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腐った果実の斜め下備忘録  作者: 腐った果実
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フレイは悪女か? - 手持ちのカードだけで戦った正々堂々の少女

フレイ・アルスターは「悪女」と呼ばれる。

計算高く、男を利用し、裏切り、状況に応じて立場を変えた少女。

少なくとも、そういうラベルで語られることが多い。


だが、その言葉は本当に彼女の行為を説明しているのだろうか。


フレイが生きていた世界は、最初からフェアではなかった。

軍人でもなく、戦う力もなく、守ってくれる制度もない。

戦争という巨大な暴力の中で、彼女に与えられていた選択肢は驚くほど少ない。


それでも彼女は、生きようとした。


フレイが非難される理由の一つに、「打算」がある。

キラに近づいたのは生存、あるいは復讐のためであり、愛情ではなかった――そう言われる。


だが、そもそも恋愛や結婚は、純粋な感情だけで成立するものなのだろうか。

現実の社会では、生活、将来、安定、相互依存といった要素が必ず絡む。

それを「打算」と呼ぶなら、ほとんどすべての人間関係は打算でできている。


自由恋愛とは、本来そういうものだ。

誰と付き合うか、誰と別れるか、誰を選ぶか。

そこに計算があろうとなかろうと、それは個人の権利である。

親の決めた婚約者(いいなづけ)? 

それは自由恋愛の中ではただの条件の一つに過ぎない。

そもそも劇中。同じ世界で、同じように関係を揺らし、選び直していた人物たちがいる。

彼らの選択は「成長」や「葛藤」として受け止められる。


なぜフレイの選択だけが「悪女」という言葉で裁かれるのか。


もう一つ、決定的に見落とされていることがある。


キラ・ヤマトは、自ら望んで戦場に立った軍人ではない。

契約もなく、階級もなく、保護も補償もないまま、

「君が戦わなければ、みんな死ぬ」という言葉で前線に立たされていた。


それは勇気の要請ではない。

責任の押し付けだ。


本来、民間人を守れないと判断したなら、

軍人が負うべき責任は「降伏」という決断である。

だが大人たちはそれを選ばなかった。

それは軍人の義務と言う免罪符を振りかざした自己保身に過ぎない。

そして大人たちは少年にすべてを背負わせた。


しかも、びた一文対価を支払わないまま。


大気圏突入の失敗。

守れなかったという無力感。

キラはすでに壊れかけていた。


そのとき、彼に「あなたは正しい」「あなたは間違っていない」と言い、

なおかつ対価を支払った人物が一人だけいた。


フレイである。


彼女はお願いをした。

だから、自分にできるものを差し出した。

それが性であったとしても、彼女は否定しなかった。


それは美しい行為ではない。

だが、卑怯でもない。


誰も払おうとしなかった代償を、

彼女は一人で引き受けた。


その結果、キラは立ち直り、戦い続け、

多くの命が救われた。


この因果関係を無視して、

彼女だけを「悪女」と呼ぶのは、あまりにも都合がいい。


この世界では、性を武器にすることは糾弾される。

しかし、性の代替表現は賞賛される。

露骨でなければ、象徴であれば、清潔な顔をしていれば許される。


だが、それは本当に正しいのか? 正しい評価なのか?


世界は、ある少女にだけ「汚れ役」を押し付け、

「悪女」の名前で封印して見ないふりをする。


フレイには許せないことがあった、かなえたいことがあった。

その行為は、主人公であれば強い意志と呼ばれ賞賛されることだろう。


あいにく彼女の手には武器がなかった。主人公でもなかった。

だから手持ちのカードで戦った。


それだけだ。


フレイは善人ではない。

だが、悪女でもない。

ただの16歳の少女だったのだ。

それでも彼女は、だれも責任を取ろうとしない歪んだ世界と戦った。

正々堂々と、手持ちのカードから対価を支払った唯一の存在だった。


彼女を悪女と呼ぶことで救われるのは、

責任を果たさなかった大人たちと、

清潔な物語を信じたい私たち自身だけなのではないか。


最後に一つだけ。


だからさ、フレイって何歳なんだっけ。

16歳ぐらい? 

まちがってもいいじゃん。

ああ変な男にひっかかったなぁ、ってのが、1回や2回あったって許してやれよ。

それにあの時の彼女の目利きは正確だった。一番優秀な男を選んだんだから。


と、果実は思うのでした。


お し ま い

初稿 2025/12/31 

本文を書くにあたり、

思考の整理や表現の検討に

対話型AIの補助を用いました。


もっとも、フレイに対する評価と感情については、

すべて筆者自身のものです。

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