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7話 町へ~町のことと銭湯とお金~

お昼ご飯を食べた俺達は、全員で町へ行くこととなった。

俺は起床が遅かったため朝ごはんのパンとサラダを食べて小一時間しかたっていなかったが、夕方にお腹がすくかもというローエの助言で半人前だけ頂くことにした。

お昼ご飯はローエがせっせと鍋で煮ていたシチューとパンとサラダ。

しかしこの時でたシチューの肉がトロトロで美味しかった。

半人前だけの俺は激しく後悔、のたまった。




城下町ノヴェーラは活気で溢れていた。



町全体は東西に3km、南北に2kmと楕円の形の町で、ちょうど中央に巨大な噴水があり、それを中心に文字通り十字の形に東西南北に続く大通りがある。

大通りの両脇には様々な商店が立ち並び、通りのあちこちに露店もあり、様々な人が行き交っていた。


町は4つの地区に別れており、中央の噴水から北東を第1地区、北西を第2地区、南東を第3地区、南西を第4地区と呼ばれており、城から近い北に行くほど高級店な高級住宅地や貴族の別宅などがあり、南に行くにつれて庶民が気軽に行ける店や激安店や庶民の家などが並んでいる。


そんな中で特に第1地区の北の方は貴族の別宅が比較的多いことから、第1地区は住んでるだけで自慢できるほどいいグレードの地区とされ、その次にちょっといいといわれている第2地区、普通と言われている第3地区、そしてスラムがあるためいい印象があまりない第4地区、と4つの地区には特徴があるそうだ。


この世界の町には必ずと言っていいほどスラムが存在するそうだが、第4地区のスラムは町全体の10分の1と他の町に比べてかなり少ないらしい(普通は町全体の7~8分の1)。

町の南西の最奥にあるのだが、その近隣もギリギリな生活を余儀なくされている者達(スラム予備軍)も住んでいるので他の地区より少し治安が悪く衛生面でも問題があることもあり、この地区に住んでる者には多少であるが他地区から差別されているそうだ。

多少というのは、表向きは差別なしではあるが、その裏では仕事が採用されにくい、取引が他地区に比べて厳しいなどがあるらしい。


町全体は2,5mの木製の塀に囲まれ東西南北の出入口に警備兵が門番としているが、基本的に町への出入りに身分確認をしない。

この世界には戸籍が王族と貴族位しかないため、それ以外の者達の確認のしようがないためらしい。

門番は魔物が侵入しないように監視しているだけで、空からの魔物の侵入には門に沿って結界があり、城の魔法使いが張った強力なものとされている。

因みにこの結界は町全体にだけなので、孤児院「未来の家」を始め町から少し離れた所の家は対象外なので結構無防備状態なのだが、それぞれで自衛することを条件にその分土地代は安いそうだ。

「未来の家」は家自体が古いし家の前が町、後ろが何もない砂漠なので魔物や人間の侵入者はいない。

いたとしても大丈夫なように様々な罠がある・・・らしい。



その「未来の家」から歩くこと10分。

家の前から続いていた細長い道は大通りに続いていて、東西南北の東から町に入った。

ローエや子供たち3人はいつものことなので門番に軽く挨拶して入って、俺はというと、なんだか本当に素通りしていいのか、不審者に思われないか内心ビビりながらも軽く会釈して入ったが、見知らぬ俺にちょっと不審な目で見られたくらいで声をかけられることはなく町に入ることができた。


おそらくローエや子供たちと一緒だったことやローエ達がいつもの笑顔だったので、もしかしたら親戚とか思われたかもしれないが、何はともあれ変な面倒にならなくて安心したが、すぐに町の活気に心を奪われていた。


家から町全体はなんとなく見えてはいたが、きれいに舗装された道路の石畳や町の建物も白い壁などが、ヨーロッパの世界遺産並に美しく、どの商店も露店のどれも目を引く品揃えの豊富さに目移りしまくった。

