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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
47/82

なんだか馬鹿馬鹿しすぎて萎えたわ


「ん!・・・はぁ

ひいらぎ!この人もさんざん私たちに対して敵対的な態度をとってたじゃないですか!」


「いや、そうかもしれないけどな、今そんなに刺激する必要はないだろ!」


今のお前では挑発してその気になった紅陽の会長とタイマンで闘っても勝ち目は限りなく薄い、というかほぼゼロだろう。

折角、新城に勝ったのにここで西條が前哨戦から離脱してしまうのは勿体なさ過ぎる。

そう思ったから西條を止めようとしたが、酔ってまともな判断ができていない西條はそれに気づいてはくれなかった。


「・・・・・・」


「文!まさかとは思うけど、E判は巻き込んじゃだめだからね!

やるにしても西條さんだけにしないと・・・」


一方の則武は西條の言葉を聞いてやはり何のリアクションもない。

あまりにも反応しない則武さんを見て不安になったのか新城が話しかけていたがそれすらも無視だった。


「・・・なんだか馬鹿馬鹿しすぎて萎えたわ」


「あ、文!ちょっとまってよー!どこ行くの!?」


じっと睨みあいを続けていた両者だったが

結局、則武さんは結局反論も何もせず、新城が作った光の扉のなかに踵を返して帰っていった。

・・・助かった。


「・・・帰ったな」


と同時に安堵感で再び地面に寝転んだ・・・

あの雰囲気ならそのまま戦闘に巻き込まれて殺されてもおかしくなかったぞ、まじで・・・

死ぬかと思った。


「散々則武さんには色々されてきたのだから、いい気味ですよ!」


「はあ、そんなこと言うのはよくないだろう・・・

ておい、西條」


則武さんも消えて安心したのか西條は大きな欠伸を一つして、俺の胸に顔を埋めてしまった。

おい、まさかとは思うが・・・


「怒ったらすごい疲れました~おやすみなさい~」


「西條?、おい・・・・

まーじで寝やがった・・・フリーダムすぎるだろ

あーくそ、つぶれるってこういうことかよ~」


普段真面目な奴ほどつぶれたらめんどくさいとかいうらしいけど、ホントその通りだな。

西條のやつ酔ったのをいいことに暴れやがって。


どうやら寝たことによって異能もなくなってしまったらしい。やっと身動きが取れるようになったので一旦体を起こし普通の女の子に戻った西條を抱きかかえてみた。


「寝てる時はかわいいんだけどなぁ」


なんとなくあいかわらずの童顔の寝顔を眺めてみた。

寝ていると小うるさいことも言われないしただの可愛い女の子なんだよなあ。


このままでいてくれればいいのになんて思いながら、何となく頭をなで出ていると着信音で現実に引き戻されてしまった。


「携帯・・・て雪峰か」


何となくそんな気はしていたので特に驚きもなく俺は携帯を耳に当てた。


「・・・もしもし?柊?」


「はいはい」


「様子はどう?うまくいってる?」


「紅陽の副会長は倒したぜ」


「え!うそ!新城さんを?」


「ああ」


「それはすごいわね!」


「ただ・・・」


「ただ?」


「そのあと俺の血を吸ってつぶれた、西條が」


「・・・そうかー

千織にはつぶれちゃだめよって念押ししたのだけれどね」


「俺もやっとその意味が分かったよ」


「あの子は案外そういうところで自制の効かない子だからね

折角、紅陽の副会長を倒しても自分もつぶれちゃったら学校全体で考えたらあんまり意味ないでしょうに・・・

まあそれはそうと、実は白夜高校の会長さんがこれから話をしに青月うちに来るらしいの・・・それも単身で

だからもしよかったら生徒会室に戻ってきて一緒に話を聞いてもらえない?

場所を教えてくれてたら千織は友達を介抱に派遣するから」


西條がつぶれたことを伝えてみたものの

もっと驚いたリアクションをするのかと思ったのだが案外雪峰は淡々としていた。

もしかしたらもう何度もこういう機会に出くわしてきたのかもな雪峰の奴。



「すまんなわかった。

分かった・・・じゃあ場所は・・・」



雪峰に場所を教えたらちょうど近くにうちの生徒がいたらしい。

すぐに迎えを派遣してくれるそうだった。



にしても、紅陽の会長と副会長に会ったら次は、白夜の会長か。

濃い一日だな、そろそろ休ませてほしいけどそうも言ってられないか。


夕陽も差し込みだし誰もいなくなった高架下で、俺は西條を抱きかかえたまま迎えが来るのを待っていた。



「・・・帰ったよ」


雪峰からの電話をうけて最早、ここ最近実家よりよく居る生徒会室に帰ってきた。

此処に帰ってくるまでにもう日は暮れてしまい、そして今日の前哨戦開催時間も終了してしまっていた。

一般の方の迷惑にならないように、そして一応は学校行事の一環なので普通の学校と同様に放課後の時間は家に帰ることが義務付けられていた。

しかし、雪峰に呼び出されている俺はこうして家には帰らず青月に戻ってきたというわけだ。


部屋の中央に目をやると見知らぬ男がソファに座り、来客用の某有名ブランドのノベルティカップでお茶を飲んでいた。

恐らくこいつが白夜の会長なのだろう。


「おかえり、大変だったみたいね」


雪峰がこちら気づくとすぐに近づいてくれた。

則武さんの時のように部屋に入ったときにはもう既にクライマックスで部屋はぐちゃぐちゃだった、なんてことはなさそうで安心した。


「とりあえず何とかなったから良かったけど・・・

それより、もしかして待たせたりとかした?」


「お気遣いありがとうございます。

ただ、僕も先ほど来たばかりなので大丈夫ですよ」


言いながら、白夜の会長(仮)は飲みかけのマグカップを机に置くとソファから立ち上がった。


「・・・そうですか」


「では、改めまして

白夜高校生徒会長の立花です。本日はよろしくお願いいたします。」


筋肉質な細身の陸斗とは違い、不健康なまでの細身に長い手足、そして目にまでかかりそうな男にしては長い白髪。

身長は俺より少し低いくらいか。

やはりこいつが白夜の会長らしい。

立花はそういうと軽いお辞儀をした


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