186話 学者フランク
はい!フランクなる学者さんと会う日が来ましたよ!
俺はささっと昼食を食べると孤児院前でフランクを待つことにした。
ローエはお茶を出す人がいるということでキッチンに待機しててもらって子供たちは邪魔してはいけないとグランが昼食前から町に連れていっている。
『ははは~!どんな人か気になるねぇ!僕としては引くぐらい背が高くて「孤児院が狭すぎて入れないー!」とかなってくれたら面白いと思ってるんだけど。』
「面白くしてどうすんだよ。もし背が高くて入れなかったら裏の原っぱで座って話を聞くわ。」
俺の担当?は残念ながら情報の精霊だ。
会うことになった途端に担当?のシフト変更をして自分がここにいれるようにしたようで朝っぱらからノリノリで叩き起こされたのだが、今日のこの事も面白おかしくする気満々なのが見え見えでうざいったらありゃしない。
「俺はフランクさんとの会話で忙しいだろうから変なこと言ってきてもツッコまないからな。余計なことしてくんなよ。」
『変なこととか余計なこととはないだい!?僕はとーっても真面目なんだぞ。』
「お前が真面目だったらこの世界は終わってると思う。」
『なんだって!?ムキー!!』
プンスコ怒るストーカーを無視してしばらく待っていると、道の向こうから誰かがやって来るのが見えた。
背が低くて10代前半の少年で、大きな目に丸メガネをかけていてローブのような丈の長い服を着ていてとんでもなくでかいリュックを背負っている。
少年はこちらに気づくと手を振ってきて、どうやら孤児院に用があって来ているようだ。
時間的にフランクさんが来る時間なんだけど・・・。
え、まさかな・・・。
「こんにちわー!」
少年は元気な挨拶をしながらパタパタこっちに走ってきて・・・。
バターン
転けた。
バシャーーン!
少年が顔面から豪快に転けたため、勢いでリュックの口が開いて中身が辺りにぶちまけられた。
「「・・・。」」
『・・・。』
あまりの空気にあの情報の精霊までも静かになったぞ!
少年はガバッ!と顔をあげて自分の引き起こしてしまった惨状を目の当たりにして慌て出した。
「す、すすすすす!すいません!!」
少年はリュックからぶちまけたものを急いでかき集めてリュックに乱雑に入れていた。
いいのか?リュックの中に土も石ころも一緒に入ってってるぞ?
『あははははは!!見事な転けっぷり!そしてぶちまけっぷりも面白い!!あははははは!!』
情報の精霊が転げ回って爆笑しているのがわかるくらい大笑いしている。
俺も笑いたいけどさすがにものすごいぶちまけっぷりにここで笑ったら失礼かなと我慢した。
「だ、大丈夫?」
俺の近くに飛んできたペンとかを拾って少年に差し出した。
「あああ、ありがとうございます!」
少年は顔を真っ赤にして差し出したペンをリュックにぶちこんでいた。
うん、恥ずかしいよね。ものすごい豪快な転けっぷりだったもんね。
っていうか、この時間に来た少年。
もしかして?
