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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
43/82

緋色の光


「今度はこっちの番です!」


引き金を引くと青いエネルギー弾が連射された。

当然、光の壁を再び現出させて新城は守りを固める。


しかし、顔面を狙った銃弾の着弾点を見抜き光の壁を出しことで一瞬、新城の視界が塞がってしまった。

新城が西條を見失ったその隙を西條は見逃さない。



「しまった西條さんが・・・」


「死角をとるのはあなただけの専売特許ではないです!」


持ち前の脚力を生かした高速移動で新城の真後ろを完全にとった西條。

そのまま斬りかかるつもりだ!


「・・・っ!」


斬りかかる直前、新城は自分の背後に特大の緋色の光を瞬時に作り出し、再び西條の攻撃を遮断してしまった。


「光の壁は同時に二つ展開できないんじゃないんですか!?」


「誰もそんなこと言ってないよ!

にしても今のは危なかったな」


西條の近距離にいるのは危険だと判断したのだろう。

新城はすぐに後退して距離をとろうとする。


「させませんよ!これならどうです」


光の幕を超人的な跳躍で飛び越えた西條はそのまま後退する新城に接近して、超近距離での衝撃波攻撃を空中で無数に繰り出した。

空中からの一撃。

攻撃範囲はかなりのものだろう。


「このあたり一帯を攻撃するってわけか!」


今回は姿を一度隠さないと避けきれないと判断したのだろう。

新城は自分のすぐ後ろに光の扉を作り出し、後退する勢いでその中に入った。

直後に衝撃波が地面にぶつかり、大きく地面を抉る。


「・・・逃しました」


「また死角から攻撃してくるつもりなのか」


当たりをキョロキョロと見まわしてみるが新城が出てくる様子はない。


「あっぶなかったよー」


「!?」


気が付くと背後をとられないようにするためか高架線の柱を後ろにおいて新城が姿を現した。


「本当に回避がうまいですね」


「でしょ?でも間一髪でヒヤヒヤだったよ今のは」


にこにこしゃべりながら新城は再び赤白い光の壁を次々生み出していた。

全く底が見えない笑顔はそのままだ。



「なかなかやるねー

でも、そろそろ本気でいこうかな」


無数に出現させた紅い四角の光はひとつひとつが繋がっていき

半円状になっていく。


「まだまだ」


更にもう一つ大きな半円上の光の幕をつくるとその二つを西條を取り囲むようにくっつけてしまった。


「何をしているんですか!」



半円状になった光の壁は徐々に徐々に上方向にも伸びていく。

気が付いたときにはもう遅かった。

半円状の光の壁は気が付けばドーム状になり西條を大きくを包み込んだ。


「・・・もう抜け出せないよ」


新城は文庫本サイズの異能の壁を作り出し手を突っ込む。

光の壁からなにやら鉛筆サイズの小型ロケットのようなものを取り出した。

異能を流し込みデバイスを起動させる。


「これはロケット型デバイス・・・

当たると爆発するから気を付けてね!」


そして、起動させたロケット型デバイスをドームのなかにいる西條めがけて投げつけた。


ロケットはドームの幕をくぐってまっすぐ西條の元へ進んでいく。


「軌道が単純すぎます!」


難なく西條は避けたがそのまま直進したロケットは異能の幕に取り込まれる。

すると、今度は別の角度から先ほど避けたはずのロケットが再び出現し、再度西條を襲った。


「またですか!」


再び避けた西條だが、そのまま緋色の光に再び消えたロケットはまたドームの別の箇所から別角度で再出現し西條を狙う。

まるでロケットが意志を持っていて西條を襲い続けているかのようだ。


「そうだよ、無限ループってやつだよ!

何個までなら避けれるんだろうね」


異能力で10本以上のロケット型デバイスを出現させた新城は、一つずつ西條へ向けて発射していく。


ドームのなかはあっという間にロケットで充満し、西條はロケットでドッジボールをさせられてしまっている。


「・・・きりがないですね」


華麗な身のこなしで攻撃を避け続けてはいるものの、このままの状態を続けるわけにもいかない。



「く!なら!」


埒が明かないと判断したのか、西條はシールドを展開させてロケットを一つ受け止めた。

しかし、ロケットを一つ爆発させると、ドームのなかで連鎖的に爆発が起きてしまい、結局10数個のロケットすべてが爆発してしまった。



轟音が響く。

ドームのなかでの爆発はドームにすべて吸収されてしまい。

新城には髪の毛一本分のかすり傷すら与えることはなかった。


「はあ・・・はあ・・・けほけほ」


いくら体の強い西條でもこの爆発を前に無傷ではいられなかったようだ。

煙が落ち着くと、深く息を吐いて俯いた西條が見えた。

正直痛々しくてあまり直視できない。


「シールドで受けるにはなかなかしんどいでしょ?

こんだけ数があると」


「爆風も反射してしまうんですね・・・」


「そうだよ、ドームの壁はそれぞれがドームのどこかと繋がっているからね

複数の爆弾が爆発するうえに、爆風もドームの壁に触れると四方八方に飛びちっちゃうってわけ

一方にしかシールドが張れないのなら避けるのはほぼ不可能だよ」


「なら・・・」


西條は斬撃を壁に向かって繰り出す。

しかし、やはり先ほどと同じように攻撃は完全に無効化されドームの外に届くことはなかった。


「これなら!」


次は衝撃波をぶつけてみたものの・・・


「無駄だってばー」


「やはり返ってくるんですね・・・」


西條の出した衝撃波はドームに吸収された途端に別角度から再び出現して西條を襲った。

慌てて西條は衝撃波に衝撃波をぶつけることで無効化する。


「これならどうです!」


今度は思い切りジャンプしてドームの壁にぶつかろうとする。

しかしやはり、西條の身体はドームの壁に吸収された途端に、ドームの別地点から西條の身体が出てきてしまう。

どうあってもドームの外には出れない仕様になっているらしい。


「何度やっても無駄だよ

あたしの異能はね、御天の地区ならどこでも繋げる

異能にキャパがあるから距離の遠いところと繋ぐときには小さな入り口しか作れないんだけどね。

でもすぐ近くの空間同士をつなぐだけならその異能の発現範囲をここまで大きくして誰かを包み込むことができるてわけだよ」


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