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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第6章 勇者の剣と記憶
132/202

123話 イベント開催

新章です。

よろしくお願いします。

「イオリ!小麦粉10キロ買えたわ!荷物よろしくね!」

「はいはーい!」


「それからもうすぐあそこの店が卵半額券を配るはずだから見張ってて!」

「あいあいさー!」


「あ!じゃがいも・人参・玉ねぎが半額よ!これは買わないと!」


ローエはそう言って八百屋に飛び込んでった。

その組み合わせはシチューかカレーしか思い浮かばないね!

でもここにはカレーはないから今夜はシチューかな。

そんなことを思いながらローエを追って八百屋に向かう。

「イオリ!はい、荷物よろしくね!」

「え!?もう買ったのか!?」

すでにローエの両手には抱えられないほどの野菜たちが。

「のんびりしてられないわよ!これから肉屋に魚屋にいくつも寄らないといけないんだから。悠長にしてたら売り切れちゃうわ!」

そう言って八百屋から飛び出してった。

ま、待ってー!



現在、孤児院の皆で町に来ているのだが、町はとんでもなく賑わっている。

普段でも人が多い方の大通りも老若男女がいつも以上に行き交っていて、そこかしこの商店の軒先に「ただいま大安売り」という垂れ幕が貼られていて店員の呼び込みなんてのもある。

この時期の初日はとにかくどこの商店も露店も安売りをやっているそうで、ローエは毎年初日を狙って孤児院の皆総出で買い物にきて食料やらを買いまくっているらしい。

しかしながら今年は俺が間接的に寄付したお金もあるし、買った荷物は俺のリンクに入れられるということでローエの買い物熱が爆発したようだ。

そんなローエにちょっと引いてるグランは子供たちの引率者に徹していて子供たちは露店を覗いたり事前にローエがあげたお小遣いでお菓子を買ったりしているようだ。


え?なんで町が賑やかで安売りをしてるかって?

それは話題のイベントのおかげなのだよ!


なんと!勇者の剣を抜くイベントがついに開催されましたー!

わー!ドンドンパフパフ!

そのイベントは1ヶ月間開催されるそうで、その間に我こそは剣を持ってやろうと城につめかける人や剣を見に来ただけの観光客やイベントの賑やかさにつられてやってくる商人やハンターでこの時期町は人が多くなるそうだ。

そして数年前からはそのイベント期間中は町の色んな店が安売りをする流れになっていて、そのおかげでますます観光客が増えているらしい。

因みにイベントの最終日には王城ではパーティーが開かれ町ではお祭りをするんだってさ。

あっちの世界にいたときはお祭りなんて行っても疲れるだけだと思ってほとんど行ったことはないけど、こっちに来てからは今の生活が楽しくてお祭り行ってみたいなとワクワクしてる自分に驚く。

噂ではどうやら気になる人を誘ってデートするのが定番らしい。

俺は・・・まあ、どうせ孤児院のメンバーで回ることになるかな。


そして今日はローエにとって恐ろしい援軍が俺の担当?になっていた。


『むむっ!イオリ!このお嬢さんに伝えてくれ!あと数分で南のパン屋でタイムセールが始まるぞ!先着20人にロールパン20個プレゼントだってさ!さらに西の露店で子供服の大幅安売りセール中!さらにさらに東の雑貨屋で石鹸買ったら粗品プレゼントだそうだよ!粗品は僕の情報(・・)では調味料のようだよ。お1人様1回だから皆で行ったらいいよ!』


・・・なぜストーカーが嬉々として協力しているのだろう。

聞いてみたら『え?面白いから。』という本当に面白がってる返事をされた。

おかげでローエを爆発させまくって俺はずっと連れ回されているのだ。

いや、孤児院に貢献できるからいいんだよ?

