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38話 ウィンディ

晴れやかな天気の城下町ノヴェーラ。

そこの中心部にそびえ立つハンターズギルド。


の、入ってすぐのところ。

そうです、ここです。

いたいけな若者の腕に突如として謎の美少女が抱きついてきた現場です。


「ふふふっ、本物に会えて嬉しい~。」

謎の美少女はそう言ってめちゃくちゃニコニコして腕に頬擦りなんてしてきちゃってるもよう。

うわああっ、美少女にそんなことをされたらさすがに、は、恥ずかしい。

俺が驚きで固まっていると、待合所で美少女を囲んでいたハンターたちがこちらをジロジロ見てきた。

そしてハンターたちは次々と美少女に「会えてよかったな」とか「待っててよかったな」と声をかけていて、美少女も俺を掴んだままハンターたちにありがとうと言っていた。

なにこの状況!?


なにより気になったのは、俺についてきていたふたりの精霊の反応だ。

『『・・・!?』』

ふたりともぽかんとした反応をしていたのが感覚でわかった。

突然の現れた謎の美少女の行動に驚いたのかと思ったが、違う気がする。

普段、精霊たちは人間の行動とかを面白がっているようなので、こういう時は驚くというよりかは面白がって興味津々になるんじゃないかな?

それがぽかんとしてるってことは・・・もしかして、この謎の美少女を見て驚いている、とか?


と、とにかく話を聞きたい!

「ちょ、ちょ、ちょっと、一旦離してくれない?は、話をしたいんだけど!」

「話してくれるの!?やったー!私もしたかったの!」

美少女はウフフと喜んでいた。

うん、微妙に返事がずれてる気がするけど話聞けるからいっか。




「私、ウィンディっていうの!」


待合所の奥の方に移動した俺と美少女は、向かい合ってテーブルに座った。

奥の方は少し暗くなっていることからあんまり人がいないので、誰にも聞かれたくない話などをするのに適している、と前に先輩ハンターのフィンジさんに教えてもらったのを思い出してそこに座ることにした。

ハンターたちはなんだか生暖かい目をして散り散りになってった。

なんだがお見合いみたいな雰囲気なのは気のせいか!?


そして座るなり、美少女は自己紹介してきた。


「あ、ウィンディっていうのか。はじめまして、だよな?」

「ええ。はじめましてよ。会えて嬉しいわ。」

やっぱりはじめましてだよな?

こんな美少女を忘れるなんてことはないはずだと思ってたんだけど。

「ど、どうも。なんで俺の名前を知ってるんだ?」


「ずっと、情報ネットワーク(・・・・・・・・)を見てたから。それで会いたくなって、来ちゃった!」


・・・・・・はい?


ちょ、情報ネットワークって、情報の精霊が俺の情報を垂れ流しにしているあの俺のプライベートガン無視ネットワークだよな?

あのネットワークは精霊しか見ることができないから、全部の精霊が俺のことを知っているらしいが・・・。


ウィンディが見てた?・・・精霊しか見れない?・・・


え、もしかして・・・



「え、もしかしてだけど・・・・・・精霊?」

恐る恐る俺が聞くと、ウィンディは意味深にニコーっと笑った。


はあああっ!?

精霊って、30センチのゆるキャラじゃないの!?


俺がめちゃくちゃ驚いて固まっていると、ウィンディは人差し指を出して、くるくると空中で渦を巻くような仕草をした。

すると俺とウィンディの座るテーブルを中心に一瞬だけ、風の渦のようなものができた。


「今、特殊な風の渦で包んだから、ここからの会話は他の人には聞こえないわ。」

ウィンディはなんでもないように言った。

え?今、風の精霊を呼ばずに魔法を使った?

ウィンディはニコニコ笑いながら、改めて自己紹介してきた。


「私はあらゆる風やそれに関係する精霊の神、風の精霊神ウィンディよ。よろしくね!」

「はあ!?精霊神!?」


神が来たよコレ!

あ、だから情報ネットワークも見れて、風の精霊なしで魔法が使えたのか!

「か、神なのかよ!?もっと・・・こう・・・。」

神様って、勝手なイメージで雲に乗っててツルッパゲの白ひげで白い服着て杖持った優しげなおじいちゃんを想像していたよ。

こんな元気っこ美少女が神様だなんて!?

