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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第5章 ローワン王城と騎士団
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97話 謁見終わりの移動

俺の提案に国王様は首を傾げた。


「一旦受け取って寄付して寄付する・・・?なぜそんなことをする?」

「自分の世話になっております孤児院に金銭を寄付しようと考えついたのですが、経営者は無理に恩を返さなくていいとハンターで稼いだ金銭をろくに受け取らないので、自分が普通に受け取り経営者に渡しても断ると思うのです。ですが、国からの寄付なら受け取ると思いまして、この方法を思いついた次第でございます。」

ほうほうと国王様は感心したように頷いた。

「なるほど、そういうことか。ではイオリの希望通りにしよう。金額は追って決めることにする。」

「ありがたき幸せでございます。」

そう言って俺は頭を下げた。

ホッ!よかったー!

断られたら普通にお金もらって孤児院の金庫(あるのか知らんけど)に勝手にぶち込んどこうとか思ってたけど、これならローエたち受け取ってくれるよね。


『なるほどなるほど、考えたねえ。それなら国からの正式な支援ってことで受け取らざるを得ないし、国としても孤児院への寄付行為はイメージもいい。だから結構な金額が寄付されるかもね。』

え、そうなん?

そこまで考えてなかったんだけど・・・。




こうして謁見は終わって国王様と王妃様が去った後、俺は騎士の案内で謁見の間を出た。


「やあ、イオリ。」


声をかけられて振り返るとロディオータがこちらに歩いてきていた。

「こんちわ、ロディオータさん。」

「お疲れさま。だいぶ緊張してたね。」

「そりゃ王様の前ですもん。足ガクガクでした。」

俺がわざと大袈裟に足をガクガクさせてそう言うとくくくっとロディオータは笑った。


「イオリ、これから帰るのかい?ちょっと騎士団に寄っていかないかい?」

「騎士団に?」

「この間の大群の時に騎士たちとちょっと戦っただろう?あの時戦った騎士たち、あれからすごく自己訓練するようになったらしいんだ。その成果を見てやってほしいんだよ。」

あれからまだ1週間しかたってないのにそんなに成果ってすぐ出るもんなのか・・・?

まあ、いいけど。町行けないし帰ってもやることないし。

「俺でよかったら。どうせ町に行けないから暇ですし。」

「ああ、噂は聞いてるよ。町でだいぶ追い掛けられるみたいだね。」

「だいぶどころじゃないですけどね。」

俺が遠い目をして言ったので察したロディオータがまたくくくっと笑っていた。



案内してくれた騎士と別れてロディオータの後を追う感じで王城内を歩いていると、バタバタ走っていく使用人たちを何人も見た。

前来たときはバタバタしてる人なんていなかったのに。

「なんか・・・バタバタしてるみたいですね?」

「ああ、もうすぐ年に1度の大イベントがあるからね。」

「大イベント?」

なんだろう?お祭りとかハロウィンとかみたいなのすんのかな?


「あれ?知らない?・・・あ、そうか、記憶喪失だったね。もうすぐ1年の間で1ヶ月間開催される、勇者の剣を持つことができる大イベントがあるんだよ。」


「はあっ!?」

なにその変なイベント!?


「大昔に勇者が現れて魔神を倒した後に剣をこの国に託したという話は聞いたことある?この剣は国の宝ということでいつもは厳重に保管されているんだけど、年に1度、1ヶ月間一般公開しているんだよ。しかも剣は誰でも持つことができるんだ。」

「国の宝をそんなホイホイ持たせていいの!?もし持って逃げられたらヤバくないですか?」

「そこがこのイベントの面白いところで、勇者の剣はろくに持てないんだよ。」

「は?ろくに持てない?」

「持つ人によって違うんだけど、ある人は持った途端に火傷するほど熱くて持てなかったり、ある人は手が凍ったりで誰も数秒も持ってられないんだよ。」

その他、雷にうたれたり毒をうけたりヌルヌルして持てなかったりして絶対に持てないそうだ。

今まで死者や腕を失った人は出てないが怪我人は出るので必ず側には複数の医者がいるらしい。


「誰も持つことができないというのが皆の興味を引いたみたいで、こうして昔からイベント化してしまったんだ。腕試し?とか言って毎年挑戦して名物になってるおじさんもいるんだよ。」

いるよなあ、そのイベントに人生かけてる猛者。

この世界にもいるのかよ。


「そのイベントの準備でここ毎日バタバタしているんじゃないかな。そのイベント中は町もお祭り騒ぎになってるから町に行くだけでも楽しいと思うよ。」

さすがにそのイベント中は商人とハンターたちは落ち着いててくれるかな?