いいんだけど・・・こんな貢献の仕方を望んでなかったんだけど・・・。

・・・まあ、喜んでくれたならいいんだけど。


なんとも複雑な感じを思いつつ、俺はストーカーの言ったことをそのままローエに伝えた。

「なんですって!?」

ローエの爆発が加速した。

ローエはすぐさま近くでのんびりお菓子を食べていたロックたちを呼んだ。

「ロックは南のパン屋に向かって20個もらって適当にパン買ってきて!インカは西の露店で子供服を持てるだけ買ってきて!サイズとかは任せるわ!グランとアンは東の雑貨屋に行って1人1回石鹸買って粗品をもらって!私とイオリも雑貨屋に向かって石鹸を買うわ。ロックとインカも買ったら雑貨屋に来て石鹸を買うのよ!雑貨屋の前で待ち合わせということで!一旦解散!」

「「「了解!」」」

「お、おう。」

子供たちは元気に返事をするとお金を受け取りロックとインカが散って、アンは引いているグランの手を引いて散ってった。

うむ、子供たちは素晴らしいチームワークである。


「イオリ!ぼーっとしてないで卵半額券は!?」

「うええ!?」

『配られ始めたよ!』

「配られ始めたってよ!」

「了解!」

ローエはとんでもない速さで人々の間をぬって卵半額券を配っている店に行ってしまった。

慌てて追いかけるけど【武術超越】が発動してないから追い付けない追い付けない。


「イオリ遅い!」

「すんまへーん!」

こうしてなんと初日はローエに振り回されて終わった。

夜まで荷物を入れまくることとなった俺はヘトヘトになって孤児院に帰ってきて、ローエはたくさんの食料や日用品・服が買えてホクホクして子供たちはたくさんのお菓子やおもちゃまで買ってもらって町中を走り回った楽しさでホクホクしてグランは総じて呆れていた。

その日の夕食はご機嫌なローエの腕によりをかけまくったものとなってめちゃくちゃおいしかった。


因みに食料はローエのかまえていた食料庫に当然全部入るわけがなく、リンクの中なら腐ることはないこともあって食料庫にある程度の食料を入れたら後はその都度ローエの指示で出すことになった。

日用品と服は腐ることがないのもあって孤児院の空き部屋一部屋を倉庫がわりにすることにしてそこにまとめて出した。


あ、もうひとつ因みに今回使ったお金を後からローエに聞いたら城からの寄付金の5分の1も使ってないらしい。

「これで半年以上はもつわ」と清々しい笑顔で言われた。恐ろしい。







「おおう・・・。」


激動の初日を過ごした翌日、昼前にハンターズギルドに来たらここもいつもよりハンターが多く掲示板につめかけていた。

おかげで掲示板の依頼が全く見えない。

「どうする?グラン。」

「こりゃあちょっと間を開けた方がいいかもな。」


今日はグランと一緒に依頼をすることになった。

というのも、いつもはグランは朝早くからハンターズギルドに出掛けるのに対して俺は昼前に出掛けるため、普段はすれ違うのだけれども昨日の買い物を空き部屋を倉庫にした関係でグランは今日は朝から倉庫の日用品をまとめていたらしい。

らしいというのは俺が起きて遅い朝飯食ってたら終わったからだ。

んで、孤児院を出掛けるタイミングがたまたま同じになったので「なら今日は一緒に依頼しよーぜ」という俺の提案にグランが乗ってくれたわけだ。



その時、1人の青年ハンターがギルドに駆け込んできた。

「た、大変だ!はあっ、はあっ・・・!」


青年ハンターは息を切らせて大量の汗をかいてカウンターへ駆け寄っていった。

しばらくして話を聞いたギルド職員が立ち上がった。


「緊急依頼です!魔物の群れの討伐依頼を受け付けます!」

その言葉にハンター全員が反応した。

「魔物は50匹ほどのゴブリンの群れで、ここから西の草原の端に出たそうです!亜種のゴブリンも確認されていますので募集人数は30名ほどとします!レベルD以上なら個人・パーティー問いません!報酬は1人15000Gです!」

すると掲示板の前にいたハンターたちや待合所にいたハンターたちがカウンターへ押し寄せてあっという間に募集人数が集まった。

そしてあっという間にハンターたちはギルドから飛び出していった。


俺たちはただただその様子を邪魔にならないところで見ていただけだった。


「・・・ともかく、これでゆっくり依頼を見られるな。」

「それな。」

グランと苦笑して掲示板に向かった。






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