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25話 討伐と雑談

「ちょっとイオリ!どういうことよ!説明しなさい!!」


わーお、エティーがプンスカ怒りだした。

エティーはしばらく固まっていたが、ハッとした途端にこの言葉を言ってきたのだ。

「説明ってなにが?」

「なにもかもよ!!何その剣!?何であんなにむちゃくちゃ素人の構えで異常に素早く戦えるのよ!?」

え、構えは本当に適当だったけど、むちゃくちゃ素人の構えなのか?

異常に早く戦えるのは俺も理由が知りたいよ。


「えーと、記憶喪失になってから戦ったのこれで2回目だから正直構えなんてわかんないんだよ。なんで素早く動けるのかもわかんない。なんか勝手に素早く動けるんだよ。」

「はあ?じゃ、じゃあ、記憶喪失になる前に何かあったのかしら?」

「わかんないけど、多分。」

ということにしとこう。

こういう時、記憶喪失って便利だね。


「その光る剣はなんなのよ?」

「魔剣みたいでさ。えーと・・・。」

『記憶喪失になった時に持ってたことにしたらいいよ。』

「き、記憶喪失になった時に持ってたんだ。」

情報の精霊、ナイスアシスト!

さすがに魔力がダダ漏れで~とか説明は面倒臭いことになりそうだし。

「ということは、記憶喪失になる前から持ってたってこと!?魔剣だなんて信じられない!普通、魔剣は国宝として城とかに保管されてもおかしくないものなのよ?」

え!?そうなのか!?

俺、数週間身に付けていただけで魔剣になったんだけど。

「あんた、記憶喪失になる前はもしかして、とんでもなく強かったんじゃないの!?一体何者だったのよ・・・!?」

ありゃ、記憶喪失のせいにしたら変な誤解が生まれたような気がする。

『いいねえ~。イオリ、このまま謎の最強ハンターとかになったら?』

情報の精霊め!面白がるなよ!