神なのが信じられないという反応をした俺を察して、ウィンディは解説してくれた。

「前に情報の精霊に聞いたかも知れないけど、神って言っても私たち精霊神の"神"は厳密には天界の神と同じ意味での"神"ではないわよ。名前だけって奴。簡単にいうと、風に関係する精霊の中で1番偉いから精霊神と言われてるだけよ。」

「そういえば・・・そんなことをチラッと言ってたな。」


確かこの世界に来て最初の日に、孤児院で情報の精霊の最初の突撃取材を受けた時に、なんか言ってた気がする。

そしてえーと確か、精霊神は6人いるとも言ってたような。


「ものすごーく昔に世界に自然ができたときに同時に6つの「聖域」もできたの。その「聖域」からそれぞれ最初に生まれたのが私たち精霊神なの。人間と変わらない姿をしているのは、最初だから姿が不完全だったのを安定させるために神の姿を模したのが、後に人間と変わらない姿になっちゃったのよ。」

「聖域」って確か、魔力を使いすぎた精霊が干からびたらそこで魔力を補給するところって情報の精霊は教えてくれたけど、他にも精霊を生み出すこともできるのか。

すごいな「聖域」。

そしてよくわからんがその「聖域」が最初に作り出したから姿が不完全だったのを、神の姿を参考にして今では人間と変わらない姿になったってことか?

ということは神様は人間の姿に似てるかもしれないな。


「なんとなくわかった。んで、ウィンディはネットワーク見てて俺に会いたくなったと。」

「そうそう。私はたまに人間のフリして人間の町や村でショッピングしたりしてたから、今回も人間のフリをしてこの町に来たの。それが数日前。」

え?数日前?

数日前って、俺がハンター休んでた間じゃん!

その間に来てたのか!?


「やっと気付いてくれた!?私ずーっとここで待ってたんだからね!!」

「うええっ!?」

ウィンディは急にプンスカ怒りだした。

「すぐ会えるかなってハンターズギルドに直行してここでずっと待ってたのに全然来ないし!」

「や、だって、ちょっと疲れたし収入も思った以上にあったから数日休もうって思って・・・。宿屋に来たらよかったのに・・・。」

「はっ!?その手があったわ!?」

嘘だろ?

ウィンディは今さら気付いたようだ。


「ええ~~!私の数日はなんだったの!?・・・せっかく待合所にいる間にハンターさんたちと仲良くなって色々奢ってもらったのに~!」

なるほど、さっきのハンターたちはここで俺を待ってた数日で仲良くなったのか。

数日で色々奢ってもらったって、すげえコミュニケーション能力だな!

「シチュー20回おかわりしたのに・・・。」

大食いだな!

奢ったハンターの懐は大丈夫なのか!?


『元気出して!精霊神様!』

『数千年生きてるんだからそれくらい気にしないで!』

え、数千歳なの?

ま、まあ、精霊神だもんな。

数千年生きてるのなら、なんつーか、もっとどしっとしててもいいような気がするんだけど・・・。

「ん!?今イオリ、なんか失礼なことを考えてなかった!?」

「い、いやいやいや!か、考えてないって。ははは・・・。」

「そう・・・。まあ、いいわ。そんなことより、私聞きたいことがあったから来たんだから。」

「聞きたいこと?」

なんだ?

精霊神がわざわざ会いに来てくれたんだから、なんか問題でもあったんだろうか?



「エティーとはその後、どうなったの!?」


ごふっっ


「は!?」

「私、人間の恋愛にちょー興味があるの!見ててキュンキュンしちゃうんだもん!ね!ね!あれから会ったの!?告白した!?」

数千年生きた精霊神が女子高生みたいな頭してんじゃねえよ!

見た目女子高生っぽいけどそのままだな!

「い、いやいや!違うって!そんな関係じゃないし!エティーにはあれから会ってないし、そういうのじゃないから!」

「え~、ホントに?」

「ホントだって。まあ・・・見た目はいいとは思うけど、気が強いのはちょっと・・・。それにエティーはロディオータだったっけ?なんかそんな名前の人が好きだって言ってたし。」

俺が慌ててそう言うと、途端にウィンディはジト目になった。

「え~~~!つまんないのー。ホントにホントに、ない?」

念押しするように聞いてきたが、本当にない。

エティーには申し訳ないけど、見た目は美少女なんだけど・・・な。

因みにウィンディも美少女だけど、ウィンディの方がはるかに美少女だ。

多分神を模した精霊神だからかな?

「うん。エティーには申し訳ないけど、本当にない。」



「ヤダー!ホントにつまんない!」



ウィンディはテーブルに突っ伏して落ち込んだ。




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