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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第5章 ローワン王城と騎士団
120/202

112話 魔法とやらかし

「嘘・・・だろ!?」


バルドゥインはイライラしながらそう呟いている。

「でもさあ、なんか不正しているようには見えないし、あいつは実力でやってるっぽくねえか?」

「もういいんじゃねえ?あいつとんでもないってこれでわかったし。」

「そうだよな。騎士団長が気に入って国が褒美を出すわけだよ。」

「噂も本当じゃないとおかしくないってあれじゃあ。」

バルドゥインのグループも口々にそう言い出した。

わーい!俺のこと信じてもらえそうだ。


「ま、まだだ!まだ・・・魔法がある!」

うえ?まだやんの?つうか魔法?

「まだ5人残ってるだろ?その5人で魔法一発ずつ得意なのをうつってことでどうだ!?」

そんなかで誰がすごいのうてるかってことかな?

でもそれする必要あんのかなあ?

見た感じ、納得してないのバルドゥインだけっぽいんだけどなあ。



「おうおう、なにやら面白いことをやっとるのう。」

「「「!?」」」

「あ!クープーデン!ヤッホー!」


どこからともなくクープーデンがやって来た。

いつものように大きな球体に乗ってて周りに色んな色の球体が浮かんでて、そりゃあもう色んな意味で浮いてらっしゃる。

他の訓練場の騎士たちも騒然としていて、20人の騎士たちとベンノはとても驚いた後に直立不動になった。

うん?なんで直立不動?え、皆ものすごい汗かいてるよ?


「クープーデンどしたの?騎士団に用事だったのか?」

「ちょっと野暮用でのう。で、騎士団長からおぬしがおると聞いて様子を見に来たんじゃ。」

「そーなんだ。今、俺の実力を見てもらいながら皆の実力も見てるとこ。」

「ほう、楽しそうでよかったのう。」

黒いもやの顔に浮かぶ黄色の目が細められた。


「ちょ、イ、イ、イオリ!!クープーデン様と知り合いなのか!?」

ベンノが慌てて聞いてきたので俺はコクコクと頷いた。

「そだよ。先月知り合ったばっかだけど遊びに行ったりする仲だよ。」

「な!?世界最強の魔法使いクープーデン様と仲がいい!?」

もう今日何度目かの全員のぽかん顔。

もうそれ見飽きちゃったよ。

毎年テレビでやる某アニメか!


「先ほど魔法をやると言っておったのが聞こえたぞ。面白そうじゃからわしも見てええかのう。」

「「「クープーデン様が見学!?」」」

全員また驚いて、魔法をうつ予定の5人なんて真っ青だ。

「え、どしたの?体調不良?」

「体調不良にもなるよ!クープーデン様に見てもらうってどれだけ貴重なことか君にわかる!?うわあ・・・すごい羨ましい!僕も見てもらいたい!!」

ベンノがギリリと歯をくいしばって悶絶していた。

その他にも騎士のなかには5人を羨ましがってる人も何人もいた。



こうして急遽、クープーデンが見学することとなりその結果、魔法をうつ5人はボロボロだった。

どうやらいつもはうてるのに緊張で震えてうてなかったり詠唱を噛んで不発だったり、いい格好をしようとできない魔法を唱えて魔力が足りずぶっ倒れたりなどなど・・・。

クープーデンって俺には気のいいじいさんに思えるのになあ。

俺が実感してないだけで最強の魔法使いだもんね。

普通こんなに気安く話すことないか。


「次はイオリだよ。」

ベンノに言われて魔法をうつべく皆と距離をとった。

もちろん俺は魔法をやったらとんでもないことになるのは自覚しているので、トイレ行くフリして光の精霊と打合せしたよ。

木の精霊の時のように俺は棒読みで詠唱すると、タイミングのいいところで光の精霊がやってくれるって訳だ。

『任せてイオリ!色んな戦いを見せてくれたんですもの。喜んで協力するわ。』

ということで周囲を確認。

よし、皆離れてるね。


「はいじゃあ、いきまーす。」

俺はそれっぽく手を前にかざして心を込めずに詠唱した。


「数多の精霊がひとりー光の精霊よー無数の光をもってー我が前の結界に避けれぬ光線を放てー」

俺の周りに無数の光の玉が出現した。

数は・・・えーと20?え、多くね?

