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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
紅陽高校クーデター編
73/82

お疲れ様です、立花です

「クーデターの件も白夜の中で大っぴらには言えないでしょうしね

やはり白夜の中でも立花君に親しい人の間で内々で決めている、もしくは一人で決めた、というのが実情なのかもしれないわね」


雪峰らしい冷静な考察だ。

今回の立花の提案は少し早急な印象を受けるという意見には素直に同意する。


立花の性格から言って、かなり用意周到に準備したいタイプだろう。

そんな彼奴が前哨戦が終わってこのような提案を急にしてきた、しかも頼ってきたのがバニラである俺、というのは焦ってでも早くに達成してしまいたい大きな裏の目標がある、ということなのだろうか。


「それで結局、雪峰としては今回の件はどう思うんだ?

乗るべきか、乗らないべきか」


ぐるぐると思考を巡らせてみたものの

頭が色々オーバーヒートしてしまっている今の俺ではどうしたいいのか全く分からない。

ここはいらないプライドを捨てて素直に眉目秀麗な雪峰先生の意見を伺ってみることにした。


「今回の提案に乗るべきかどうか・・・うーん、微妙なところね

青月の会長としてなら、依然として学校としての総合力は紅陽が優位というのは当然分かるしこのまま状況が動かなければ五校祭までジリ貧だという立花君の意見も分かる

でも、かといって今回のクーデターにうちの生徒が噛んでいると今後バレるかもしれないというのもかなりのリスクだわ」


雪峰としても今回の提案に乗るかどうかは微妙なところのようだ。

長い藍色の毛先を手で遊ばせながら思案し続けている。

即答するのは難しいらしい。


「つまり、立花の今後の展開次第、ってことか」


「そうね

クーデターの具体的な計画を聞いてからでも遅くはないかも

青月としては今すぐに即答しなくてはならない問題でもないわけだし」


「そっか・・・」


今回の立花の提案は、危ない橋を渡るものになりそうだから一旦は保留というのが雪峰の考えのようだった。


「でもね、柊の友達として言わせてもらうのなら、私としては別にこの話には乗らなくてもいいとおも・・・柊?

なにか気になることがあったの?」


「ううん、なんでもないから

大丈夫

今日は遅いし俺たちも帰ろうぜ」


普段の俺なら、何か裏を考えて立花の提案には乗らないかもしれない。

ただ、今の俺は普段とは違う精神状態だ、ということを俯瞰できるぐらいは何となく俺は冷静でいれた。

正直なところやはり俺はこの提案にどう返せばいいのか分からず堂々巡りの精神状態のままだった。


俺があの時タブレットをこの部屋においていたら、居場所は探知されず前哨戦に勝てていたのかもしれない。


その事実がボディーブローのように俺の精神をガンガン打ち続けた。

雪峰や西條は気にしなくていいと言ってくれたが、申し訳なさすぎる。


西條は傷だらけになりながらも紅陽の副会長の新城さんを倒してくれたし

雪峰には至っては折角、A判定にまでなって則武さんの足止めをしてくれたわけだ。


なんなら根本的に俺がこの生徒会活動に噛まなかったほうがうまくいった可能性すらあるのか。


そして、もしかしたらこの立花の提案に乗ることで、俺のミスを取り返せるのであれば少々リスクをとっても乗ったほうがいいのかもなんて考えてしまっている俺もいた。

どうせ、俺がこの2人の役に立てることなんてたいしてないわけだしな。


生徒会室を出て家のベットに潜ってからも、もやもやした気持ちを抱えたままの俺は何となく眠ることができず、がっつり睡眠不足のまま次の日を迎えた。





翌日、放課後

いつものように欠伸をしながら空虚モードで授業を聞き流し終わって放課後が始まった瞬間、まるで遠目から観察されていたのかというようなタイミングで俺の携帯に見知らぬ着信があった。


誰だ?


慌てて教室をでて廊下に出た俺は、嫌な予感を感じつつ携帯を耳に当てた。


「もしもし」


「お疲れ様です、立花です」


嫌な予感は開始2秒であっさり的中した。

電話の主は昨日会ったばかりの白夜の会長さんだ。

こいつ、どうやって俺の携帯番号を特定したんだ?普通に怖いんだけど。


「はぁ・・・切っていいか?」


「そう冷たい態度をとらないでください

昨日の件について返事が聞きたいので、今日会えませんか?」


「昨日の今日で急だな・・・

お前の思い通りにならなくて申し訳ないが、今のところ、乗る気はないぞ」


「いえ、昨日も言ったように、直接僕に言ってもらうという約束なので

電話越しでなく直接会っていただけますか」


そういえば昨日の帰り際にそんなこと言ってたな此奴。

面倒な縛りをしていたな、何が目的なんだ。

もはや立花の一挙手一投足にどんな裏があるのか、つい考えてしまうようになってしまった。


「はあ、それでどうすりゃいいんだ」


相変わらずの無駄イケメン爽やかボイスで立花は続けた。


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