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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
52/82

白夜の生徒約50名を異能力で倒してもらいます


御天で一番注目されているだけあって、地域メディアは言うまでもなく、全国メディアでも前哨戦については取り上げられているようだった。


どうやら、様々なニュースを見る限り紅陽が優勢、二番手が青月、といった情勢のようだ。

西條の活躍もあり出足は悪くなかったようだがそれでも、大勢で見ればまだまだ紅陽有利といったところなのだろう。


定刻ぴったりになると、ノックの音が生徒会室に響いた。

立花だ。

約束した時間ジャストで来るところに立花の性格を感じつつ扉を開けた。


立花は再び1人で青月にやってきたようだ。



相変わらず病的な細さと逆三角形の女顔に長髪。女子受けの良さそうな見た目だなと何となく思う。

釣り目がちの目でこちらを一瞥すると、昨日と同様に薄ら笑みの余裕の表情でお辞儀をして生徒会室に入ってきた。


「おはようございます・・・

来たばかりでいきなりですが準備はいいですか」


「ええ・・・」


「ああ・・・」


「なら、早速ですが、今回の僕のプランを説明させていただきます」


部屋に入り挨拶を終えた立花は立ったまま話を続けた。

どうやら雑談する気もないらしく早く話を進めたいようだ。


「・・・端的に言えば、雪峰さんに白夜の生徒約50名を異能力で倒してもらいます」


「!?」


「どういう意味?」


何を言ってるんだこいつは?

思わず面食らってしまい立花が言っていることが理解できなかった。

50名・・・?


「そのままですよ

うちの生徒を50名用意したので、雪峰さんに倒してもらって、雪峰さんのタブレットの地図にある靄を一気に消して表示範囲を大きく拡張させる

神器が地図上に表示され次第、そこへ向かい協力して手に入れるという作戦です」


「私一人で全員を倒すの?」


「ええ、貴方しか適任はいませんから

白夜うちの生徒がいずれどこかの高校に倒されるのであれば、1人の生徒にまとめて倒してもらったほうが地図の更新、という面では効率がいいので

ああ、それと青月の他の生徒との地図データとの同期はオフにしてください

僕が以前やったように、万が一他校の生徒に青月の地図が覗き見されている場合、神器の場所情報が漏洩して横取りされかねないので」


いいながら立花は数センチ大の小さなチップを雪峰に渡した。

これをタブレットに挿入しておけば同期を強制的にオフにできるのだと。


「・・・確かにそれだけの人数を一気に倒すならある程度は知名度の高い人でないといけないわね」


「ええ、だから今回貴方にこの話を持ち掛けたんです。

青月の会長を呼び出し、白夜生50人が一斉に奇襲攻撃しかけたものの、青月の会長の異能力の前に返り討ちにあった、というのがストーリーとして一番自然ですから

普通の異能力者ではその役割を果たすには荷が重すぎる」


「・・・そもそも50人もの白夜生が故意に雪峰に倒される、なんて作戦に賛同しているなんて俄かには信じがたいがな」


雪峰と協力関係結ぶので倒されるのに協力してくれなんて急に言われて、賛同する人間をいきなり50人も普通は用意だけないだろ。


目の前の白夜高校会長はどんな手を使ったのか素直に疑問で口をはさんでしまった。



「・・・僕は精神系異能力者です」


そう言って、俺と目を合わせた立花は作為的に目を細めてニヤニヤと笑った。


「お前、自分の高校の生徒に異能力を使って操ったのか!?」


精神操作の異能を使うことで強制的に白夜の生徒に倒されるように操ったのだろうか。

だとしたら、此奴は自分の学校の生徒のことを何だと思ってんだ。

自分の目的を果たすためのコマぐらいにしか思ってないのか?


「肯定も否定もここではしないよ

手段については今回のプランにあまり関係しないし、こちらの都合なので

深く言及する必要性はありませんから」


煽るだけ煽ってはぐらかされる。

立花こいつの手のひらの上で俺の感情が思い通りにコロコロ動かされているようで尚更腹が立つ。


決定・・・こいつは何れ何らかの形で殺す。絶対にだ。


「・・・不服そうな顔をしてますね

柊君にいいことを教えてあげます

ルールというのは、後から参加した人間が守ったところで得しないように作られている場合がほとんどです。

後発組はルールそのものを無視した方法を取らないと既得権益は出し抜けない」


「・・・お前」


此奴の言っていることが必ずしも間違えているとは思わないし一理あるとは思う。

ただ、俺にも思っていることがうまく言語化できないが、此奴のやり方というか生き方というかは賛同したくなかった。


「それで、その50人の白夜生は一体どこにいるの」


「雪峰、いいのか?」


「ええ、昨日の約束を今更反故にする気はないわ

そもそも彼が白夜の生徒に異能を使ったという明確な証拠もないでしょ」



俺とは対照的に、立花に対して特に疑問を持つことなく話を続ける雪峰。

相変わらず落ち着いて淡々としている。

もしかしたらある程度雪峰には予想通りの事態だったのだろうか。



「流石、賢い人は説明が省けて助かります

前哨戦の開始時間になったら早速集合場所へ移動したいのですが

それでも、五校の生徒会長が2人で一緒に行動してしまえばどうしても目立ってしまいます。

なので、集合場所まで身を隠して移動する必要がある」


「どうするつもりなの」


「うちの家の人間に車を出してもらっているのでそれに乗っていきましょう

今、位置情報を送ります」


立花が携帯をいじると、雪峰のタブレットが何かを受信したようだ。

雪峰のタブレットに集合場所が表示された。


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