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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第4章 庵の能力、迫る大群
75/202

70話 「契約」


・・・。




・・・はっ!


ふと目が覚めると、目の前は真っ白な空間だった。


寝転がった体勢を起こして周りを確認すると、辺り一面真っ白だ。

間違いなく、俺は狭間の世界に来ていた。

良かったー。来れなかったらただただ普通に寝ただけだったよ。


空間の精霊を探そうと「真眼」にしてみたが、よく考えたらものすごく見つけにくい外見してたな。

なので「呼声」で呼んだ。

『おーい、空間の精霊!相談があるんだけどー。』


『はあーい。久しぶりー。』

呑気な声が遠くから聞こえてきた。

「視て」みたが・・・うん、やっぱり見えにくい。

特に細い目が糸どころじゃないくらい細い。

糸じゃなかったらなんなのかと言われたら・・・ヒビ?切り込み?髪?

髪は髪でもおハゲの人の力尽きた1本ね。

まあ、そんなことより。

「久しぶり、空間の精霊。ちょっと相談があってさ。」

『なんだい?僕でわかることならなんでも答えるよ。』

機嫌のいい声でそう言ってくれたので俺はマジックバッグ問題について話した。


「――――・・・ってことで、マジックバッグの中身って空間の精霊に力で広げられないかなって思って。」

『あー、マジックバッグかあ。』

なんかいい反応ではないなあ。

『マジックバッグの中身は最初の空間魔法で決まってしまうんだ。だから僕の力でも拡張は無理かな。』

「そうなのか。残念。・・・あ、ってことは、例えば町で適当に普通の鞄買ってその中に空間の精霊の力で広い空間を作ってもらうのはアリってことか。」

『それはアリだよ。』

だったらそれでもいいかも。

・・・あ!でも時間は止まらないから食料は入れにくい問題が解決できてない。


「時間経過の問題があったわ。ううーん。どうしたもんかなあ・・・。」

俺は考え込んで頭をフル回転させてみた。



「・・・そういやあ、ここってホントなにもないな。誰も来ないって言ってたな?」

『うん。だってただのひろーい空間だから来てもやることないからね。神様たちも最近来てないなあ。どうやらここを経由して人間界に行くこともしてないみたいだしね。前までは人間界に魔人が出たらここで行き来してたけど、人間界に魔人がでなくなってしばらく経ってるしねえ。』

そういやあ、人間界に魔人が出たら神様数人で対処するかレベルSが対処してるって、神父様から聞いたな。

あれ?魔人って魔界のめちゃくちゃつえー奴だよな?

どうやって魔界から人間界に来てるんだろう?

この狭間の世界を経由してないのか?

「魔人ってどうやって人間界に来んの?ここを経由して?」

『魔人は高い魔力を利用した空間魔法を使って、魔界と人間界を一時的に繋げて行き来しているのさ。本来は繋げた魔人が人間界に乗り込んで大暴れしてたけど、神様や人間の強い奴が対処するようになってからは魔人は繋げるだけで魔物の大群を人間界に送り込むっていうのをしているみたいだね。』

「へぇーそうなんだ。よく知ってんね。」

『空間魔法を使うときは必ず呼ばれるからね。それでなんとなく話聞いちゃったりして。』


「でもそれだったら、天界の神様はなんでここを行き来してんだ?神様だって神様と言うくらいだから魔力が高いんだろ?だったら魔人みたいにここを通らずに空間を繋げて行き来できねえの?」

『それは世界間の距離が違うからさ。天界と人間界は結構離れてて、魔法だけでは繋げられないほど遠く離れているのさ。それとは逆に魔界と人間界の距離がとても近いから、魔法でだけで繋げられる。人間界に魔物がいるのは、人間界と魔界が近いから魔界の影響を受けているからで、逆に魔界のすごい実力者は人間界の影響で人間に近い姿をしているって訳さ。』

影響を受けてるせいで人間界には魔物がいんのか。

それがいい影響なのか悪い影響なのかは異世界の俺にはわかんないけどね。



それにしても・・・ふむ。空間を繋げる、ねえ。



その時、俺のフル回転させていた頭はものすごくひらめいた!



「・・・そうだ!!空間を繋げよう!!」

『うええっ!?ど、どうしたの!?』

空間の精霊は驚いてすっとんきょうな声をあげた。

「空間を繋げた先に、物を置けるようにしたらどうだろう!?ほしいときは空間を繋げて取り出すみたいな感じで。」

『空間に繋げるというのは可能だけど・・・その、物を置くのはどこなのさ?』

物を置く場所?

そんなのあるじゃないか。


時間が止まってて・・・


ただのひろーいだけの空間が。



ここ(・・)だよここ!この狭間の世界に繋げたらいいってことだよ!」


空間の精霊のほっそーい目が開かれた感覚がした。

見たいような見たくないような。


『なるほどー!この狭間の世界を荷物置きにしようってことか。もしくは倉庫代わり?』

なんかそう言われたら聞こえが悪くなっちゃうけどまあ要はそういうこと。

『面白いねー!・・・ふむ。だったらアレしたら・・・。そうしたらもっと・・・。』

空間の精霊はなにかを考えだした。

なんかいいアイデアがあるんだろうか?

しばらく空間の精霊の考えているのを待ってみた。


『・・・うん。ねえ、だったらイオリ、僕と「契約」しないかい?』


はて?「契約」?

