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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第4章 庵の能力、迫る大群
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66話 ハインツの町

ハインツの町はにぎわっていた。


町全体の大きさはノヴェーラの町よりは一回りほど小さくて、塀が高い。

これはノヴェーラはローワン王国の首都にあたる町だからむしろ他の町より大きめなんだそうだ。

そして塀がノヴェーラの方が低いのはその分ローワン城にいる国王直属の魔法使いがノヴェーラに強力な結界を張ってあるため塀は低くても問題ないらしい。

確かにハインツの町に入るときに結界を感じなかったのはそのためかと俺は密かに思ったりなんかした。

町は西から南にかけて海と繋がっていてそこから船は出入りしているようで、陸路では北側と東側に出入り口があって出入り口には2人ずつ警備兵が立っていた。

けどやっぱり身分を確認されることもなく、北側から馬車に乗ったまま町に入った俺たちは南へと進んで町の中心地辺りの港へと進んだ。


馬車の中から見る限り、周りの建物は造りはやはり中世ヨーロッパ風で海ギリギリまで4~5階建ての木造の建物が隙間なく建っていた。

町を行き交う人々はなんとなく肌の色が違ったり顔が濃かったり薄かったりと色んな人がいるのが見える。

ノヴェーラの町では見ない肌の色なのでもしかしたら彼らは他の国から来た人たちなのだろうか。

港には何槽もの船がとまっていて荷物の積み降ろしで慌ただしい船もあったり、作業が終わってまったりしている船や逆に積み込みで大荷物を背負ったガチガチマッチョが何往復もして船に乗り込んだりしている。



ていうか!海!

コバルトブルーだ!

港の奥には遥か向こうの方まできれいな青の海が広がっていて、太陽の光でキラキラ輝いているのが見えた。

やっぱりこの世界は海が汚れないからこんなにきれいなんだろうか?

こういうきれいな海だったら泳いでみたいかもなあ。


そういえば俺の住んでたところは海から離れていたこともあって、俺はほとんど海に行ったことがない。

小さい頃は海水浴とかで行ってたような気がするが、中学生になったら行くこともなくなったしな。

はー、潮風を久々に感じて俺はちょっとだけテンションが上がってしまった。

レイドは町や海を見ても普通にきれいだなーくらいだったが、双子はキャッキャ言って俺より目をキラキラさせて馬車から顔を出して海を見ていた。

双子は人気者なのでノヴェーラ近辺での依頼をやってたからあまりハインツの町に来ることがないそうで、海を見たのも何回かなんだって。

だからこんなにテンションが上がったのか。

双子はすでに滞在する2日間のうちに泳ぎに行こうとか話していた。

着いたばっかなのに気が早いな!


港に沿って移動して、港のすぐ横に馬車を停める場所がありそこに停めようとウルーノさんが言ってきた。

「町中の店の買い付けの前に港に来ているものの中から買い付けできるようなら買い付けしていきましょう。町中の店より港の方が変わったものや珍しいものがあったりするんですよ。そのため馬車にすぐに積み込めれるように港の横に停められる場所があるんです。」

へえーなるほど。

港の横に停めて馬車から皆降りて御者に馬車を任せて、ウルーノさんと俺たちは港に入った。


船の出入り口となる桟橋には所狭しと木箱に入ったたくさんの輸入品が並んでいて、木箱の表面に赤い塗料でバツしているものと張り紙が張ってあるもの、木箱になにも書かれてないものがあった。

「赤い塗料でバツ印のものは誰かが事前に予約していたものです。そして張り紙は買い付け済みで買い付けた商人の名前などが張り紙に書かれてます。なにも書いてない木箱が買い付けできるものです。」

「なるほど。じゃあウルーノさんはなにも書かれてない木箱の中から買い付けるってことですね。」

「ええ、それもありますが今回は予約しているものもありまして、それから見ていきましょう。」

しばらく桟橋を進んで、ある船の前に来るとウルーノさんは船員に話しかけていた。

どうやら予約していた輸入品を乗せた船のようだ。

因みに船は桟橋に10槽位とまっていて全部形は同じだが塗っている塗料の色などで別れていた。

多分ウルーノさんは船の色で自分が予約していた輸入品を乗せた船か判断しているのかな?

