッグに入れてった。

・・・あれ?俺は欲しいときに木の精霊に頼めばいくらでも採らしてくれそうだから今採らなくてもいいのではないか?もしや。

まあいいや。気にしなーい。

何回もちぎってはバッグに入れてくのを騎士は見ていた。

「そ、そんなに採らなくても君は強いから必要なんじゃないか?」

「え、なに言ってんだよ。俺ってそんな強くないって。魔物と戦うのビビってハンターになっても2週間経っても町の外に出れなかったくらいもん。」

「は!?」

「しかもそれ3ヶ月くらい前のことだよ。その事のせいで俺ってハンターたちからヘタレって思われてんの。ひどくね?」

俺のその言葉に騎士はぶはっと吹き出した。

「君、変わってるね。」

「そうかなあ?」

まあ、精霊としゃべれるし【能力】4つあるし「契約」してるし、十分変わってるか。



「あはは。君になら負けても悪い気分にならないな。」


なんか知らんが騎士は実力で倒した騎士たちと同じような好意的な笑顔を向けてきた。



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