そんな俺に苦笑しながらローエは町を進み、インカとロックは俺の腕をそれぞれ引っ張り、ローエと並んで歩くアンはニコニコしながら俺達を振り返り、町中を歩いて行く。

因みに町のあちこちにある看板で、この世界の文字がわかったが、やはり見たことない文字だった。が、なんと書いてあるかなぜか読めた。

軽く戸惑っている俺を引き連れてしばらく歩き、一行はある目的地にやってきた。



「さ、着いたわよ!」



着いたのは第3地区内の道をちょっと入ったところにある、銭湯だった。



はい、ここでローエさんの解説です。

この世界では、家に風呂場があるのは王族や貴族か金持ちの家にしかないそうだ。


そのため町中には至るところに銭湯や共同浴場があるのだが、銭湯は1回ごとの利用にお金が発生するが水やお湯の管理がしっかりしていて、掃除もちゃんとされてて衛生的なのに対し、共同浴場は無料で利用できるが、水しかないところが多いし掃除もほとんどされてなく衛生的でないらしい。


そして風呂は仕事前に入るもの、そして週1入るのが常識なのだそうだ。

仕事前・・・朝に入るのが身もきれいにして仕事ができるしスッキリとした気持ちで取り組めるからだそうで、週1というのは銭湯や共同浴場が人口に対して少ないこともあるので朝は当然混み合うので、普段は沐浴か濡れた布で体をふくくらいとされているらしい。


「未来の家」では子供たちの衛生のことも考え、週2で銭湯に通い、それ以外の日には、沐浴か濡れた布でふくことが孤児院のルールなんだそうだ。

「未来の家」には他の家にはない「沐浴部屋」があって、ローエが魔法で出した水かお湯が巨大な備え付けの桶にあって、それを小さな桶を使って浴びる、というものだ。

俺が来た昨日はもともと翌日銭湯に行く予定だったので、沐浴はしてなかったけど、沐浴部屋の案内と説明は夕べローエからしてもらってた。


ローエは手早く体を洗う用のタオルとふく用のタオルと、石鹸と着替えとお金を全員に渡すとインカとアンと女湯に行ってしまった。

因みに俺の着替えは孤児院でストックしていた服の中から体型にあったものを借りました。


「ロ、ロック・・・。色々教えてな。」

「あはは。イオリビビり過ぎ。」


あっちの世界で都会育ちのため、近くに銭湯がない所だったのでちょっとビビっちゃう。

そんなビビりの手を引いてさっさと男湯に入るロック。

やだ、俺、情けななくね?とか思ってるうちにロックは俺の分の銭湯の料金もまとめて番台のおばちゃんに払って脱衣場に移動した。


因みに、この世界の通貨は「G(ゴールド)」だ。

某有名ゲームの通貨と同じだね!わーお!


1G=1円で

1Gは1円玉と同じ大きさで混ざりものの金貨

10Gは10円玉と同じ大きさで混ざりものの金貨

100Gは500円玉と同じ大きさで混ざりものの金貨

ここから1000G以上は紙幣となり、

1000Gは手のひらサイズで緑色に金字

1万Gは万札と同じサイズで青色に金字

100万Gは万札と同じサイズで赤色に金字

1億Gは万札と同じサイズで白色に金字

となる。


何故1000G以上は紙幣になるのかは、持ち歩くに不便なことなど諸説あるらしい。

そして金は純金ならばそれなりの価値があるのだが、混ざりものの金は見た目もくすんだ金色であるから価値は低く、また武器防具にするにも耐久性がそこまで、と言われているそうだ。

ならばと混ざりものの金から純金を抽出しようとしても、そっちの経費の方が純金より高いため割りに合わないということもあり、使い道を模索した結果、安物の装飾品か貨幣としてしか使い道がないらしい。


因みに銭湯の料金は通常500Gなのだが、ローエ達が今回利用した銭湯は午後から夕方の間は300Gと安くなるのをローエが利用して、あえて昼御飯を食べてから来たってわけ。


銭湯はたまーにテレビで見たことのある、下町の銭湯と同じよくあるザ・銭湯だった。

番台の向こうにロッカーのある脱衣場があってその奥に体を洗う所、その奥に大きな浴槽。

さすがに富士山の絵はないが、なぜか波しぶきをあげる海の絵が壁面には描かれていた。

流石にシャワーはないようで、体を洗う所の高い位置から打たせ湯のようにお湯がドボドボと流れていた。


俺はロックに習いながら始めての銭湯をそれなりに満喫するのであった。



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