大丈夫そうなら町に行ってみたいな。

え、剣?

俺は怪我したくないので持ちたくありましぇーん。



『ん?・・・イオリ、後ろ後ろ。』

んえ?なんだよその某レジェンド芸人に呼び掛けるような台詞は。

「・・・んん?」

情報の精霊に言われて後ろを振り返ってみたらなにかがサッと柱の影に隠れたのが見えた。

まあ、なにかは黒髪サラサラヘアーに紺のドレスを着ているのが柱から見えてますが。

「ロディオータさんちょっと待って。友達見つけた。」

「え?友達?」

首を傾げるロディオータに柱に隠れている人を指差して教えると、ロディオータはぎょっとしていた。

俺が柱の影に歩み寄ると隠れている人はビクッとして縮こまっている。


「よ、ネフィー。こんなとこでなにしてんだ?」

俺がそう話しかけたら隠れていた黒髪サラサラヘアーの美少女ネフィーがチラッと影から顔を出した。

「どうした?影に隠れる趣味があんの?」

「い、いえ・・・。た、たまたまイオリを見かけて。話しかけようか迷って・・・。」

そこでチラッとロディオータを見た。

なるほど、俺を見かけて話しかけようとしたけどロディオータが一緒にいたから人見知りが発動して、どう話しかけたらいいかわかんなかったのか。

「そんなの気にしなくてよかったのに。気い使いだなあ。」


「あ、あの、噂聞いてびっくりしたの。あの噂って、本当なの?」

「うん、全部本当だよ。でもなんか俺ばっかフューチャーされてるけど、騎士さんたちもハンターたちも頑張って皆で大群を還したんだよ。ほんと、俺なんて大したことないって。」

まあ、アスピドケロンと世界樹はさすがにやり過ぎたと思うけど。

「あ、そうだ。アスピドケロン吹っ飛ばした時に使った枝いる?」

あの枝、俺の【魔力譲渡】で魔力込めたせいかあれからずっと光ってんだよね。

なんかやべえ気がしてリンクに入れてるんだけど。

「間接照明とかに使えるよ。まあ、なにかの記念ってことで。」

「え、枝が間接照明・・・?せっかくだけど、いいかな。」

ネフィーは首を傾げたがすぐにふるふると首を振った。

断られた。残念。


「イオリすごいなって思ったけど、怪我してなくて安心したわ。わたくしはそっち方が気になったから。」

そう言ってニコッと笑ってくれた。

「心配してくれたんだ?ありがとうな。俺、思ってるより素早いから華麗に避けれるよ。」

「ふふ、華麗に?」

「そうそう。キラキラ光の粒出てるかも。」

「ふふふ。」

クスクスと笑ってくれた。


そこへ執事さんが国王様が呼んでるということで迎えに来た。

「今度また遊びに行っていい?今度もなんかお菓子持ってくからさ。」

「ええ、いつでも来て。」

ネフィーは小さく手を振って去って行った。


「すんません、お待たせです・・・ってなにその目?」

ロディオータに歩み寄ると、なぜか呆れた目で見られていた。

「君・・・姫様と友達ってホント何者?めちゃくちゃ仲良さそうだったじゃないか。」

「前にたまたま助けた馬車に乗ってて、それで友達になったんですよ。」

「それで友達にって普通なるかい?姫様に対する言葉遣いじゃなかったし・・・。」

「なったんだからそう言われても・・・。」

言葉遣いはまあ、俺はそこら辺できる人間じゃないし。

まあ、ネフィーが最初からまったく気にしてないから俺も気にせずしゃべってるからなあ。


「というか仲が良いというか、姫様の方はもう・・・。」

「んえ?ロディオータさんなにか言った?」

「・・・いや、なんでもない。」

ロディオータはそう言って苦笑していた。



なにか俺、苦笑されること言ったかなあ?




ストーカー『ケケケ!あの姫、僕のネタ探しに貢献してくれるなんてね!よし、盗撮完了っと。「我らがイオリと黒髪美少女姫の柱の影での逢瀬!」配信だぜぇーー!』


配信数分後


風の精霊神「きゃー!!!(狂喜乱舞)」



イベント開催期間が1週間になっていたので1ヶ月に修正しました。

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