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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第7章 変わる周囲と集まる仲間
191/202

178話 試験終わる

前半セシリオ視点で後半は主人公視点です。

「・・・苦よもぎはあるか?10束。」

「えーと、確かキク科の植物で茎の汁がめちゃくちゃ苦くて裏切り者とか苦痛とか裁きとかいったやつの代名詞にされてる奴ですよね。」

にょきにょき


「生えてきた・・・。では、ベラドンナは?3束。」

「それは媚薬の一種ですよね。和名がキ○ガイ茄子で笑ったから覚えてるんですよねー。」

にょきにょき


「ではアレこれはさすがにないだろう、黄金の林檎は?」

「ギリシャ神話でトロイア戦争の原因になった奴ですよね。それは草の精霊じゃなくて木の精霊に頼んだらいいと思うんで呼びますねー。」


イオリは私のリクエストに内容がよくわからない誰に向けてかの説明をいちいちしながら苦よもぎとベラドンナを草の精霊に出してもらって、魔力を帯びた声で木の精霊を呼び、当たり前のように黄金の林檎の木が生えた。


・・・目の前のあり得ない光景に眩暈がする。

苦よもぎもベラドンナもそうそう見つかるようなものではなく、それぞれを偶然見つけた農民が売って財を築いたという話があるほど稀少なものだ。

そして黄金の林檎は王族でも見たことがないほどのもので、天界か魔界にあるとか神が気紛れに与えてくださるものだと言われるほどのもので、私はもちろん見たのは初めてだ。


もうダメだ。

もうとっくに私のキャパを完全にオーバーしている。

なので何事も動じない意地悪貴族なんて仮面なんてやってられるか!


「ちょっと待て!さっきからえげつないものを軽々しくホイホイ出すな!いや、イオリは稀少性を知らない可能性があるが、それでも今日が初対面の私がほしいと言っただけで精霊に頼むな!そして精霊も精霊だ!そんな安請け合いして稀少なものを出してどうする!?自重しろ!」

私がいきなり怒りだして一気に言ったのでイオリはビックリしたようにキョトン顔になり、すぐにニカッと笑った。

「なんだあ、セシリオ様ってすごくいいツッコミスキル持ってるじゃないですか。」

「そこに着目するな!私の言ったことがわからないのか!?」

「あはは、まあまあ落ち着いて下さいよ。精霊は俺の頼みを聞いてくれてるだけだから精霊は悪くないです。頼みを聞いてくれた精霊にはお礼として俺の魔力あげまくって大喜びしてくれてるんでセシリオ様が気にすることはないと思いますよ。草の精霊も木の精霊もこれくらい出すのは蟹が横歩きするくらい簡単らしいですから。」

「なんだその例えは。」


「それに俺としても一応人は選んでるつもりですよ。本当に困ってたりいい人には精霊の協力的な声が聞こえてきますから、俺と初対面でもわかるもんですから。セシリオ様は協力したいって草の精霊言ってましたよ。」

「え?なぜ私に協力したいと言ってこられたんだ?」

「セシリオ様、趣味の錬金術でよく使う草が乱獲されそうなのを保護したり、絶滅しそうな植物も移植して環境を整えたりする活動もしてますよね。それを草の精霊や木の精霊は知ってていい人だから協力したいって言ってたんですよ。」

「!?・・・は、は!?わ、私は単に錬金術の実験ができないのが困るからやってるだけであってだな・・・!」

「お!ツッコミスキルだけでなくツンデレ属性なんですか?」

「うるさい黙れ!」


そんなツッコミをしつつも私はちゃっかり苦よもぎにベラドンナに黄金の林檎をマジックバッグに積めた。

文句を言いながらも積める私の姿にイオリは「やっぱツンデレじゃん」と言って怒った私のツッコミをスルーしながら精霊たちにお礼を言って魔力をあげていた。

護衛2人は素に戻った私の様子とイオリのやらかしに苦笑していた。

因みに黄金の林檎の木はそのままにしとくのはさすがによろしくないのでイオリに言って木の精霊に消してもらった。



そして妙に疲れて森を出ると馬車に乗って帰路につくことにした。


本当は森を出たところで私が「戻るのが面倒だから近くの西の町に行って泊まるぞ」とわがままを言い出して、イオリがどうするか見るという台本の流れがあったのだが、そんなことをしなくても十分イオリという人物がわかったし、森でツッコミしまくったのでキャラが崩壊してしまったのでわがままを言うキャラに今さらなれなかったのもあって取り止めた。