それは一体なんだろう?聞いたことないぞ?

「「契約」?それってなに?」

『ひとりの精霊とひとりの精霊以外の生物が「契約」することによって繋がるんだ。そうすることで、精霊以外の生物はその精霊がいない状態でもその精霊の力で魔法が使えるようになるんだよ。つまり、僕とイオリが「契約」したら、イオリは僕をいちいち呼ばなくても空間魔法を使えるようになるってことだよ。』

なんじゃそりゃーー!!??

そんなのあんの!?

知らなかったぞーー!

『精霊はひとり1回、精霊以外の生物はひとり2回まで「契約」できるんだよ。その他、精霊によって様々な誓約があるけどそれさえ守れば魔法を好きなときに使えるようになるって訳さ。』

「そうなのか。知らなかった!その誓約って厳しい?」

『そこまで厳しくはないと思うよ。火の精霊と「契約」したら2日に1食は激辛を食べないといけないとか、そういう感じかな。』

なんだその誓約。

辛いものが苦手な人には地獄じゃねえか。

『後、水の精霊と「契約」したら水素水を飲まないといけないとかあるよ。』

この世界に水素水あんのかよ!?つうか意識高い系女子か!


『僕と「契約」するなら、誓約は生きてる物はダメっていうのと運べないものはダメってことかな。』

ラノベのアイテムボックスも生物は入れられないっていうのは定番だ。

でも運べないものというのは?

「運べないものはなんでダメなんだ?」

『空間に繋がるんだけど、その空間から出し入れするのはイオリがやんなきゃいけないんだよ?』

あ、なーるほど。

俺が運べないものは空間にいくら繋げても入れられなかったら意味ないわな。


「誓約がその2つだったら全然オッケーだよ。その「契約」っての空間の精霊がよかったらやりたいな。」

『やってくれるのかい!やった!イオリが相手なら喜んでやるよ!』

空間の精霊はかなり嬉しいようで弾んだ声で言ってきた。

『あ、因みに解約の時は手数料がかかるからね。』

なんか「契約」っぽいな!

手数料ってなんだよ!?

まさか精霊がお金とる訳じゃないだろうし、魔力か?



『ま!ま!ま!待ちたまえーー!!』


突然そんな声がして、なんか精霊がどっかからすっ飛んできた感覚がした。


『イオリまた僕がいないところで勝手になんかやってるね!?勝手にやられたら晒せないしイジれないから困るじゃないか!!』

なんの精霊かわかりました。

「視て」確かめる気も起きねえよ。

「来たなストーカー。つかやっぱりイジる気マンマンじゃねえか。茶化しに来たんならどっか行け!俺はこれから空間の精霊と「契約」すんだよ!」

『そんなの見ないでなにを見ろって言うんだよ!』

「知るか!目ん玉どっか捨ててこい!」


『あはは、仲いいなあふたりとも。精霊と人間との会話とは思えないね。』

俺と情報の精霊との言い争いを見て、空間の精霊は呑気にそんな感想を言っていた。

『まあイオリ、情報の精霊は多分だけど「契約」するにあたっての見届けが必要かなってすっ飛んで来てくれたんだよ。情報の精霊も素直にそう言ったら?』

空間の精霊は大人だった。

優しく諭されてしまった情報の精霊はその通りだったらしく、ぐぬぬと黙ってしまった。

「なんか知らんけど、見守るつもりで来たのか?だったらそのまま静かにしててくれよ。わざわざ来てくれたのは心強いからありがたいけどさ。」

『ぐぬぬ・・・わ、わかった・・・。』



『はーい、じゃあ「契約」するよー。』

空間の精霊はそう軽い感じでそう言うと、俺の頭上と空間の精霊の精霊の頭上に魔方陣が出た。

三角形の魔方陣が出たと思ったら形がぐにゃりと曲がって四角形になって、五芒星、六芒星、七芒星と変わって、九芒星まで変わったらその魔方陣が小さな光の粒になって俺の頭上に降り注いだ。


『・・・よし!これで「契約」できたよ!全ての空間魔法を僕がいなくてもできるようになったからね。』

「え、終わったのか?なんかなにも変わんない感じで「契約」したって感じがしないなあ。でも、ありがとう。」

『でもよかったじゃないかイオリ!君は魔法を使おうとしたらたくさんの精霊が来てとんでもない効果になってしまうところを、空間魔法だけは呼ばなくてよくなって。』

そういやあ俺、魔法を使おうとしたらたくさんの精霊が来るんだった。

そういう観点からも、「契約」してよかったかもしれないなあ。



『あ、後、サービスで呪文を言わなくも魔法の名前を言うだけで使えるようにしたからね!』

げふぅっ!

ここで【超精霊親和】が働くとは・・・。

でも呪文をいちいち言わなくていいなら・・・うわあ、ものすごい使いやすくなったな!

「あ、ありがとう空間の精霊。」

とりあえずはお礼を言った。

ご厚意でやってくれたのだから文句いっちゃいけないもんな。


・・・でも人前で絶対に使えないなこりゃ。



はあ・・・俺、秘密多くね?



「纏技」やら【能力】やら「契約」やら、色々多いなあと思われるかと思いますが、作者も思いました。

でもまあ世の中、ごちゃごちゃしているものなんていくらでもありますもんね。

説得力がない!

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