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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第4章 庵の能力、迫る大群
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78話 クープーデン

「―――――ってことで、ハインツの町で金鉱山掘ってみたけど全然金でなくてさあ、んで試しに鉱山の近くのここかなーってとこ掘ってみたらなんと堀当てちゃってめちゃくちゃとれたんだよー。」


「ええっ!?・・・そ、それはすごいですね。ハンターって金も見つけられるんですの?」

「いえ姫様、そんなハンターいませんよ。イオリの運が良すぎるだけです。」

俺の話にネフィーが感心してアルは呆れていた。

さっきからずっと俺が体験した話をネフィーが感心して聞いてアルが訂正かフォローするという形になっている。

最初はネフィーのことを聞いていたんだけど、ネフィーはいかんせん人見知りの引きこもりタイプだから日がな一日本を読んでるか中庭を散歩するくらいで話は続かなくなり、家族や双子の姉の話を振っても王族だから公務や政治に関わることもあるから、あんまりペラペラしゃべれないらしい。

なのですぐに話が終わってしまい、今度はアルに話を振ってみたけどアルは魔法について力説し始めたから止めさせた。

だからしょうがないので、俺のこれまでのことを話しているというわけだ。

もちろん、精霊と話せることや【能力】とかのことも伏せて話しているから、だいぶ勘や運で俺は生きているような感じになってしまったがしょうがないよね。

精霊に言われて~とか頭おかしいと思われたくないしね。

話しててちょっと砕けた敬語を使うのも忘れて普通にしゃべってるけどネフィーは気を悪くしてないどころかなんか嬉しそうに話を聞いてくれてるからこのままでいいっぽい。

一応部屋の隅に控えている執事さんを確認しても微笑ましくネフィーを見ているから大丈夫っぽいし。


「イオリはこう見えてとても強いんですよ。マンティコアとか余裕ですから。」

「マ、マンティコア!?」

アルの余計な一言にネフィーは信じられないという目で俺を見てきた。

こう見えてってアルにはどう見えてんの?

っていうか、マンティコア余裕じゃないから。

あん時は怒ってたから力任せとかあったんだし。

「アルは大げさだよ。俺なんかより強いやつなんていっっっぱいいんだから。その人らもマンティコア余裕だって。」

グランだってアルだってすごいもんな。マンティコアいけるかはわかんないけど。

「イオリはこんだけ言ってもなんで自分の実力を過小評価してるのかなあ?」

アルは呆れてそう言ったけど、俺は本当に強くないんだもん。

それこそ、皆が過大評価し過ぎだと思うんだよなあ。


『ああー!くそう!そん時なんで僕は側にいなかったんだ!見たかったー!』


床で悶絶しているストーカーを蹴り飛ばしたい。





とかなんとか話しているからうちに、遊びに来て1時間が過ぎた。


もうそろそろおいとまするのにはいい時間ではないかな?

「・・・ん、こんな時間じゃん。アル、そろそろおいとまする?」

「あ、そうだね。」

俺のトークやアルとの掛け合いにネフィーはずっとふふふと穏やかに笑ってくれていたからだいぶ慣れてくれたかな?

一応これでも愛想笑いとホントに笑ってるのかわかるくらいは観察力はあるつもりだから、ネフィーが心から笑ってくれてたと思いたい。

まあ、愛想笑いだったとしても笑顔は初めて会った時と同じで可愛らしいから俺としては満足なんだけどね。

結局、特にアルが俺の所作や礼儀に注意することもなかったし、ネフィーはもちろん執事さんやメイドも嫌な顔しなかったので、俺はやらかしてないと思いたい。

・・・後で孤児院に帰ってからアルに聞いてみよう。

大丈夫そうなら次から1人で遊びに来るのもいいかもしれないな。


「んじゃあ、ネフィー。また遊びに来ていい?」

「あ、はい!楽しかったです。・・・また、来てください。」

ネフィーは明らかに悲しそうな顔をして来た。

よっぽど楽しかったのかな?