しばらく話して、予約していた木箱のところに船員に案内してもらったのだがかなりの大きさだったのでウルーノさんだけでは持てないとなって、俺とレイドが手伝って持った。


「これちょっと重いな。一旦馬車に持っていって港にまた来てはどうですか?ウルーノさん。」

レイドの提案にウルーノさんは汗をかきながらうんうんと頷いていた。

そして3人で運んで馬車に積み込んで、また港に引き返した。

因みに中身は大量の絨毯だった。

隣の国の名産品でめちゃくちゃ細かい刺繍で縫われてるのが貴族の間で人気なんだって。

ペルシャ絨毯みたいなもんかね。


その後は港でウルーノさんがなにも書かれてない木箱を漁って目をつけたものを値段交渉して買い付けていくのをただただ見守って、買い付けられたら俺たちが持って次の木箱へ、を繰り返して俺たちの持つ荷物が持てないくらいいっぱいになったら一旦馬車に戻ってまた港に行ってを何往復かして、馬車の中が半分ほど埋まったところでウルーノさんが満足したようで馬車に乗り込んで港を出た。


そういえば宿屋はどうなってるんだろうとウルーノさんに聞いてみたら、ウルーノさんの友人がこの町で宿屋をやっているそうで、ウルーノさんはこの町に来る度にその宿屋を利用しているそうだ。

そして先週すでに行く日時を書いた手紙を友人宛に出していて、後は宿屋に行くだけで部屋は確保出来ているらしい。

もちろん俺たち護衛の部屋も複数確保してくれているそうで、お金もウルーノさん持ちなのだそうだ。


「今日はこれで宿に向かいましょう。明日の午前中に町中の買い付けを手伝ってもらったら明日の午後から明明後日の朝の出発までは自由にしていただいた構いませんからね。」

「「やったー!」」

双子は揃って万歳した。

書く言う俺も楽しみだな!



宿屋は俺がノヴェーラで泊まっていた安めの宿屋より部屋は心なしか狭かったが建物の外も中もきれいだった。

まあ、2日しかお世話にならないんだからベッドがきれいだったら狭いのは気にしないよね。

宿屋は結構空きがあったのもあって、話し合いでウルーノ・御者の2人部屋、双子の2人部屋、レイドと俺がそれぞれ1人部屋に泊まることとなった。

その日の夕飯と次の日の朝食は宿屋の食堂で皆で食べた。

前に宿屋の食堂の食事が質素すぎて宿屋を代えたことがあるけど、この食堂はスープの具もゴロゴロでパンも柔らかくて美味しかった。

でもローエの料理の方がうまいかな。

ローエ、料理うまいんだから店出して全国展開しねえかなあ。

そうしたら孤児院の経営なんて余裕でなんとかなりそうなんだけどなあ。



そんなことを思いながら俺たちはウルーノさんの買い付けの手伝いをする為に町に出た。

ウルーノさんはいくつか店を回って色々と買い付けていった。

昨日と同様に俺たちはそれをひたすら見守って買い付けた荷物を持ったり宿屋に停めたままの馬車に運んだりを繰り返した。


「もうそろそろ馬車がいっぱいになってしまうので次行くお店で最後にしましょう。あんまり買い付け過ぎて馬車いっぱいになったら私たちが乗れなくなってしまいますから。」

ウルーノさんは苦笑して言っていたが、それは困る!

ここからノヴェーラまで歩きだなんて、俺の体力が半日で尽きちゃうぞ!

『いいじゃねえか!ここから歩いて体力つけたらどうだ?ケケケ』

俺の今日の担当?の剣の精霊がそう言って笑ってた。

ちくしょう!お前らはいいよな!浮かんでるから疲れないでしょうねえ!?

『・・・。』

もうひとりの担当?の目の精霊がじーっと俺の肩に乗って俺を見つめて来るのが感覚でわかる。

目玉に手と足が生えた某親父をもっとコンパクトにしたような姿だ。

そしてまったくしゃべらない。

他の精霊で口がないのにしゃべる精霊もいるから(本の精霊や空間の精霊など)しゃべられないのか定かではないが、ガン見してくるのが癖なのかずっとじーっと見てくる。

起きて「視た」時は見た目のインパクトがでかすぎて悲鳴をあげてしまった。

すごいじーっと見てくる・・・怖い・・・。


なるべく気にしないようにしながらウルーノさんについて最後の店に向かった。


そこは今まで巡った普通の雑貨問屋と変わらないように見えた。



その店頭に並んでいるものを何気なく見た俺は・・・思わず5度見した。



・・・え?


嘘でしょ?


これは夢?


現実?


いやいやいやいや!!


げげげ現実だあああっ!!



俺はとんでもないものを見つけた。



ひとつは布袋に入った白い粒々。

ひとつは壺に入った茶色のとろみ。

ひとつは瓶に入った黒い液体。



そこには間違いなく、米・味噌・醤油の姿があった。




作者は「色んな出会いがある」と言いましたが、人との出会いとは言ってませんよお(笑)ケケケ

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