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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
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前哨戦も終わってさっそくなのだけど



思えば、特に中学時代もラームズのメンバーからコードについての話題は出なかったように思う。

あいつらも表立って話したがらなかったということは余程機密性の高い情報だったのだろう。


「そうね

名付けられたコードは基本的に他人には教えてはいけないわ

ラボは情報の機密性を高めるために異能力をその人そのものに結び付けないで、コードで管理しているの

だから、ラボにつながりのある人にコードがバレたら、その人の異能についてかなり細かいところまでバレてしまう可能性があるってわけ

研究者以外だと、基本的に本当に仲の良い人にしかコードは明かさないのよ」


「まあ、恋人同士でコードを明かしあったりする人とかいますけどね・・・

コードの重要性を理解しているのか疑問ですが・・・」


「へー」


そこまで言われると雪峰のコードがなんなのか気になったが、なんか聞きづらいな。

というか、そもそも俺は二人にとってコードを明かしたいと思えるほど親しい友人というわけではないだろうしな。

この話題について、深堀するのはやめておくか。


「もともとはラボが異能力者を識別する際に、ただ数字で管理するのは味気ないっていう理由で始まった制度らしいわ

あ、あとクローサーも生まれて初めて体に着けたわ

不良じゃないから見るところにはつけないけどね」


「そりゃ、青月の生徒会長様がそんなことしたら、先生も黙ってないだろうな・・・」


品行方正な雪峰が、ギャルみたいにクローサーをチョーカーみたいに首に巻いて制服を着崩している姿を何となく想像してみたが、なんていうかこれはこれでありだな。

かわいい子は何しても似合う、てやつか。


「当然しないけどね

普通に二の腕に巻くことにしたわ」


何となく、雪峰の細い左腕とその先の大きな胸元に視線が言ってしまった。

さっきも言ったが定期的に雪峰の髪が俺に触れ、しかもいい匂いが雪峰が体を動かすたびに立ちこめていた。

こんなかわいい女の子が数センチ先にいて肩と肩が触れ合ってるなんて幸せすぎる。


マジで理性を飛ばしかねないな・・・これは


「あ、あの

今更なんですけど」


俺が理性と煩悩の狭間で熾烈な戦いを始めていると、西條が突然口を開いた。


「どうしたの?」


「前哨戦2日目に参加できなくてすみませんでした、反省してます

あたしが参加したらもしかしたら結果が変わっていたかもと思うと尚更に」


「ふふ、本当に千織は優しいわね、別にそんなに落ち込まないでいいわ」



西條に肩を回した雪峰が西條の頭をまた撫でていた。

安心しきったのか西條は再び雪峰に肩を預けている。


「う、ありがとうございます

ずっと謝るチャンスを探していたので

柊にもご迷惑をおかけしました、介抱させてしまって」


「別にいいよ、あれくらい」


寧ろあれはあれで、西條みたいな可愛い女の子の介抱できるのは役得だったから俺としては良かったけど・・・

則武さんに急に喧嘩を売り出したのはかなりヒヤヒヤしたな。

本人には改めて言うつもりもないが、下手したらあの時二人で仲良く則武さんの炎でバーベキューにされていたかもしれないわけで。


「柊もありがとうね、神器を探してくれて」


「よしてくれ

俺は全然何にもできてない

俺だって陸斗に横取りされて謝りたいぐらいだ」


「・・・残念でしたね、前哨戦

山縣さんが立花君をストーキングして最後だけ持っていくていうのも勝ち方として汚すぎます」


「まあ、あいつは元からそういう男だ

正々堂々やって勝つとかそういうタイプの人間ではない」


数センチ先に勝利があったのに土壇場で覆されたのは、本当に本当にムカついたなあれは。

絶対に陸斗には何かでやりかえしてやりたいが俺にその実力がないのが悲しかった。


もっと強くなりたい、素直にそう思う。


「・・・則武さんとは河川敷であれからどうだったんだ?」


「結局あのまま膠着状態

私は異能を使い切ってバテちゃって

前哨戦が終わった後は暫く死んだように寝てたわ」


「それでも、則武さんにそこまでやるって流石だな」


俺たちが御天神社へ行って決着をつけるまで数十分はあったはずだ。

それまでずっと異能を使いつつ、則武さんと互角に張り合っていたなんて

数か月前の雪峰に聞かせたらどんな反応するんだろな。



「救援に向かった方々も二人の戦闘があまりにも激しすぎて誰も間に割っていることができなかったそうです」


「最後まで向こうがどこまで本気だったのか分からないけどね・・・

とりあえず今日はラボから出された課題をしないと・・・」


雪峰はソファに座ったまま足元においた鞄から、図鑑みたいな分厚い本を取り出した。


「分厚いな」


「全部データにしてクラウドに送ってくれっていったのだけど

ラボの職員が紙派らしくてね、すごい重かったわ」


立ち上がって鞄の中から大量の本を机に置き終えた雪峰はこちらを振り返ると、小さく笑ってマグカップに口をつけた。



「前哨戦も終わってさっそくなのだけど・・・

それともう一つ2人に言っておきたいことがあるの」


「どうしたんだ?」


雪峰は飲み終わったマグカップを机に置くと、一呼吸おいてからソファから立ち上がり少し歩いてからこちらを振り返って笑顔でこういった


「また、白夜の立花くんがうちに来て話がしたいらしいわ」


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