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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第6章 勇者の剣と記憶
169/202

158話 お祭りは終わる

ニヨニヨニヨニヨ・・・。


「イオリ、隅に置けないわねえ~!」

「お祭り予定あるって言ってたのってこういうことだったのねえ~!」

「なんだよ!水くさいなあイオリ!」


信じられないほどの笑顔でそう言ってくるローエとインカとロック。

口には出さないけど興味があるようでじっと見てくるアンに笑うのを我慢して肩を震わせてこの状況を黙って見てるグラン。


このとんでもない状況に俺は白目を剥きそうになりながらも慌ててチュロスを飲み込んで弁明する。

「あの!違くて!・・・なんつーか、今のは!」

「大丈夫よ、イオリ。」

信じられないほどの笑顔なローエ。

「彼女とラブラブなのね?」

どこが大丈夫!?ラブラブじゃないし彼女じゃないし!!

「か!かかかか!彼女!?あわわわ・・・!」

ネフィーがローエの言葉を聞いて顔を真っ赤にしてあわあわ言い出した。

「あら、ずいぶん初々しい反応ね。かわいらしい彼女さんじゃない。」

「だ、だから彼女じゃ・・・!?」




「お待たせ、イオリ、ネフィー。・・・あら?」



そんなタイミングに現れるエティー。

なぜか両手にたくさんの食べ物と飲み物を抱えてである。

飲み物を買いに行ったはずでは?

首を傾げながら近づいてくるエティーを見て俺とネフィーを見るローエ。

あれ、悪い予感がするよ。


「あらー、へええー、ふうぅぅぅん・・・!イオリったらやるわね!!」


絶対なんか誤解してるぅぅぅ!!

「ローエ!だから違くて!友達なんだよ!とーもーだーち!」

「へええー、そんな友達からあーんしてもらってたんだ。」

「ふぁっ!?ちょ、違っ!?」

「あーん!?」

俺が慌てて訂正しようとすると、エティーがそんなことしてたの!?という感じで叫んでネフィーを見た。


ネフィーは・・・・・・ようやく自分があーんをしていたという事実に気がついたようで一瞬で顔を真っ赤にして驚いた表情で固まっていた。

これはいかん!ネフィーはそんなつもりはなかったんだからちゃんと誤解は解かないと!

「いやいや!アレは・・・アレだよ!友人としてよ!な!そうだよな!?ネフィー!?」

「あわわわわわわわわわわわわ~!!!!」

ネフィーが壊れた!?


ネフィーは両手で顔を覆ったままどっかにばびゅんと走ってった。

ものすごいスピードで、俺の【武術超越】よりはるかに速い。

しかも人混みの中をものすごい滑らかに避けながらだ。

両手で顔を覆っているにも関わらず。恐ろしい子。


・・・って!悠長にしてる場合か!?

ネフィー追わないと迷子になるぞ!?

『私がついていくわ!』

花の精霊がびゅーんと追いかけていった感覚がした。

精霊が側にいてくれたら精霊同士はネットワークで連絡?か書き込み?でわかるらしいし、俺の側にいる光の精霊が教えてくれるだろう。


「ちょ、ちょっと!?ネフィーどこに行ったのかしら!?」

エティーが慌てて追いかけようとしたが俺は止めた。

「エティー、大丈夫大丈夫。ひとりついてったから・・・精霊が。」

最後だけ声を潜めた言ったらエティーはハッとして追いかけるのを止めた。

でも心配みたいでチラチラ見てるけどね。

エティーとネフィーは俺が精霊と話したのも見てるし、国王様と話した時に側にいたから俺が精霊の姿は見えなくても常に声が聞こえて話せるというのは知っている。

でもまあ、この場にいる孤児院の皆とエティー以外の道行く人たちに精霊がどうとか言うのは聞かれたくなかったので声を潜めたんだけどね。


「ごめんなさいね。なんか反応がかわいくって。」

ローエはエティーに頭を下げてきた。

「い、いいえ!あのこが恥ずかしさで逃げ出すのがいけないの。・・・あ、あの、あなたは?」

おっといけねえ。エティーは町外れの孤児院なんて行ったことないだろうからローエと初対面なようだ。

ここは俺が紹介せねば。

あ、でも・・・さすがにここで「お姫様だよ」と紹介したらパニックになるからそれ以外を紹介しとこう。

「エティー、この人は俺がお世話になってる孤児院の経営者のローエだよ。この子どもたちはそこの子たち。ローエ、ハンター仲間のエティーでさっきのはエティーの双子の妹のネフィーだよ。」

「えっ!あなたハンターなの!?すごくかわいいからそんな風に見えないわ。」

そりゃあ今はおしゃれしてるからね。

いつもの銀の鎧着てたらそれなりにハンターっぽく見えるんだけどね。


「イオリがいるっていう孤児院の方なのね・・・。とっても優しそうな人ね。この人と1つ屋根の下で暮らしてるのね?」

なんでか知らんけどエティーは俺を睨んできた。なぜだ?

