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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第5章 ローワン王城と騎士団
129/202

121話 お茶会に乱入者

ザウトレーヴのお茶目?なドッキリを仕掛けられたおかげかなんか打ち解けられた感じがする。

うっかり呼び捨てしちゃったのも気にしてないようでニコニコしてくれている。

魔人にもいい奴悪い奴がいるなら、ザウトレーヴはいい奴だと思う。




俺は雑談で様子を見ながら切り出してみた。


「ゲヘヘヘ、ザウトレーヴの旦那、実は相談がありまして。」

「・・・なんだいそのしゃべり方。相談って?」

「実はあっしの知り合いに紅茶好きがいましてねえ。旦那の茶葉の話・・・あ、もちろん魔界産とは言ってませんぜ?をしましたら、ぜひ飲んでみたいと紅茶熱をたぎらせましてね。よかったら1杯分でもいいんで茶葉を分けていただければと思いましてねえ。」

「なんだそんなことか。紅茶好きとは素晴らしい知り合いがいるもんだね。ぜひその人間に飲んでもらいたいね。」

「ゲヘヘヘ、ありがとうございますぜ旦那。代わりと言ってはなんですがこちら・・・。」

「ん?これは?」

「ノヴェーラの町で美味しいと人気の店の茶葉でさあ。」

「へえ、美味しそうだ。ありがたくもらうよ。」


わーい!悪代官と悪徳商人風にやってみたけどザウトレーヴは茶葉を分けてくれると快く応じてくれたぜ!

俺としては「お主も悪よのう」「お代官様こそ、ゲヘヘヘ」までやりたかったけどザウトレーヴにはわかんないから諦めた!

ザウトレーヴは開きっぱなしにしている空間に手を突っ込んでゴソゴソやって小さめの茶色い袋を2つ渡してきた。

中を見たら2つとも魔界産の茶葉が入ってた。

「それ1袋で5杯分くらいの量が入ってるよ。1つは紅茶好きの人間に、もう1つは君にあげる。」

「やった!ありがとうございまーす。」

俺はいそいそとリンクに入れた。

これで次回会うお茶会でネフィーにあげられる。

喜ぶだろうなあ、へへへ。


『悪代官と悪徳商人風にしたかったのかもしれないけど、そもそもイオリの口調が雑魚チンピラになってるよ。あとその茶葉の下に山吹色に光る小判を入れとかないと。』

情報の精霊よ、お前はなぜそれを知ってんだ?




「キシャアアアァァァ!!」



急にそんな鳴き声のようなものがして、俺はなんだなんだと声のした空を見上げた。

そのタイミングで影が差し、俺の頭上の上の方を大きな鳥が飛んでいるのが見えた。

なんとなく感覚でわかる、あれは魔物だ!


「キシャアアァァァ!!」

『あれはロック鳥だよ!レベルC!』

情報の精霊が俺に教えてくれた。

「あれは・・・呑気に飛んでいるな。」

ザウトレーヴは俺たちの上で旋回するロック鳥見て紅茶を飲みながらそう言った。

呑気はどっちだよ!?

「でもまあ、イオリなら問題ないだろう?」

え、俺に倒せってか?別にいいけど・・・。


あ、でもロック鳥は遥か上空を飛んでいる。

どうやって倒せと?

周りを見回しても・・・弓矢とかないし、まさか落ちてる石を投げたところで当たるわけないし。

かといってザウトレーヴがいるから精霊に頼めないし。


どうしようどうしよう・・・。


とりあえず石を投げてみよう。

怒って下りてくるかもしれないし、下りてきたら剣で倒せばいいかな。

そう思って俺は足元にたまたま転がっていた掌サイズの石を拾った。

そしてこのまま投げても届かない気がしたので【魔力譲渡】で石に魔力を込めてみる。

これで届く気がするんだよね。


そして振りかぶったらやっぱり発動【武術超越】。

ゆっくり飛ぶロック鳥めがけて羽か体のどっかに当たってくれたらこっちに攻撃を仕掛けてくるために下りてくるかも、ぐらいの気持ちで。

えーい。


ヒュウウゥゥンッ


「ギャシャッ!?」


あ、当たった当たった。

ビューンと落ちてきて・・・あれ?


ロック鳥はまっ逆さまに落ちてきて、俺たちと少し離れた位置にドシーンと地面に落ちてきた。

ちょっと剣を構えつつ近づいてみると・・・。


「あれ?死んでる?」

ロック鳥はすでに事切れていた。

ロック鳥の体をよく見たら心臓部分には穴が開いてる。

そこから大量の血がドクドクと流れ出ていた。

え、嘘でしょ?まさか・・・。

「ほう、これはすごいな。」

興味を引かれたのかザウトレーヴがロック鳥に近づいて心臓部分の穴を覗きこんだ。

「石が見事に心臓を突き破っているね。それでロック鳥は抵抗する間もなく死んだようだ。」


うええーー!?



それからはなぜか血抜きして捌くことになって、俺は毛をむしって内蔵を湖の水で洗いながら取り出して魔剣ナイフで簡単に切り分けた。

魔物と戦うおかげで鳥や獣系を捌くのはだいぶ慣れた。

その時いるハンターたちに教えてもらいながら捌いたり、自分なりに試行錯誤しながらやってるからね。

こっちの世界にきて4ヶ月位で血やら内蔵やらにかなり慣れた。


『このロック鳥はなかなか大きいからきっと美味しいんじゃないのかな?』

なに!?そうなのか!?

情報の精霊の朗報に俺は改めてロック鳥を見た。

確かに肉はピンク色で腿もパンパンで照り焼きチキンにしたらうまそう・・・じゅるり。

だったらこれは孤児院のお土産にしようかなあ?

そう思いつつ、俺はザウトレーヴの様子をチラッと見た。

ザウトレーヴは俺が捌いているのを見ながら俺のあげたお菓子をパクパク食べている。

鳥の解体を見ながらお菓子食う神経はいかがなものかと思いますよ。


「ザウトレーヴさん、この肉いります?」

腿肉と胸肉を両手に持って掲げて見せたらザウトレーヴはチラッと見て「じゃあ、腿肉1本もらえるかい?」と言ってきた。


この魔人様、もしかして甘党じゃなくて食いしん坊か?









少し遡って、庵が剣を振り回していた時。


ザウトレーヴは空間魔法で来てすぐに庵に気が付き、その剣舞に目を見開いていたがしばらく眺めて庵がこちらにまったく気づいていないことを察すると、密かに庵に手をかざした。

そして唱える。


『数多の精霊がひとり、情報の精霊よ。その力を持ってこの者を鑑定せよ・・・、アプレイス。』


するとザウトレーヴの頭の中に庵の情報が流れてくる。

「!?・・・なるほど・・・。これは本当に・・・面白い。」

情報をひとつひとつ見て、ザウトレーヴはくくくと笑う。


同時に、ザウトレーヴの詠唱に応えた情報の精霊もくくくと笑った。



『イオリの情報をあげたんだからこの魔界公爵はきっと動いてくれるだろうね。それでイオリの記憶が戻ればいいけどなあ・・・。』





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