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ハザマ~高校生男子は異世界で精霊に愛され無自覚無双~  作者: 木賊
第5章 ローワン王城と騎士団
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95話 大群後

《すまない・・・君をこの世界に巻き込むことになって。》




後頭部が痛い。


痛みと一緒にそんな声が響いた。


視界は揺らいでいるけど真っ白だから、もしかして狭間の世界?


というか、これは夢?



《私は―――――。―――――の―――――で、今は―――――の体に憑依して身を隠している状態だ。》


声は途切れ途切れだが、あの『声』だ。

俺がこの世界に来る前に聞いた、あの『声』。



《前に勇者として人間界に降りたが、今回は―――――だから降りることはできない。こいつ(・・・)も――――――だから、降りれない。》


目の前に誰かいる。

顔、というか存在自体にモヤがかかっているように姿が見えそうで見えない。



《私は―――――――だから人間界に行くことができないが、君に力を貸すことができる。こいつ(・・・)の力も貸せるだろう。》




《私たちの代わりに人間界に行ってくれ。そしてあいつ(・・・)を、―――――を倒して――――――を救ってくれ。そのために必要なら―――――を―――――。―――は"―――――"――――だ。》




後頭部が痛い。


最後の方はなんて言った?

とても大事なことを言われたような気がするのに思い出せない。





《早く、思い出せ。》



目が覚める瞬間、そんな声が聞こえた気がした。




◆◆◆◆◆◆





「ぴえーん!しばらく町に行けないよー!」

俺は大袈裟に叫ぶと孤児院の広間のテーブルに突っ伏した。


ロックとインカは無視して算数の勉強をして、グランはその2人の勉強を見ていて、アンはよくわからないけどとりあえず付き合ってあげようという感じで俺の頭をよしよししてきた。

ローエは洗濯物を干しに行っててアルはまだ孤児院に来てない。

うえーん!味方がアンしかいない!


「皆が冷たい。しくしく。優しいのはアンだけだよ。」

俺が泣き真似するとグランが睨んできた。

「イオリ、お前子供たちの勉強の邪魔だ。依頼でもしてこいよ。」

「だから町に行けないのに依頼できないもーん!」

「あ?別に気にすることはないだろ?あれくらい。」

「あれくらい!?商人やらハンターたちがずーーっとわらわら追いかけてくるのがあれくらい!?グラン冷たい!アンちゃん傷ついた俺を慰めて!」

「う、うん。よしよし?」

アンはまったくわからずによしよししてくれた。

ありがとう!心なしか引いてる気がするのは気のせいだよね!?


『大丈夫!イオリは私たち精霊に好かれてるんだから、いざとなったら町ごとアレしてあげるわ!』

今日の俺の担当?の水の精霊もよしよししながらそう言ってきた。

町ごとアレってなんですか?

あえて聞かないよ?




あの大群の後、俺は連日商人とハンターに追われることになった。

原因は「魔物の大群」が来た時に色々やらかしたのが、参加していたハンターによって話が広まって一旦は落ち着いていたハンターたちのパーティへのスカウトが増えたこと。

そして1番やらかしたっぽいのが、世界樹を気軽に生やして皆に枝や葉をあげてしまったことだ。

ラノベでも世界樹ってとんでもなく珍しいのは有名で俺でも知ってたが、この世界でもとんでもなく珍しいのにその枝が大群後にハンターたちが大量に町の商店で売ったのだ。

商人たちは高値で売れると小躍りして買い取りまくったそうで、商人皆が買い取ったために現在はノヴェーラの町だけでなくその周辺の町でも価格破壊が起きているそうで、今さら枝や葉を持ってったところでめちゃくちゃ安価で買い取られるくらいになったようだ。

そして商人たちがハンターたちの話を聞いて、俺に目をつけたのだ。

武器商人ならレア素材、道具の商人ならレア道具、魔道具商人ならレア魔道具とそれぞれにとって珍しくていいものを俺なら持ってたり出せたりするんじゃないかと変な勘違いされて追われることとなったのだ。


俺が孤児院で居候していることもバッチリバレているから孤児院にもわらわら商人やハンターが来たりしたが、あんまりにも無遠慮ということでグランがキレて追っ払い、困ったローエがアルに相談してアルが貴族の圧力(詳しくはあえて聞いてない)でなにかしたらしくてそれらが効いたのか孤児院には来なくなった。

でも俺が町に1歩踏み入れた途端に追い掛けてくるから、俺はこれでは町にしばらく行けないと泣いた、というわけ。


もうあの大群後から1週間経ってるのによ?

このところずっと孤児院にいるから子供3人と遊んでるのはいいんだけど、俺としてはハンターの依頼やりたい。


というか、その1週間の間に上の変な夢を見た。

あの声は聞いた瞬間にあの『声』だ!とピンときたが、どこの誰かは姿がわからなかったので手がかりは・・・それなりにあったか。

『声』の主は誰かの体に憑依して隠れてる?らしいこと。

そして『声』の主と誰かはどうやら人間界にいないっぽい発言があったこと。

んで、『声』の主と誰かが俺に力を貸してくれているということ。



そして俺は誰かを倒すためにこの世界に来たことはわかった。

でもまだ完全に思い出している訳じゃないから、どうにかして思い出したい。

手がかりもグランたちに話してみて心当たりがないか聞いてみたいし。

あ、クープーデンに聞いてみてもいいかもしれないな。





「すいませーん。」


と、玄関の方からそんな声が。

え、もしかして商人かハンターか?


チラッとグランを見ると、グランは「俺が出る」と立ち上がった。

そして玄関に向かい、ちょっとしてグランは帰ってきた。


「おいイオリ、お前に客だ。ちょっと来い。」

「俺に客?」

はて?誰だろう?


玄関に向かうと、玄関先に見たことあるようなないような真面目そうな若い騎士が1人で立っていた。

手には巻物みたいなのを持っている他はこの間の大群の時に見た騎士たちと同じ鎧姿だ。

「自分は王城からの使いです。君が、ハンターのイオリ?」

「え、あ、そうです。」

王城からの使い?王城で知り合いというと友達のネフィーかクープーデンかなあ?


騎士は手に持っていた巻物を広げるとこちらに見せてきた。

「国王陛下より王城への登城命令です。」

「へ!?」

「今回の「魔物の大群」に多大なる貢献をしたことを陛下は耳にし、いたく感動されたようで是非とも褒美と感謝の言葉を述べたいとのことです。日時は書いてありますから読んでおいて下さい。この日時にここに馬車で迎えに来ます。」

騎士はそう言うと巻物をくるくると巻いて俺に渡してきた。

俺はぽかんとしつつ、それを両手で受け取った。


「あ・・・はぁ。わ、わかりました。」

「よろしくお願いします。では、失礼します。」

騎士はそう言って一礼するとさっさと去っていった。


うえっ!?俺が城に行って王様と会うの!?

慌てて巻物を広げると、確かに騎士が言ったことが書いていて、日時は明日の昼。

「明日の昼!?急だな!?」

「まあ、あり得ないことではないな。」

隣で一部始終を見ていたグランがそう呆れたように言った。

「あり得ないことではないのかよ!?え、なにこの国って結構フランクに王様に会える感じなの?」

「そんなわけないだろ。お前、自分がやったことがとんでもねえことくらいわかるだろ。それをやらかしまくってあんなに町中だけじゃなく王城にまで話題になってるのに、陛下の耳に入らないわけないだろうが。」



「はわわわわ・・・!ど、どどど、どうしよう!?」





水精霊『あーら大変。情報の精霊に報告しないと。』


庵「やめてー!?」

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