136話 「大群」直前
前半庵視点で後半3人称視点です。
そして短いです。
晴れてレベルBになった俺。
これでグランとルビーナと同じレベルだーい!と足取り軽く帰ったら。
「あ、俺一昨日レベルAになったぞ。」
というグランからの衝撃発言が。
はああっ!?受かったんなら教えてくれてよかったのに!
報告とか面倒臭いタイプか!?
因みに俺は褒めてほしい気持ちから報告とかちゃんとするタイプだ!
「ひどいわグラン!あたいとあなたの関係ってそんなものだったのね!?」
俺はおいおいと広間の机に突っ伏して、対面でのんびりお茶を飲むグランにそんなことを言った。
「は?なに言ってんだお前?」
「そんな冷たい言い方して!あたいとは所詮お遊びだったのね!あなたとは別れるわ!」
プイッとそっぽを向いてみた。
「なんだその口調に芝居は?」
「え、もてあそばれた彼女のモノマネ。」
「子供たちの前で変なことすんな!」
子供たちはお絵描き中でぽかんと俺たちを見てきていた。
「もてあそばれたって、なに?」
孤児院だからそんな話題に疎いのか、インカがそう聞いてきた。
「かわいい女の子にいっぱい好きって言ってたのに、その女の子が好きになったら「そんなつもりじゃなかった、冗談のつもりだった」って言って振ることだよ。」
「え、ひどい!」
「グラン兄ちゃんまさか・・・?」
子供たちは冷たい目でグランを見た。
「お前ら変な誤解すんな。そんなことするわけないだろうが。」
「そうだよね。だってローエ姉ちゃんと恋人同士だもんね。」
「「「はあ!?」」」
突然のインカの言葉に俺とグランとロックがすっとんきょうな声をあげた。
「えええっ!?そうだったんかグラン!?って、なんでグランも驚いてんの!?」
「グラン兄ちゃんそうなの!?俺知らなかったぞ!?」
俺とロックが詰め寄るとアワアワしたグランは必死に首を振った。
「ち、違う違う違う!!俺はローエとはそんな関係じゃねえ!」
ええ?
インカを見るとインカは何でもない顔をしている。
「だってどう見てもグラン兄ちゃんとローエ姉ちゃんラブラブじゃない。」
「はあ!?なにがどうなってそうなんだよ。俺は別にローエのことなんて・・・。」
グランはなんかモゴモゴと言ってる。
ちょっと耳が赤い。
ピーン!
ははーん。そういうことですか!そうですか!
そりゃあね、2人は同じ孤児院で育った幼馴染みってことだし、経営も2人でやってるってことだし、ローエは家事ができて料理うまくて優しいもんな。
それにローエだって頼りになるグランを好きでもおかしくはないわな。
俺はニマニマしてインカに声をかける。
「インカ、これは確実にそうだな。」
「あら、イオリやっと気づいた?私はとっくに気づいてたわよ。」
2人してニマニマしてグランを見ると「変な目で見るな!」と睨まれた。
おおこわ。
「でもこれ以上首突っ込んだら馬に蹴られるから止めとこう。」
「うふふ、私も蹴られたくないわ。」
「え?なに?馬がなんで蹴るんだ?」
ロックはなにもわかってないのか首を傾げている。
まあ、ロックには早いかな。
そんな意外なことがわかったりなんかして孤児院は呑気な空気に包まれていた。
同じ頃、孤児院の呑気が吹き飛ぶほどのピリピリした空気が漂うところがあった。
魔界のある屋敷だ。
「それで、魔物は集まったのか?」
部下と思われる魔物に問うのは魔王補佐から任を賜った副将軍ペルフィドである。
部下は醜い頭を垂れてペルフィドに答える。
「は、ざっと300ほど集まりました。いずれも魔王軍とは関係のない野良ばかりです。」
「本当はアスピドケロンの成体を混ぜたかったが、さすがにまずいだろうな。だが、何体かレベルの高い魔物も紛れ込ませただろうな?」
「はい。ペルフィド様に言われた通りに。人間のハンターや騎士どもの撹乱にはいいかと。」
それを聞いてペルフィドはくくくと笑った。
「今回の「大群」はノヴェーラとかいう町に向ける。300となれば多くのハンターと騎士どもが町に集まるだろう。紛れ込ませたレベルの高い魔物どもにはハンターや騎士どもの足止めになってもらうぞ。」
「その隙にペルフィド様が直々に城の結界をすり抜けて王城に乗り込んで剣を破壊なさるという算段ですね?」
「そうだ。本来ならば人間のハンターや騎士どもなどどれだけ束になってかかってこようが相手にもならんだろうが、人間どもの度肝を抜くためだ。驚き慌てふためき無力だと絶望させてやりたいのだ。」
部下はニコニコ笑って頷く。
「素晴らしいです!さすがペルフィド様!・・・あ、ですが、アレはどうします?前回なぜか空間魔法で全員魔界に戻ってきたではありませんか?それの対策はどうされます?」
「恐らくあの空間魔法は状況的にも人間のなかに魔法の才のある奴がいたのだろう。もし前回と同じように空間魔法が出現したら遠くからでも渦がわかるから、大きく迂回するようにして回避行動をとるか避けられぬようなら渦に飲み込まれないよう風魔法で逆風を起こすか土魔法で風避けを作るかして少しでも足止めするようにしろ。」
「承知しました。空間魔法を使っている人間はわかりませんから、とりあえず魔法を使っていると思われる人間は片っ端から遠距離攻撃するというのもやりましょうか。」
「そうだな。そのように進めろ。」
ペルフィドは満足したようにニヤリと笑った。
「くくく・・・、本当に楽しみだ。剣を壊した後は人間の王族貴族を殺して回ろう。」
それから時は流れ、あっという間にイベント開催期間の1ヶ月が過ぎようとしていた。
イベント最終日の3日前の朝方。
レイスが出た森周辺を見回っていた騎士たちが、ついに「大群」が来るのを確認した。
今年はこれで書き納めです。
来年もどうぞよろしくお願いします。




