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23話 ハンターエティー

しばらくの投稿お休みすいませんでした。

これからは2~3日に1話ペースで書いていこうと考えております。

楽しんで頂けたら幸いです。

えー、ここはハンターズギルドです。


そのギルドの真ん中で男と女の子が睨み合ってます。






・・・まあ、いいか。俺には関係ないしね~。

さーて、依頼、依頼~。


「ちょっとイオリ!!」


俺が気にせず掲示板を見ようと真横を通ったら、白い鎧を着た少女に怒鳴られた。

えっ?俺?みたいな顔をして少女に顔を向けたらすげー睨んでた。


「あんたちょっとは空気読みなさいよ!なに呑気に掲示板に向かってんのよ!?」

「いや、ちゃんと読んだうえで掲示板に行こうとしてたんだけど。だって俺には関係ないし?」

「変な言い訳すんじゃないわよ!この私に口答えなんて、恥知らずの馬鹿ね!」

そう言って少女はものすごく馬鹿にしたように鼻で笑った。

「今日も相変わらずの超勝ち気だね、エティー。友達いる?」

「馬鹿ね!いるに決まってるじゃないの!」

『いないよー。』

いねえじゃねえか。情報の精霊が正解教えてくれたぞ。


このすごい勝ち気な発言の少女はエティー。

長いゆるふわ金髪に碧眼の美少女で、たわわなお胸でスタイル抜群。

どうやら貴族のお嬢様?のようで、俺と同じ17歳ながらものすごい高性能で高価な鎧と剣を装備している。

でも本人は「私は庶民よ!」と言い張っている。

同じ鎧を着たおっさん3人とパーティーを組んでハンターをしているみたいで、そのおっさんたちはどうやら護衛のようで「お嬢様~!」と言ってエティーの後を追いかけているのをよく見る。

今も、エティーの後ろで成り行きをオロオロしながら見守っている。

止めろよ!


エティーは俺が町で独り暮らしを始めた2週間前にハンター登録した、一応俺の数日後輩。

なのに登録翌日には討伐をバンバンやって、あっという間にレベルDになった。

俺はつい最近レベルEにやっとなったところなのに。


おっと、エティーと睨み合いをしていたおっさんが無視されてワナワナしてる。


「つーか、エティー。相手は俺じゃないだろ?おにーさんの相手したげなよ。」

俺はおっさんを指差して言って、続けておっさんに話しかけた。

「おにーさん、こいつに依頼書横取りされて睨み合いしてるでしょ?」

おっさんは驚いた。

「な!?なんでそれを!?」

やっぱりな。

「こいつはよくすんだよ。横取りダメっていうマナーがいまいちわかってないみたいでさ。ギルマスにも注意されてるけど直んないんだよ。」

このギルドではエティーの依頼書の横取りなんていつものことだ。

一応横取りはダメという暗黙のルールがあると俺はフィンジさんに教えてもらって気を付けてはいるのだが、エティーは初日でやって先輩ハンターに注意されて教えられていたのに、未だにやっているのだ。

因みにエティーは討伐依頼ばかりを横取りしていたので、町中ばかりの依頼をやっていた俺は横取りの被害にあってはいない。


「そ、そうなのか?」

おっさんは戸惑ったようで聞いてきた。

どうやらこのおっさんは最近この町に来たのかな?

エティーの横取りはいつものことだから、ここのギルドによくいるハンターたちは慣れてしまって怒る人もあんまりいないんだけど。

その証拠におっさんとエティーの睨み合いもいつものことと無視してるハンターがそこかしこにいるんだけど。


「そうそう。悪気なくやってるから(たち)が悪いというか。だから怒るなら根気強く怒ってやってよ。大丈夫、あんたならできる!」

「ちょっと!なにそっちの味方になってんのよ!?」

「だってエティーがこれで理解してくれたら俺たちハンターも横取りの心配なく安心して依頼受けられるじゃん。んじゃ、俺は依頼やるんで続きどうぞ~。」

「ちょ、ちょっと!待ちなさいイオリ!」

俺が掲示板に行こうとしたのを慌ててエティーが止めようとして、おっさんに止められていた。

「こら小娘!逃げんじゃねえ!俺がハンターのルールを教えてやる!」

「は!?ちょっと!離しなさいよ!」

なんかわーわー言いながらおっさんに首根っこを掴まれて待合所に連れていかれていた。

そこのテーブルに座ってなんか言い争っている。

その後ろでオロオロしている護衛。

けど無視無視。


『わはは~、これであの子も通算15回目の説教だねえ~。』

え、なに数えてんの?

つうか、15回説教されてもやらかすエティーはどうなってんだ?