倒したキャタピラーは魔物肉としては流通していないので討伐用マジックバッグに入れてもお金にもならないとエティーが教えてくれたので土に埋めることとなった。

「ちょ、ちょ、ちょっと!イオリ!魔剣で土掘るんじゃないわよ!」

「えー、だって掘るもんないんだもん。」

そんなことを言いながらキャタピラーを埋めて、再び歩き出した。


「つーか、本当にここら辺に出たのか?目的のブラックマウスって。」

「木の穴を巣にしているらしいから、この辺の木とかに巣があるかもしれないわよ。」

ふーん、お、ちょうどいいところに木の穴を発見。

覗いてみるが、なにもなかった。


それからしばらく木の穴を見つけては覗いてを繰り返し、やがて。



ガサガサガサッ


「「「チュー!!」」」


黒いでっかいネズミが3匹、木の穴から飛び出してきた。

『お目当てのブラックマウスだよ!』

「これがブラックマウスか!」

俺は魔剣を構えた。

「私が2匹倒してあげるから、あなたは1匹倒しなさい。」

エティーはそう言って武器を構えてさっさとブラックマウス2匹に向かっていった。

「よし、俺も続かないとね。」

歩き出したら始まった謎現象。


なんか勝手にどう攻撃したらいいかわかる。

俺は歩いたままブラックマウスに近づいて頭を突き刺した。

ブラックマウスは「ヂュッ」と短く鳴いて動かなくなった。

魔剣を抜いて、エティーはどうなったかな?と見たら、謎現象が解けた。

エティーは1匹を倒してもう1匹に攻撃し始めているところだった。

「やっ!」

細めの剣を巧みに使ってブラックマウスの首を切り落とした。

「ふう、終わったわ。イオリは・・・!?、終わったみたいね。」

エティーはすでに俺の方が終わっていたのに少し驚きつつ、剣をしまった。


ブラックマウス3匹を討伐用マジックバッグに入れて再び歩いて木の穴を見て回った。




「そういえば、イオリって剣で戦ってるけど、魔法は使わないの?」

しばらく探して、他の魔物はちょこちょこ現れるのに、なかなかブラックマウスは先程の3匹以外が見つからないので少し休憩することになった。

エティーは近くにあった切り株に腰かけて、腰にさげていた小さな皮の水筒を飲みながら聞いてきた。

俺は歩き回って少し足が疲れたので、地面に座って足を伸ばしている。

「えっ、あー、うん。町の中の依頼ばっかだったから使う機会なかったし、なーんか使いたい気分じゃないから。」

使い方は孤児院にいたときにロックの練習を見たし、魔法の種類や呪文に関しては全魔法解説書を本の精霊に頭に入れてもらったから頭に浮かんでくるから問題ないのだけど。

つーか、俺はそうするよりかは精霊を「呼んで」頼んだ方が早いわな。

なので魔法に興味があったのに、そう考えたら俺が使う意味があるのか?と思ってしまい、あんまり使いたいと思わなくなっていた。


「気分じゃないって・・・変な考え方ね。これからハンターとしてやっていくならその内、野宿とか必要になるかもしれないじゃない。そのとき用に火魔法のファイアと水魔法のウォーターくらいはできるようにしときなさいよ。」

「え、エティーが先輩ハンターみたいなこと言ってる。」

「ハンターやってるなら基本よ!馬鹿ね!」

「依頼の横取り禁止は基本じゃないのか?」

「ぐぬぬ・・・。」

俺の思わぬ反撃にエティーは悔しがっていた。

ぐぬぬなんて実際に言ってる人はじめて見たぞ。


「それにしても、なんであんたなんかと2人っきりにならなくちゃいけないのよ・・・。どうせだったらロディオータ様と2人っきりになりたかったわ。」

エティーは俺を見ながらため息をついた。

「ロディオータ様?」

「ん!?あんたもしかして、ロディオータ様を知らないの!?【神の炎を持つ者】よ!?」

【神の炎を持つ者】?

「なんだそれ?町に1ヶ月いてそんなの聞いたことないぞ?」

エティーは信じられないという顔をして来た。

そして「まあ、記憶喪失だからしょうがないから教えてあげるわ」と教えてくれた。


この世界には、優れた能力を持つ者を【神の○○を持つ者】という称号で呼ぶんだそうだ。

だいたいは王が命名するらしいのだが、この称号を持つことで世界的に有名になったりするくらいでなにかの権限は無い、俺の世界でいうところの国民栄誉賞みたいなもののようだ。

そしてここローワン王国には【神の○○を持つ者】が4人いるそうで、その1人が【神の炎を持つ者】ロディオータ・ベラルードというわけだ。


「ロディオータ様はもーのすごくかっこよくて剣技が優れていて、今26歳なんだけど23歳でローワン王国騎士団長になるほどなのよ。ものすごい魔剣を使いこなしててね。」

「ものすごい魔剣?」

「「天照炎剣(テンショウエンケン)」という大剣よ。一振りで魔物5体を焼き付くすと言われているわよ。」

一振りで魔物5体!?

怖っ!そんな剣を使いこなすロディオータって、すげえな!

大剣を使いこなすってことは、ものすごいムキムキゴリマッチョ系なんかなあ?


「へー、そんな人がいんのかあ。んで、エティーはそのロディオータサマが好きと。」

「はっ!?」

エティーは途端に顔を真っ赤にした。

「なななな、なんでわかるのよ!?馬鹿!」

「馬鹿は余計だよ。わざわざ話題に出すならそうに決まってんじゃん。それに2人きりになりたいっつってたし。」

「くっ!イオリの癖に鋭いわね!」

いや、誰でもわかるって。


「告白はした?」

「し、してないわ。ちょっとずつお近づきになってから告白するつもりだから。」

あら意外。結構強気なエティーのことだから肉食系っぽく攻めてるかと思ったら。

「ロディオータ様はものすごく紳士だから、ガツガツ行ったら嫌われちゃうかと思って。そ、それにロディオータ様の前だと緊張しちゃって・・・。」

エティーはそう言って真っ赤な顔を手で覆って隠した。

「ふははっ、超恋する乙女じゃん。ロディオータサマがどんな奴か知らないけど応援するよ。ラブラブになれたらいいな!」

「・・・ありがと。あんたいいやつね。ちょっとは見直したわ。」

エティーは照れてそう呟いた。



『へー、人間の色恋もなかなか面白そうだね。情報ネットワークに書き込んどこうっと。』

やめたげなさい!




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