寂しそうにして眉を下げてられると、なんだか申し訳ないけど嬉しくなる。

「絶対来ます。次のお土産、楽しみにしててください。」

ネフィーは俺の顔を見て笑って頷いてくれた。



再び執事の案内で、城の出入り口の方に向かう。


・・・さて、ネフィーとしゃべってホクホクした気持ちだが、まだ目的は全部終わってない。

俺はアルに視線を向けた。

アルもわかっているようで、コクリと頷いた。


最強の魔法使いクープーデンに会うという目的だ。

城の出入り口を出たら意味がない。

チャンスは執事が帰りの出入り口を案内してくれている今なのだ。


すると俺のストーカーが絶妙のアシストをしてくれた。


『イオリ、目の前の分かれ道を真っ直ぐ行くと出入り口に続いているけど、分かれ道の右を行くとすぐに魔法使いの部屋だよ。』


でかしたストーカー!

俺はチラッと声のした右肩の上を見た。


『ふふふ、いいんだよ。・・・おかげでいいネタを書けたから。これはそのお礼さ。』


ん?ちょっと待ておいこらクソストーカー。

情報の精霊はものすごい不敵な笑い声をあげながら俺の肩の上だノーパソのようなものをつついている感覚がした。

なんか嫌な予感がする・・・!

でも今はそれどころじゃねえか!


分かれ道に来たところで、俺は執事に話しかけた。


「すいません、執事さん。」

「なんでしょう?」

「急で申し訳ないんすけど、魔法使いのクープーデン様に今から会うとこって可能ですか?」

振り返った執事の顔は驚いていた。

「クープーデン様にですか?・・・クープーデン様の執事に聞いてみませんとわかりませんが・・・。ああ、ちょうどクープーデン様の部屋の近くですし、聞いてみましょうか?」

「すいません、お願いできますか?」

執事は分かれ道で待っててくれと言って、分かれ道を右に曲がってしばらく奥の部屋のドアをノックした。

すぐにドアが開いて中の誰かと話しているようだ。

多分クープーデンの執事と話してるのかな?


そうかからずに執事は戻ってきた。

「クープーデン様に確認しましたところ、なぜ会うことを希望したかと尋ねられているそうです。」

その言葉にふむ、と考える。

断るわけでもなくなぜと聞いてきたということは、この返答次第では会うのは可能ということか。

素直に言うか?

でも執事づてで話すにはなかなかな内容だから、できたら直接話したい。

だとしたら、俺と会ってくれるほどの興味を持つようなことがあれば、会ってくれるかもしれない。


最強の魔法使いの興味を惹くには・・・


魔法使い・・・魔法・・・魔力・・・




・・・あ!これだ!



俺は腰にさしていた剣を鞘ごと外して執事に差し出した。

「これを見てくださいと伝えて下さい。」

俺はニカッと笑ってみせた。

アルも執事もは?という顔をしたが、執事は剣を受け取るとまた部屋に向かってドアをノックして開いた隙間に中に入っていった。


『・・・ふふふ、なるほど。』

お?情報の精霊はわかったみたいだ。

「イオリ、なんで剣を渡したんだい?」

アルは首を傾げながら聞いてきた。

「あの剣って魔剣だろ?魔剣ってすげえ珍しい物なんだろ?」

「うん、確かに。あれぐらいの魔剣なら・・・正直、国宝になっててもおかしくないものだよ。」

「だったらその魔剣を持ってる人がいるってなって、剣を見たらどんな人が持ってんのかなって、興味をわかない?」

「!?なるほど!イオリはてっきり素直に言うと思ったのに。」

「なんでって聞いてくる人ってどこか相手を試してる感じがしてさ。それもあって素直に言っていいものかと思って。」


しばらくして、執事が出てきた。


「イオリ殿、クープーデン様が会って下さるそうです。」

帰りはクープーデン様の執事が送ってくれることになったそうで、ネフィーの執事はここでネフィーの元に戻るそうだ。

「執事さんありがとうございました。また遊びに来させて下さい。」

「姫様共々楽しみにしております。」

執事が去っていき、クープーデンの執事がやって来た。

ネフィーの執事とほとんど変わらない容姿の白髪のじいさんだ。

「クープーデン様はこちらでございます。」




こうして俺たちは最強の魔法使いクープーデンとの初対面を果たすのだった。




今年最後の投稿となります。

来年も面白いと思っていただけるよう庵には頑張ってもらおうと思っています。

よいお年をお過ごし下さい(^ω^)

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