「・・・すいませんけど・・・フランクさん?」
俺がそう言うと少年は目を丸くした。
「も、もしかして・・・イオリ・・・ですか!?」
俺がこくこくと頷くと少年はぱあああっと目を輝かせて俺を見つめてきた。
「は!ははは、はじめまして!僕はフランク・フェブリアーノと言います!勇者イオリと会えるのを楽しみにしていました!!」
そう言ってものすごい勢いで立ち上がって俺にずいっと近づいて来て、俺はひえっと思って思わず後ずさった。
「お、俺も楽しみにシテマシター。そ、それより、服とか膝、土だらけだよ。」
ハッとして自分を見下ろす少年。
そして叫んだ。
「す、すすすす!すみませーん!!」
それから俺は恥ずかしがりながらも慌てて服とかについた土を払うフランクさんを孤児院の中に案内して広間へ。
フランクさんは導かれるままに広間に来てリュックをおろして勧めたイスに座った。
すかさずローエがお茶を持ってくる。
「改めまして。僕はフランク・フェブリアーノと言います。」
フランクさんは15歳くらいでオレンジの長めの髪にアホ毛がぴょこんと出ていて大きな赤い目に眼鏡をかけた可愛らしい感じの少年で、フード付きの後ろが大きいローブを着ていて背負っていたリュックはいやにでかい。
「はじめまして、イオリ・アソウです。色んな流れで勇者やってます。」
「イオリと呼んでかまいませんか?僕のことはどうぞフランクと呼んで下さい。敬語も使わないでかまいませんよ。」
「そっすか?俺もイオリと呼んでくれて大丈夫。フランクも敬語じゃなくていいよ。」
「僕は誰にでもこの口調なんです。よろしくお願いしますね、イオリ。」
「そうなんだ。よろしく。」
そしてローエも孤児院の経営者ということでフランクと自己紹介しあった。
「今回、こういう場をもうけて会って下さってありがとうございます。早速ですが、僕が何者かというのとどうしてイオリに会いたいと思ったか話させてくださいね。」
フランクはにこにこ笑って話し出した。
「僕は隣国のヴェーブフレンの貴族の次男として生まれて小さな頃から魔法に興味があって本ばかり読んで育ちました。色んな魔法使い様たちに学んだりしてそして自分なりの魔法の法則を作ったり新しい魔法を見つけたりしていきました。そうしたら学者様に論文にしたらと言ってくれまして、論文にしたらあっという間に世間に広まって、10歳で学者と認められて国から爵位をいただきました。色々と論文を発表していったおかげで伯爵までになりまして、研究のために全世界を回っていたんですが、たまたま実家のヴェーブフレンに帰っていたところに勇者様の発表を知りました。勇者様は異世界から来た人で、精霊と魔法なしで話せるとか発表を聞いて僕は震えました。なんて興味深い人だと!」
ぶあーっとしゃべりなからフランクは俺をキラキラした目で見てきた。
あれ、この目を見たことあるぞ。
魔法のことを聞いたアルみたいな目じゃねえか!
「ぜ、ぜひぜひ!あなたの話を聞かせてください!精霊のことはもちろんあなたの強さとか魔法とかも気になりますし、あなたがいた世界のことも!ぜひぜひぜひぜひ!!」
きゃー!怖い!!
よく見たら目が血走ってないか!?
「す、すいません!今日が楽しみすぎて2日前から寝てないもので・・・。」
寝不足で充血してんのかい!寝ろよ!
『僕の情報でも2日寝てない寝不足の状態異常が出てるよ。』
寝不足も状態異常なんかい!
「は、話すのはいいんだけど、ちょ、落ち着いてよ。」
「大丈夫です!落ち着いてます!今日は1回しか転けてませんから!」
ええ!?そんな自信満々に言うことじゃないよ!?
いつも何回転けてんの!?
『いつもは最低3回は転けてるみたいだよ。』
余計な情報ありがとうストーカーめ!
「寝るなんていつでもできます。あなたから話を聞くなんて貴重なことのためなら睡眠なんていりません!」
「意気込みすごいけど睡眠大事だよ!」
キリッとして言ってきたので思わずツッコんじゃったじゃないか!
俺はボケなんだぞ!?
『この心意気素晴らしい!睡眠の精霊に言って睡眠無効にしてあげようじゃないか!』
は!?それって眠り攻撃受けても眠らないってことだよね!?
普段の睡眠も無効にならないよね!?
「2人とも落ち着いた方がいいと思うわよ。」
ローエ、すごく冷静な一言ありがとう・・・。
俺とフランクはローエが出したお茶を飲んで落ち着くことにした。
遅くなって申し訳ありません。
これからもしばらくは遅くなるかもしれません。




