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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第5章 ローワン王城と騎士団
114/202

106話 勇者の行方

いつもより短いです。

「戦いと勇気の神、ヴォルデマル神という神を知っているか?」


その名前に俺はとても驚いた。

だってさっき聞いたばっかだからだ。

「ヴォルデマル神って、さっき聞いたばっかだよ!クープーデンって魔法使いに聞いたとこなんだ。大昔に勇者って言われてた神様だよな!?」

俺は慌ててリンクから図書館で借りた「勇者と魔神の物語」を出して見せた。

「そうそう。この勇者のことだ。・・・ふむ、その様子だと・・・お前はヴォルデマル神と会ったことはないのか?」

「それが・・・多分だけど会ったことあると思うんだけど、そこんところだけ記憶がないみたいなんだ。」

俺はこの世界に来る前に狭間の世界に行ったらしいこと、そこでのことを忘れていること、最近夢で忘れている間のことを少し見たことを話した。


「ふむ・・・そのセリフから会話した相手がヴォルデマル神と考えて間違いないだろう。」

「やっぱそうなんだ。あ、でもなんで俺とヴォルデマル神が関係があると思ったんだ?」

「俺はネットワークにあったお前の【能力】でヴォルデマル神と関係があるのではないかと思ったんだ。」

「【能力】?」

「【精霊親和】と【武術超越】はヴォルデマル神の【能力】だ。お前の【精霊親和】には超という不可解なものが付いているが、2つが同じというのはヴォルデマル神が関係していないとおかしいと思ったからな。」

なるほどー!

ということはヴォルデマル神が力を貸すと言っていたのは【能力】のことだったのか。

ということはもう2つの【魔力無限】と【魔力譲渡】はヴォルデマル神が身を隠しているこいつと言っていたのの【能力】ということか?


「だが、【能力】を誰かに貸したり渡したりなど聞いたこともない。だから天界にヴォルデマル神を訪ねて行ったんだ。ヴォルデマル神が本当に関係しているのか、だとしたらお前がなぜこの世界に来たのかも聞きたくてな。」

「うええっ!?精霊って天界にも行けんの!?」

「俺たち精霊は空間とか関係ねえからな。それで、ヴォルデマル神を訪ねたんだが・・・ヴォルデマル神はどこにもいなかった。」

ええっ?

いなかった?

「いなかったって?どっか行ってるとか?」

「一応天界にはヴォルデマル神の住まいがあるがそこにいなくて、くまなく探したし他の神に聞いたが他の神すら行方を知らないようなんだ。」

ええー、じゃあどうしたらいいんだ?

「他の精霊神と話し合って手がかりとして勇者がこの国に託した剣からなにかわからないかと思って俺が来たんだ。だが・・・何もわからなかったな。」

「んえ?剣を見てきたの?え?待って、警備とか大丈夫だったのか?」

「はっ!俺は精霊だぜ?人間の警備なんて関係ねえよ。」

あ、そうかことひと精霊だからその気になったら姿を消せるってことか。


「なにもわからなかったって・・・。これからフレアはどうするんだ?」

うーんとフレアはなにかを考えるように顎に手をおいた。

「そうだなあ・・・。とりあえずはお前の記憶が戻る手がかりを探すか。ヴォルデマル神が誰かの体に隠れてるなら俺たちは行方を追えないしこれ以上は調べることはないしな。」

やっぱ俺の記憶が戻るのが重要ってことね。

俺も思い出せるように頭を捻ってみたほうがいいよなあ。


「店員さん。」

フレアは急に店員を呼んだ。

「獄激辛ペンネアラビアータのブートジョロキアとキャロライナリーパー山盛りで。」

「「はっ!?」」

思わず俺と店員さんの声がハモった。

店員さんはマジでそんな辛いのを食うつもりか!?と驚いて俺はアクアパッツァ食べたのにまだ食べるの!?の驚きだ。

店員さんはドン引きしながら注文を厨房に通していた。


しばらくしたらえげつない匂いがしてきた。

それはもう、「これ以上ここにいたらうっかり死んでしまうかも」と思えるヤバい匂いだ。

『ふぎゃー』

『く、苦しいー』

静かにしていた石の精霊と鳥の精霊が悶絶しているような声を出し、俺も正直苦しい。

「うっ!ゲホゲホ!・・・フレアもう俺出るよ。」

「そうか?せっかくうまいアラビアータ来るのに。」

うまいかもしれないけどうっかり死にたくない。

俺はじゃあとフレアと別れると採算して慌てて店を出た。

わー、空気ってこんなにうまいんだ!







それから1時間ほどして店を出たフレアはタバコをふかして町を歩く。


するとフレアの前にひとりの美少女がひょっこり現れた。

「やっほー!フレア。」

「!?ウインディ。」

フレアはウインディだとわかった途端にはあっとため息をついた。

「・・・お前の望んだ通りになったぞ。」

「ふふふ!みたいね。風たちが知らせてくれたわ。フレアがアホみたいに辛いもの食べてるってことをね!」

「そっちかよ!」

「えへへ☆冗談!冗談!イオリに会ったんでしょ?ね、どうだった?」

フレアはウインディの冗談にまたはあっとため息をつきつつ、答えた。


「お前があいつを信頼したのも、俺に会えって言ってきてたのもわかった。あいつは・・・とんでもねえな。」

実はフレアはイオリを見た瞬間になにか(・・・)を感じ取っていた。

それは人間にも普通の精霊にもわからないなにかだ。

「ふふふ!でしょでしょー!」

なぜかウインディが胸を張ってどや顔を決めた。


「あいつは・・・アレを倒すために来たんだな。そして・・・いや、なんでもない。」

フレアはなにかを思って、思い直し首を振った。

「どうりで情報の精霊が肩入れするわけだ。そうならそうと俺たちに言えばいいのに。」

「会えば分かるから話す必要ないって思われてたか、それか・・・機を見て話すつもりだったとか?」

「なんかそんな言い訳言いそうだな・・・。なんだかんだであの野郎は適当なところがあるからな。」



「あいつがアレを倒してくれるのなら、俺たちは力を貸すことになるだろうな。やれやれ、これから忙しくなるな。」

「【超精霊親和】があるから力を貸さないということにはならないと思うけどね。忙しくなるけど・・・きっと悪くないと思うわよ。イオリ面白いもん。」

フレアは苦笑し、ウインディはウキウキするように笑った。




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