132話 レベルB試験
「そういえばイオリ、レベルB試験受けられるわよ。」
騎士団の依頼が来月に延びたけど報酬は今月もくれるというのを遠慮なくもらおうとロディオータと話して数日後、ギルドに来たら報酬を渡しながらオリアナさんはそんなことを言ってきた。
正直、そろそろかなとは思ってたよ。
騎士団の依頼や護衛に討伐、採取と結構色々依頼やったからね。
「受けるかい?」
「そうだね。受けようかな。」
レベルBになったらグランやルビーナと同じレベルになるんだなあ。
正直、グランたちと同じレベルというのは気が引けるけど、レベルが高くなると依頼も報酬が高いものが受けられるからいつも世話になっている孤児院をもっと助けられるな!という思いが強くなる。
でもローエったら、この間のイベント初日以外全然お金使ってくれないんですのよ!ちくしょう!
『試験受けるのかイオリ!頑張れよ!』
『応援してるわよ!』
今日の俺の担当?の火の精霊と音の精霊がそう言ってくれた。
「一応言っておくけど、イオリは実力試験はレベルAまで合格しているから明日行われるレベルB実力試験は受けなくていいからね。」
あ、そういやあそんなことになってたね。
忘れてた。
「忘れてたって顔してるわね・・・。まったく、こんなこと忘れる普通?」
オリアナさんに呆れた顔をされたが「大群」や国王様と謁見なんてあったししょうがなくね?
「実力試験はそういうことだから、イオリは明日の午後からある野外試験を受けたらいいだけよ。」
「野外試験はなにやるの?」
「護衛よ。それも貴族の。」
「貴族の護衛が試験?」
「そう。レベルB以上は貴族から依頼があることが多くなるから、必然的に貴族と関わることが増える。だから貴族との相性を見るみたいなものね。」
なるほど。
でも俺はアルやエティーと仲いいから多分大丈夫なはず。
あ、でも貴族が全部いい奴とは限らないか。
「集合場所は町の東側の出入り口のところよ。」
「りょーかい。」
そして俺は翌日の午後、町の東側の出入り口にやって参りましたー。
出入り口には数人の男女と馬車があった。
もしかしてあの馬車が貴族のかな?
外側が淡いクリーム色に塗られてて控えめな装飾で彩られていて、町で見かける木目の馬車とは明らかに違う仕様になっている。
チラッと見るかぎり貴族っぽい人は見当たらないから貴族は馬車の中にいるのかな。
「あ、来たねイオリ。」
ギルド職員が俺に気づいてそう声をかけてきて、参加者と思われる男女がこっちに振り向いた。
「「「イオリ!?」」」
「あれ!?」
振り向いた男女の中になんとアルドたちがいた。
『わはー!こいつらがイオリをディスりまくってた奴らだね。こいつは面白くなりそうだ!』
俺の肩に乗っていた情報の精霊はそう言ってケケケと悪そうな笑い声をあげた。
そうです。まことに残念なことに今日の俺の担当?は情報の精霊です。
『試験の様子を僕直々に生配信したいから来ちゃったーテヘ☆』とのたまってやがりました。
来ちゃったーテヘ☆とかおのれはどこの彼女だ。
アルドたちは俺に捨て台詞を言ったこともあってちょっと気まずげにしてる。
他の試験参加者と貴族もいるんだから、色々と言ってくることは多分ないと思うけど。
アルドたちの他に参加者は男性2人に女性2人で、参加者は合計9人のようだ。
因みに男性2人、女性2人はそれぞれパーティ同士で2パーティとも他のところから来てたまたま今回の試験を受けるようで俺のことは知らないようで俺の顔を見ても反応はなかった。
「では、参加者全員集まったところで試験内容を詳しく説明します。」
ギルド職員は少し咳払いをして話し始めた。