帰路は私の馬車にイオリを乗せて今回の依頼について話した。

私が意地悪な貴族を演じていて、それへのイオリの反応や対応が本当は試験内容だったことを話して意地悪な発言を謝罪した。

イオリは私が意地悪な貴族だとちょっとは思っていたそうだが、貴族とはそんなものだろうと思っていたらしい。

なんでもイオリが元のいた世界で読んだ小説ではもっと意地の悪い貴族が出てくるものを読んだことがあって、それで貴族というものを学んでいたらしい。

まあ、そう思っててもらってもいいかもな。

貴族には素晴らしい方もおられるが、自分が常識だと信じるとんでもないのもいる。

今日の私への対応を見る限り、イオリはどうやらそういう連中への耐性もありそうだから大丈夫だろう。


「あれ?っていうか、なんでこんな話を?もしかしてもうセシリオ様は合否を決まってるってことですか?」

ふふ、ここで気づくとは少しは聡いようだ。

「ああ。今回の試験の合否については私の一存で決めていいと言われている。・・・君はちゃんと対応していたからね。ある意味対応し過ぎているといった方が正しいかもしれないが。レベルA野外試験は合格だとギルマスに言うつもりだよ。」

「本当ですか!?やった――――――――!!!いだっ!?」

イオリは両手を思わず万歳して手を馬車の天井にふづけていた。








いやっほーい!!

レベルA合格したぞ!

これでグランと一緒だ!


試験は貴族の護衛ってことで、合格できたらいいなとちょっとはりきっちゃったけどはりきり過ぎたようだ。

精霊に頼んで行きの馬車の周囲を警戒してもらったり、草の精霊と木の精霊を呼んでリクエストに答えたりして。

たまたま草の精霊と木の精霊が協力的というのもあって応えただけで、セシリオ様との会話であった通りいつもはこんなリクエストとかやらないんだけどね。

でも精霊の協力で合格できたのは間違いないんだし。

ホント、精霊には感謝しっぱなしだ。


ノヴェーラの町に帰ってきた俺たちはハンターズギルドに行ってセシリオ様がギルマスに合格を伝えたようで、すぐさまギルマスは「だろうな!やっぱり色々やらかしやがったな!」と謎の納得をしていた。

そして来月のレベルS試験までつかの間のレベルAとなった。

因みに来月のレベルS試験まで依頼をやってもいいが試験の細かい日はまだ決まってないとのこと。

そのため、町から1週間以上離れる依頼はできれば受けないでくれと言われた。

離れている間に日が決まって試験当日に町にいないとかなったら意味がわからないからな。


ルンルン気分で帰り際にでかい魔物肉とか買っちゃってリンクにぶちこんで孤児院に向かう。

そしてノヴェーラの町の東側の出入り口を出て孤児院に続く脇道に差し掛かったところで・・・。


・・・え!?なんだ!?


突然すぐ側の草むらからなにかが飛び出てきて俺に向かってきた。

「うぇっ!?」

拳が俺の顔めがけて飛んできて、そらすことでギリギリ避けた!

ビュッとか風を切る音が聞こえてきたぞ!怖っ!当てる気マンマンだな!?


「・・・。」

殴りかかってきたのは男性だった。

20代後半ぐらいで茶色の短髪に黒いバンダナを着けていて茶色の鋭い目のワイルド系のすごいイケメンで、めちゃくちゃがたいのいい浅黒い体は黒のタンクトップに茶色のズボン姿だ。

俺とは明らかに面識はなかったが、感覚がなんか知ってる感じがした。


精霊に近いような感覚・・・!


ウインディやフレア、ウォーラと会ったらもういい加減わかるわ。


「もしかして・・・精霊神?」


ワイルドイケメンは恐る恐る聞いた俺の言葉に口元だけ緩めてニッと笑った。



「・・・俺はあらゆる土とそれに関する精霊の神、ジアースだ。これから1ヶ月、お前を鍛えてやるからよろしく。」



ええええええええ!?



水「これで四精霊神がイオリと会ったわね。」

風「あとニ精霊神いるけどいつ会えるかしらねー」

火「あいつら引きこもりだからなあ・・・。」

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