「んまあ、1つ屋根の下って、孤児院が何件もあったらそれはそれでどうなん?ローエは孤児院皆の心のママンだよ。あ、グランは違うか。」

そう言ってグランをチラッと見ると、俺が慌てふためく姿をみて笑っていたのをやめてギロッと睨んできた。

こっちいじってくんなって顔だ、へいへい。


『イオリ、花の精霊がついてった人間の姫が落ち着いたみたいよ。イオリともうひとりの姫を探してるって。』

「ん、エティー、ネフィーが落ち着いたみたいだから合流しよう。」

「わかったわ。」


それからローエたちとは別れて俺とエティーはネフィーを探して、すぐに合流した。

結構な人混みの中からネフィーを探すの苦労しそうだなと思っていたら、花の精霊がネフィーのいる位置から花びらを舞わせてたからすぐ見つかった。

ただ、花びらを舞わせたのは目立ってネフィーは突然自分の頭上から花びらが舞ってきて再びパニックになりかけていたので合流しだいすぐに花びらは消してもらった。

『ごめんなさいね。サービスのつもりだったんだけど目立たせちゃったわね。お詫びに、えいっ!』

花の精霊がそう言うとネフィーとエティーの髪飾りの近くに花が咲いた。

2人ともおなじ白い花で、2人の髪色にも髪飾りにも似合ってる。

「花の精霊が目立っちゃったお詫びだって。」

2人は急に髪に咲いた花に驚いていたけど、かわいいと喜んでいた。

ネフィーはほんのり顔を赤くしてあんまり目を合わせてくれなくなってたけど、まあ、あんな勘違いが起きた後だったら気まずいよね。

あ、ネフィーにはちゃんとローエたちの誤解は解いとくからと言っといた。

「誤解じゃなくても・・・」とか言ってたような気がするけど気のせいだろう。



そして食べ歩きの続きをしたり、露店の装飾品売り場を覗いたりして俺たちはお祭りを存分に堪能した。

お祭りの最後は町全体を使った光魔法のショーがあってとてもきれいだった。

花火とはちょっと違ってて、浴びても熱くない光のシャワーとか風魔法で提灯を空に浮かせたりとかしててとても面白かった。


俺は町の北側で2人を見送った。

本当は王城まで送ってこうかと言ったのだが護衛もいるし北側のとこに馬車を止めているからそれに乗るから大丈夫だと言われた。

ネフィーはともかくエティーは王城まで歩ける体力はあるのだがやはりお姫様なので防犯で馬車を、ということらしい。

お姫様も大変だね。

「今日はなかなか楽しかったわ。」

「ええ、とても楽しかったですわ。」

エティーはツンデレが発動しながらも楽しんでくれたのは終始笑顔だったのでわかった。

ネフィーも一時はどうなるかと思うほどオロオロしたりあわあわしたりしていたが楽しんでくれたようでよかった。

「俺も楽しかった。エティーはまたハンター一緒に依頼受けようぜ。ネフィーもお茶会ももちろんやるけど、どっか山とかにピクニックとか行こうぜ。」

「しょうがないわね、一緒に依頼やってあげでもいいわよ。」

「ピクニック・・・行ったことないから行きたいですわ。」

2人とも嬉しそうにしてくれた。


「んじゃ!」と言って2人と別れた俺。


エティーとネフィーと初めてのお祭りはとても楽しかったなあ。

鼻歌混じりにルンルン気分で俺は町のある路地に入る。

町はお祭りが終わりとなって、提灯を片付ける人たちや帰り支度をする大道芸人や露店商でちょっと寂しい雰囲気になっている。


だが・・・そんな寂しい雰囲気をぶち壊しそうな狂喜が俺の向かった路地に広がっていた。



「ああ・・・なに、このもどかしい感じ。ネフィーのあのうぶな反応見た?気づいてないあのキョトン顔もよかったけど、気づいた後のあの反応!見た!?はあ、はあ、キュンキュンする!」

『ふははははは!!さすがイオリだ、いい弄りネタをくれて本当にありがたいよ!早速あの姫たちとイオリの馴れ初めから現在に至るまでの特集を組むか!』

「エティーがローエに嫉妬してるところもよかったわー!どう見ても一緒に住んでるってところに嫉妬したわよね!?でも素直になれなくてイオリを睨んじゃうところがエティーのかわいいところなのよねー!?本当にかわいい!はあ、はあ・・・!」

『この際だ、イオリの取材したものを書籍化しようかな?表紙はもちろん両手に花のイオリがいいな!ぷぷぷ・・・!』


「お前ら・・・!!人で遊ぶなーーーー!!!!」



その後1時間ほどストーカーと風の精霊神は庵に怒られて説教されたとな。



次回の閑話でこの章は終わりまして、次の章になります。

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