んまあ、あのおっさんには根気強く怒ってやってって言ったけど、あの性格だからちょっとやそっとでは直らないと思うんだよなあ。


どーーーーでもいいか。

さて依頼はっと・・・。



「よう。イオリじゃねえか。」




そんな声をかけられて、後ろを振り返ると・・・。

「あ、はよっす。ギルマス。」

そこにはここノヴェーラの町のハンターズギルドのギルドマスターがいた。

40代くらいのスキンヘッドのチョビヒゲおっさんで、頭に大きな傷痕がありゴリマッチョな体格に頑丈そうな鎧を着た姿だ。

もちろん名前は知ってるんだが、長年ギルマスをやってることもあってハンターたちは皆親しみを込めてギルマスと呼んでいる。

なので俺もギルマスと呼ばせてもらってる。


「あれ、ギルマスが朝にいるなんて珍しいっすね。」

「誤解を生むようなことを言うんじゃねえ。俺は毎日朝からいるわ。午前中は事務作業でおめーらに会わねえだけだ。今日は早く終わって暇になったから依頼の受理具合を見に来たんだよ。」

「受理具合?」

「こうやってたまに掲示板の依頼を見たら色々とわかることがあんだよ。例えば、討伐依頼が増えていたら魔物が増えてるってことだろ。他に採取依頼が増えていたら物価が高くなるな、とかがわかんだよ。」

ほうほう。なるほど。

「へえ、すごい!ギルマスみたいすね。」

「ギルマスだ!アホ!」

ギルマスに怒鳴られたけど、全然怖くない。

このギルマスはスキンヘッドだし傷もあるからちょっと怖そうに見えるけど、実は世話好きでこういった冗談も好きみたいだ。

俺もハンターやり始めてしばらくしてたまたまこのギルドで知り合ったのだが、俺が初心者とわかると色々と教えてくれたり飲み物を奢ってくれたりしてくれている。


「おめえはなんだ?また町中の依頼か?」

俺が町中の依頼ばかり受けているのをギルマスは書類の処理の関係でもちろん知ってる。

「や、実は・・・」

「ちょっとイオリ!」


俺が採取の依頼を受けることを言おうとしたら、それを遮ってエティーの言葉が飛んできた。

「エティー?あれ?説教おわったのか?」

怒った顔をしたエティーが待合所からこちらに歩いて来ているのが見えた。

どうやら説教は終わったようで、待合所で疲れた顔のおっさんがうなだれている。

おっさんの様子を見る限り、横取りは直ってないなこれは。


「おわったのか?じゃないわよ!馬鹿!なんで私があんなおっさんと話さないといけないのよ!」

「横取りはダメとわかった?」

「わからないわよ!馬鹿!」

馬鹿が多くない?

なんでわからないでここまでやってこれたんだろう?

「・・・だって。ギルマス。」

「あら!?ギルマス!?」

エティーは俺の横にいたギルマスに今さら気付いたようで、ヤバい!という顔をした。

エティーはギルマスにもこの間、説教されていたもんな。

「エティー・・・。お前、まだやってんのか!?」

ギルマスはゴチンとエティーの頭に拳骨を落とした。

「いったーーーっい!!」

エティーは頭を抱えてしゃがみこんだ。


「なんで私ばっかり怒られるのよ!怒られるならイオリだって怒られたっていいじゃない!?」

「は!?なんで俺が怒られなきゃいけないんだよ?」

「だって、いつまでも町中の依頼ばかりじゃない!こんなヘタレ見たことないわよ!」

横取りされたことがない、関わりのないエティーが俺に突っかかって来るのはこれが原因だったりする。

どこから聞き付けたのか、俺が町中の依頼を受けてばっかりと聞くと「男の癖にヘタレなのねあなた。」と言ってギルドで会うと必ず突っかかって来るようになったのだ。

いつも鼻で笑ってくるのでそれなりに腹が立つが、エティー相手に怒るのもなんか馬鹿らしいと思ってなにを言われても受け流していた。


でも、残念。

今日から違うのだよ。

俺はへへんと笑って答えた。

「俺、昨日採取依頼やって魔物と戦ったぞ。」


「え!?」

「マジか!?」

ザワザワ・・・


エティーとギルマスが声をあげて驚いて、ギルドにいたハンターたちがざわついた。

え、ちょっと待って。

なんでざわつくの?

え、もしかしてみんな俺が町中の依頼しかやってないの知ってたのか!?

やだ!恥ずかしい!


「あんたが採取依頼!?う、うそ!?」

なんで信じられないという反応なんだ?

俺そんなにビビりイメージなん?

「ホントだって。なー?オリアナさん!」

俺はギルドの受付にいたオリアナさんに話を振った。

オリアナさんはちょっと呆れながら答えてくれた。

「採取依頼やって信用されないあんたはどうかと思うけど。確かに昨日、薬草採取の依頼をイオリはやったわよ。しかもホーンラビットと遭遇して戦ったみたいで一緒にマジックバッグに入ってたわよ。」


ザワザワ・・・


またハンターたちがざわついていた。

え、俺本当に採取依頼やって魔物も倒したからって、ざわつかれるの?

過小評価されすぎじゃね?

まさかという反応で言葉を失っているエティー、お前もな!


「はははっ!よかったよかった!これでイオリも討伐依頼できるな。」

ギルマスは素直に喜んでくれた。

「だったら、今日は討伐依頼をやったらいい。俺のオススメを選んでやる。」

そう言ってギルマスは掲示板の依頼書の1枚を取って渡してきた。




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