「貴族の護衛が試験内容と聞いていると思いますが、護衛する貴族の方はここから東にある砂漠に観光のために向かう予定なので、その護衛をするようになります。滞在時間などは一応1時間を予定してますが貴族の方に任せてますし、その他貴族の方の護衛として要望に応えるようにしてください。帰ってきたら貴族の方の本来の護衛がここに待機してますので、交代してそのまま解散していただいてかまいません。結果は後日ハンターズギルドに来られた際に合否をお伝えします。」
そしてギルド職員は派手な馬車に近づいてドアをノックした。
ドアが少し開いて執事と思われる男性がギルド職員と話して、執事はドアを開けて出てきた。
続けて貴族服を着た男女が馬車からおりてきた。
男女共に俺と同じ歳のようで、爽やかそうなお似合いのリア充カップルだ。
「アーネスト子爵令息のフィル・アーネスト様とクラリネ男爵令嬢のリリア・クラリネ様です。」
ギルド職員がそう俺たちに紹介して男女は俺たちに一礼してきた。
「試験とはいえ護衛、よろしく頼む。」
「よろしくお願いします。」
俺たちも慌てて一礼した。
そうしてギルド職員は去っていって、俺たちは出発しようということになった。
貴族の馬車は御者のみで、その御者は背の低いおじいさんでどう見ても強そうに見えないから、貴族や馬車を守るのは完全に俺たちだけということなんだろう。
俺たち9人が馬車の左右と後方を囲んで行くことになるようで、馬車は歩行スピードに合わせて走ってくれるらしい。
今回スピードを合わせてくれるのは急ぎではないからのんびり走らせてリア充でおしゃべりを楽しみたいみたいだ。
そうはいいつつ、俺たちの試験ってことで気を遣ったのかもしれんけどね。
さて、ここで問題が。
こういうときに誰かがリーダーシップ出すところなんだけど・・・。
やっぱり参加者の中で年上にリーダーシップとってもらうべきなんかなあ。参加者の中で1番の年上ってことは、アルドたちのパーティだからアルドに託すべき?
俺がそう思ってチラッとアルドを見たらアルドはなんでか俺をチラッと見てきて目が合った。
そしてキッと睨まれた。
「うえ?」
俺が訳がわからず首を傾げたら無視されて「じゃあ、俺が馬車の周りを守る配置を決めるぞ」と皆に言った。
アルドが決めた配置は・・・正直、適当に決めたなって配置だった。
馬車の左側に男性2人と女性2人の2パーティを置いて右側は俺1人、そして後方はアルドたちパーティというなんじゃそらな配置だ。
馬車左側の2パーティが俺1人という配置にものすごく困惑していたが、なにも言いださないでいた。
っていうか、後方にアルドパーティ固まってるって、楽してるじゃねえか。
後方から攻撃ってあんまりないから楽なはずだよ。
んまあ、俺は1人でできると思うからいいけどさあ。
『僕はイオリがボッチ・・・じゃなくて1人というのはいいと思うね!だってイオリが護衛するなら魔人どころか魔王が攻撃してきても大丈夫だろうからね!』
ボッチと言いやがったなこのやろう。
っていうか魔王なんて攻撃してくるか!
してきても俺なんて一瞬であの世行きだわ!
ストーカーの言葉は無視しているうちに配置のこととかを話していた俺たちをニコニコ眺めていたリア充カップルは「じゃあそろそろ行こうか」と言って執事と馬車に乗り込んだ。
そしてゆっくりと馬車が動きだし、俺たちはアルドが指示した配置通りに移動して俺は馬車の右側を歩きだした。
そうして一応は周りに注意しながら東に移動して砂漠に向かった。
だけど困ったことになった。
「君ら本当にレベルC?もっと早く魔物倒せねえの?まじで?」
「まだ四芒星の魔法だなんて使ってるの?ダサいわ。」
「このまま護衛できるのか?」
アルドたちは馬車の左側の2パーティに目をつけたのだ。
嫌な人たち再び!




