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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
紅陽高校クーデター編
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いよいよ決行かー


数日後、休日の夜、俺は紅陽高校近くの喫茶店にいた。

そう、今日が、立花の言っていたクーデターの決行日なのだ。


この選択が正しいのか正直不安ではあったが、結局なし崩し的にではあったが立花の作戦に乗ることになったから俺は奎悟と此処にいる。

しかも、律儀に立花の言いつけを守って雪峰や西條には黙ってきてしまった。


俺の視線の先には、奎悟。

俺はアイスコーヒー、奎悟はコーラの入ったコップがそれぞれの目の前にあった。



「・・・立花の話だったらもうすぐヘッズ会議の時間だな」


事前に紅陽の敷地の外から先ほど下見をしたのだが、休日のこの時間ということもあって校舎には明かりがついてなく、例の研究棟に数えるぐらいの灯りが付いているだけだった。


「今丁度下準備をしているんやろな

なんでも、研究棟の中にいる職員をあの手この手で追い出して無人にしたうえで、更に仕上げで守衛まであの建物から追い出すって計画らしいし」


言い終わった奎悟はコーラを飲んで、癖のついた前髪を指でいじっていた。


此奴の髪は、天然パーマのくせに、地毛が薄くて茶髪なこともあり、ぱっと見は美容院でわざわざパーマを当てたかのような髪質をしている。

顔や髪型だけなら、似非ホスト、という形容がピッタリだと中学の頃から言われていたし、人懐っこい性格も相まって女子からもやはりそれなりに人気のあるやつだったが、どうやら今もそこはたいしてかわっていないらしいな。


「そこだけ聞くとマジのクーデターだな」


一体、立花の奴どんな手を使ったんだか。

クーデターを計画した、ヘッズたちにそこまでの能力があるとは正直考えにくいしご自慢の五家の力とやらでも使ったのだろうか。


やはり今回の件の本当のフィクサーはあの軽薄銀髪作り笑い野郎で間違いないだろう。


「そのためにわざわざ休みの日の夜に決行だからなかなか気合いはいってるわな

それで、開始の合図がこの携帯に連絡が来ると」


言いながら、ポケットから無造作に奎悟は携帯を取り出して机においた。

立花に渡されたそれにはまだ計画開始の合図は届いていないようだ。


「らしいな

そろそろ鳴るはずだけど」


あと数分で、予定時刻になる。

恐らく時間の問題だろう。


「いよいよ決行かー

なんつーか、気が付いたら、結構しんどいことを俺に押し付けられたわ、立花に」


はは、と口を大きくあけて歯を見せる人懐っこい笑いを奎悟が見せた。

卒業以来だな此奴の大型犬的笑顔をみたのは。


「流石は、奎悟先輩

彼奴に白夜のエースとまで言われて

いつの間にそんな風に出世したんだか」


懐かしくなった俺は思わず奎悟を茶化してしまった。

こんな風に冗談を言える男友達は、青月には一人もいないから、なんというか懐かしい気持ちが一周回って新鮮な感覚だった。

言い換えればただのぼっちなだけなのだが。


「茶化してんじゃねーよ

まあ、今の白夜で一番戦闘が強いのは俺だろうし、あいつに目をつけられたのが一貫の終わりだったてだけだ

でも、御天みあまで一番強い人と戦えるっているのはちょっとワクワクするけどな」


「そういうもんなのか

俺には分からないな・・・」


「なかなかないチャンスやろ?

野良試合なんて普段は出来んわけやしさ

俺の実力がどこまでなのか腕試しできるいい機会やし」


そういえば此奴は、自分にかなりの自信を持っているタイプだったと思いだした。

その感じは以前から変わっていないらしい。


少し暑苦しい時もあるが、実際にそれに見合う実力を持っているのも事実だ。

そう思うと此奴のことが少し羨ましく思えてしまった。


本当に、ほんの少し、数ナノミクロンだけだけど。


奎悟がこれから起こるであろう戦いに胸を高鳴らせていると


RRRRRRR


机の上に置いた携帯が光り、バイブで動いた。

開始の合図だ。


「時間が来たな、行こう」


「やな」


奎悟に連れ立って俺も一緒にカフェを出た。

夜に紅陽の辺りを出歩くのは久々な気がするな。

一人暮らしとはいえ、インドアな俺は基本的に部屋にこもってることが多いからな。

そうでなくても、最近は西條のせいで強制的に勉強させられるせいで外に出る機会が減ってるし。


初夏の夜独特の生暖かくじめじめした雰囲気を纏いつつ、ビル群を眺めながら奎悟と徒歩で紅陽まで移動する。

そのまま数分歩き、正門からちょうど正反対の紅陽の外壁まで来た。

人目に付きにくいということで立花が指定した地点だ。


「とりあえず入るか」


「やなー

誰かに見られてもまずいし」


奎悟が何も言わずいきなり俺の二の腕を掴んだ。


「・・・いくぜ」


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