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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第6章 勇者の剣と記憶
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148話 「大群」と向き合う騎士団長

ロディオータ視点ぽい三人称視点で少しだけ短いです。

騎士団長ロディオータは驚くべき展開についていくのがやっとでこめかみに手をやっていた。


能力をかわれて史上最年少で騎士団長になり、火魔法が得意ということで魔剣「天照(テンショウ)炎剣(エンケン)」を国王に賜って【神の炎を持つ者】という称号までもらって何年も経ち、それなりに経験も積んで騎士団長としては動揺することはあまりなくなったと思っていたのだが。


うん、なんなの彼。

あんなでかい空間魔法維持したままさらっとクープーデン様レベルの最硬度の結界を出して「そんなことより」と言って怪我人を全員回復するとか。

それだけじゃなく、とチラリと騎士たちハンターたちの周りを見れば様々な魔法動物たちが臨戦態勢で魔物を威嚇していた。

氷の狼は唸り土の蜘蛛はシューと鳴いて風の馬はいなないている。

騎士たちハンターたちもめちゃくちゃ戸惑っているが一応副団長とギルマスがイオリの仕業だと説明したので目に見えた混乱はない。

でも大半が魔法にない動物なのだ。

魔法にないのにどうやって彼は具現化したか、さっぱりだ。

もう一度言おう、なんなの彼。


因みに結界内には怪我人用のスペースがあってそこは現在治癒の猫10匹と治癒の犬10匹が待機中で怪我人は猫まみれや犬まみれになることで怪我が治るようだ。

荒れた心も癒えそうでロディオータは後で世話になりたいなと思いつつ、こちらに向かってくる魔物たちに気持ちを切り替えた。


「団長、結構近づいて来たのでそろそろ我々から仕掛けていいのではないでしょうか?」

副団長は魔物たちの様子を見ながらこちらに行ってきた。

「そうだね。・・・皆!聞いてくれ!」

ロディオータは声を張り上げた。

「魔物たちがこちらに向かって来るのを様子を見ていたが、遠距離ではなく直接ぶつかる作戦にしたようだ。こちらとしてもこれ以上近づかれる訳にはいかないので、これより突撃を許可する!弓矢や魔法が得意なものは後方から援護射撃をするように!怪我をしたら結界まで戻って来るように!」

そしてロディオータは続けて動物たちに声をかけた。

「援軍ということなら君たちも存分に戦ってくれ。そして皆をできるだけ守ってくれ。」

動物たちはそれぞれ鳴いて返事をしてきた。

どうやら庵が言った「ロディオータさんの指示に従うように言っといた」というのはその通りらしいと思えて少しほっとした。


因みに今回、ロディオータは戦いに参加しない。

剣を持つ身なので我こそはと前線で戦いたい気持ちもあるが、騎士団長になってからはそれもなかなか難しいのだ。

特に今回は副団長が最近昇進したばかりなので慣れてないうちに副団長に任せて前線に出るということはできなかった。




「「「うおおおおおお!!」」」

勇ましく駆け出す騎士たちハンターたち。

魔物たちとほどなくぶつかりらそれぞれの戦いが始まった。


「ンオオォォォッ!」

キュクロプスがこん棒を振り回し、騎士たち一人一人を潰そうとこん棒を振り下ろしてくる。

騎士たちはそれらを避け隙を探っているとキュクロプスの足に影のネズミがわらわらと群がって噛みつきだした。

「ンオォ!?」

キュクロプスが足を振り足元を見ている隙に騎士たちは攻撃してこん棒を持っていた腕を切り裂いた。

そこに水の鮫が素早く近づいてもう片方の腕に噛みついて食いちぎった。

そして魔法が得意な騎士が雷魔法を放ってキュクロプスは倒れた。


「ピイィィィィッ!」

空を飛ぶハーピーの衝撃波に飛ばされそうになったハンターの前に盾の亀が素早く出てきて衝撃波を防ぎ、他のハンターが弓矢で羽を射つと火の鳥がハーピーの死角から火を吐いてハーピーはあっという間に丸焦げになった。


抱きついて焼き殺そうと近づいてくるタロスに雲の羊がわざと近づいてタロスに抱きつかれるが、雲なので焼かれない。

その隙にハンターがタロスの後ろに回って弱点とされているかかとにある栓を抜いた。

その栓を抜かれて中の燃料がドバドバ出て、タロスはプシューーという音を出して動かなくなったところを風の馬が後ろ足で勢いよく蹴ってタロスの体がバラバラと崩れた。


骨を鳴らして武器を振り回してくるスケルトンの集団の攻撃を騎士たちが盾で防いでいるとに光の蛍が集団となって光り、それは神聖魔法だったようでスケルトンたちは苦しみ出して他の騎士たちや動物たちにあっという間に倒されてバラバラになった。


その他にもいたレベルの低い魔物たちも動物たちや騎士たちハンターたちによって次々と倒されていった。

動物たちが援軍で騎士たちハンターたちを守っていたとしても怪我人は出たが、すぐさま怪我人は土の蜘蛛の糸に絡めとられて結界内に送られて猫まみれか犬まみれになって異常にスッキリした顔で戦いに戻っていっていた。


「・・・・・・。」

ロディオータは遠い目をして見守っていた。

「・・・なんだろう、動物たちの動きが良すぎてどう見ても我々人間に合わせて戦ってるよね?俺たちっているのかな?」

「団長・・・。」

側にいた副団長は心中お察ししますという顔で同じく遠い目をしていた。



動物たちの動きが良すぎるのはもちろん精霊の仕業である。

『いけいけー!イノシシ突っ込めー!』

『土の!怪我人ここにいるよおー!』

『こっちオリハルコンのトカゲこれる?金属の!』

『おお!行こうではないか!』

『氷漬けにしてやるわ!』

庵についていかなかったほとんどの精霊は動物たちの近くで動物たちを操っていた。

実はこれも情報の精霊の采配で面白がった精霊たちがやっているのだ。


『ふう、普段は眺めているだけだからこういうのも面白いものね。』

『そうだよね、これもイオリのおかげだね。水の。』

『あら、獣の。』

お互い空中にふよふよ浮きながら話をしている。

『こっちは順調に終わりそうね。あっちはどうなっているのかしら?』

『ネットワークの生配信見てみよっと・・・わあ、混血がボコボコにされてる。人間じゃない魔法使いに。』

『あらまあ・・・。大丈夫かしら、情報の。イオリがボコボコにする予定だって張り切ってたわよね?』

『情報のってテンションすごいからね。ものすごくショック受けてそう。』



『でも・・・なんでかしら、なんかこのままでは終わらない予感がするわ。』


水の精霊が誰に言うでもなくぽつりと呟いた言葉は現実となる。




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