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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第4章 庵の能力、迫る大群
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63話 規格外の【能力】

すいません、短いです。

驚きもそこそこに、俺は【能力】を説明するのを再開した。


4つとも特異過ぎなんだと。

「普通は剣の技術が向上する【剣技上昇】だけの【能力】持ちでも一目置かれるくらいなんだぞ。それを剣だけでなく弓や馬術や槍が超越って・・・。」

グランはそう言って頭を抱えた。

「それだけじゃないわ。魔力は本来、生まれた時に限界値が決まってると言われていて神様にでさえも限界があると言われているのに【魔力無限】?しかも魔力を譲渡できるって、イオリが誰かに【魔力譲渡】したらイオリだけじゃなくその人も魔法が無限に使えるようになるってことよ。なんてむちゃくちゃな・・・。」

ローエもそう言って頭を抱えた。

動作も一緒とは、仲いいなあ2人とも。


「そしてなにより問題なのは【超精霊親和】だ!」

グランは大きめの声で言ってテーブルを叩いた。

「な、なに興奮してんだよ。落ち着いてよグラン。なにがそんなに?まあ、確かに精霊と話せて仲良くなるのはすごいことみたいだけどさあ。」


「そこもおかしいしむちゃくちゃだが!俺が言いたいのはそこじゃない!・・・なんで5文字(・・・)なんだということだ!」


は?5文字のなにに問題が?

「普通は4文字なのよ。【武術超越】とか【魔力無限】や【魔力譲渡】は4文字でしょ?でもなんで【超精霊親和】だけ5文字なんだってことよ。5文字なんて聞いたこともない、あり得ないことなのよ。」

そうなのか?グランは興奮してるのに申し訳ないけど、イマイチピンと来ないなあ。

なーんか、【能力】がわかってからピンと来ないことばかり言われるなあ。

世界最強とか、4つとか5文字とか。

俺のイマイチな反応にグランはヤキモキした動作をした後にはーっとこめかみを抑えていた。

このとんでもないことをどう説明していいかわからんようだ。


「まあ・・・、お前がとんでもない【能力】を持っているのはわかった。全部ぶっ飛んでんだからなるべく・・・でもダメだな、全力で隠せよ。んでなんかあったら俺たちに言えよ。」

「そうよ。変な人についてっちゃダメよ。」

ローエさん、それは幼稚園児に言い聞かすセリフですよ。

いくら俺でも変な人にはついて行かないよー・・・多分。


「・・・お前が【能力】を明かしてくれたんだ。・・・こっちも明かさないとな。」

「・・・・・・え?ええ??グラン、もしかして【能力】持ってんの!?」

「ああ・・・。ローエとアルしか知らないがな。お前に教えるが、自分の【能力】同様に他言するなよ。」

そしてグランは俺にグランの持つ【能力】を教えてくれた。

「へえー!面白いの持ってんだなあ。」

「まあ、お前のに比べたらどうもショボく思えるが、結構使える奴なんだぞ。」

グランは苦笑した。





「・・・はあ、それにしても・・・アルがこれを聞いたらどうなるか・・・。」

落ち着いたグランがボソッと呟いた一言になんか嫌な予感がした。

あ・・・あかん。

大興奮してキラキラした目で鼻息荒く俺に怒濤の質問攻めをする光景がイメージできてしまった。

「俺の時も大騒ぎだったんだ。・・・俺のいないときにアルに説明しろよ。」

グランは遠い目をして言ってきた。




後日。





「な!な!な!!なんということだ!!イオリ!詳しく!もっと詳しく教えてくれ!なんで【超精霊親和】は5文字なんだい!?いや、それよりまずは【魔力譲渡】を僕にやってみてくれ!そして【武術超越】も剣術から全部見せてくれ!」

「ギャーーー!!怖い!!」







庵がグランとローエに説明している頃。


情報の精霊は上司に呼び出されて人間界のどこかにある神殿にいた。


「イオリの【能力】がわかったのはいい。だがこれはどういうことだ!?情報の精霊!」

赤髪のイケメンは相変わらずイライラしながら情報の精霊に怒鳴った。

『落ち着きなよ。最近イライラしすぎじゃない?っていうか、他がいない?』

情報の精霊はキョロキョロといつもの集合場所になっているホールを見回したが、赤髪のイケメンしかいなかった。

「他の奴らはスイーツ食いに人間界に行った。あいつらスイーツばっかり食い過ぎなんだよ!」

赤髪のイケメンはそう言ってまたイライラしていた。


「そんなことよりだ!イオリの【能力】の【武術超越】はあいつ(・・・)の【能力】だ。それにあいつ(・・・)は【超精霊親和】ではないが【精霊親和】を持っていた。・・・イオリはあいつ(・・・)と関わりがあるのは明らかだ。情報の精霊、あいつ(・・・)の情報はあるんだろう?」

情報の精霊はくるくる飛び回って『さあ、どうだろうねえ~』とふざけていた。

チッと舌打ちをすると、赤髪のイケメンは考え込んだ。


そんな姿を見た情報の精霊はヤレヤレと肩をすくめると、イケメンに近づいた。

『そんなに気になるならあいつを探しに行くなりイオリに会うなりしたら?君は真面目に考えすぎるから、ウィンディたちみたいに心に余裕を持った方がいいよ。』

「だが、しかし・・・。」

『心に余裕がないと見えるものも見えなくなるよ?』

イケメンはぐっと苦い顔をすると、しばらく考えた。



「わかった・・・。まずはあいつを探してみるとするか。戦いと勇気の神、ヴォルデマル神を・・・。」



イケメンがホールから去った後、情報の精霊はひとりでニヤリと笑った。



『そうそう。そうやって皆、段々とイオリの味方になっていけば・・・アレとの戦いにいい影響となるはずだ。イオリは【能力】だけなら世界最強だけど、まだまだアレと戦うには足りない。・・・さて、この後どうしようかなあ・・・?』






グランの【能力】は追々明らかになる予定です。


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