あ、サービスなしって言うの忘れてた。まあいいや。


「インフィニティ・レイー」


ギュウウウゥゥンッッ


そんな音を出しながら光の玉から次々と光線が出て、一瞬で結界に届いた。

要はアレですな!ビーム!

アレのものすごい数のが結界にうたれた。

思ったより光線が多かったけど、結界大丈夫か!?

・・・ほっ、どうやら見た感じヒビも入ってなくて大丈夫みたいだ。


「ほー、すごいのう!」

そんな声が聞こえて皆の方を見てみるとクープーデンはニコニコしながら拍手をしてくれたが、他の皆はまたぽかん。

あはは、しょうがないよね。

だってこのインフィニティ・レイって・・・第七芒星の中でもレア魔法だもんね!

光の精霊がこれがいいって言ってたから採用したんだけど、ちょっと・・・いや、結構やり過ぎだよね。


「イ、イ、インフィニティ・レイって普通は光の玉が5のはずなのに・・・。」

ベンノがそう呟いていた。

え、そうなの?やっぱり光の精霊のサービスで20になったのか・・・。

まあ、やっちゃったもんはしょうがない。


こうして、今日は俺と騎士たちの実力を見せあったところで夕方になった。



「あ、そういえばクープーデン。ここに張ってる結界ってもうちょっと強いの張った方がいいよ。結構魔法とかドカドカ当たってるらしいから割れたら大変じゃない?」

俺のその言葉にベンノをはじめ騎士たちはぎょっとしてクープーデンはほう、と興味深いという返事をしてきた。

「イオリ、それは誰かに言われたんか?」

「え、うん。情・・・じゃなくて、知り合いが俺がちょっと頑張ったら割れるって言ってたから。」

「ふむ・・・、知り合いのう。」

クープーデンは精霊だと察したようでうんうんと頷いていた。


「は?ちょっと頑張ったら割れる?だがあの結界は・・・」

「だよな?割れるか?」

騎士たちは戸惑ったようにヒソヒソと話していた。

「俺が割れるんなら皆も割れると思うから、もっと強いのにした方がよくないかな?」

騎士たちはさらに戸惑った反応をして、クープーデンは面白そうにふふふと笑った。

「そうかそうか。では張り直すからおぬし、試しに割ってみるかえ?」

「え、いいの?」

「かまわんよ。」

あ、しまった!かまわんよと言うなら「しのびねぇなあ。」を先に言わないと!

某漫才コンビの代表的フレーズなのに!

・・・それは置いといて、結界だ結界。

ちょっと試しに割れるかやってみようかなあー。


「え、あ、おい、さすがに無理だろ!あの結界をだなんて・・・。」

じつに呑気で軽い俺とクープーデンの会話にさすがのバルドゥインも引いている。


俺はそこら辺に立て掛けておいたバスタードソードを取ってくると腰にさして構えた。

ふふん、どうせやるならかっこよく居合い斬りというのをやってみようかな!

漫画やテレビでなんとなくポーズは見たことあって1度はやってみたかったんだよねえ。

足をちょっと広げて腰を低くして鞘に入ってる剣の柄を握り、集中したところで素早く抜きながら斬る、だよな?確か。


俺は腰を低くした構え、集中した。

結界からはだいぶ距離があったけど、なんとなく届く気がした。


あ、【武術超越】が発動したみたいだ。


集中・・・集中・・・

多分魔力と思われるなにかが集まって来るのを肌で感じた。

そしてイメージしながら結界を見つめる。


結界を斬る・・・斬る・・・斬る・・・



「はあああぁぁぁっっ!!」



パキィィィィンッッ



勢いよく切りすぐに鞘におさめた。

【武術超越】が解けると同時に結界が割れる音がして、結界には大きく横一文字に切れた跡がついていた。

そして結界は傷口からボロボロと崩れて消えていき、なくなってしまった。


「うん、やっぱりすぐ割れるじゃん。」


俺がそう言いながら皆を見ると騎士たちは全員腰を抜かしていて、クープーデンは爆笑していた。




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