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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
42/82

上は死角になりやすいから気をつけてね!



投げナイフが不発に終わったことで、西條は次の攻撃に移る。


日本刀型デバイスを起動させて、青白く光る刀身を伸ばしながら、西條は超人的な跳躍力で、思い切り踏み込んで突きを繰り出す。


しかし、新城はやはり一歩も動かず余裕を崩さない。


日本刀型デバイスが新城に触れる直前、再び文庫本サイズの光の壁が再び現れて刀はその中に沈んでいき、新城の肌に触れることすらなかった。



まるでそういう手品を見させられているかのように新城の目の前で、日本刀の刀身はどこか違う空間に消えてしまっていた。



攻撃が不発に終わったことを察した西條は反撃を警戒して、ジャンプしながら後ずさった。




普段は移動に使う異能だけどそれをうまく利用して

赤白い光の幕が攻撃を吸収させてしまうってことか。


「厄介な異能ですね・・・」


「西條さんみたいな可愛い見た目になる異能のほうがよかったけどね~」


「いじらないでください!

それならこれはどうです!」



日本刀デバイスを再び鞘に納めた西條は大きく足を前後に開いて膝を曲げて俯いた。

所謂居合切りの構えだ。




とはいえ、この距離では新城と離れすぎている。

刀のリーチでは全く捉えられる距離感ではない。




「ふぅー・・・」


静かに長く息を吐いた西條。


「何かする気だね・・・」


「はあぁ!!!」


何もないところで居合切りをした西條。当然刃は虚しく空を斬ったが

居合切りの勢いで日本刀から青白い衝撃波が新城へ向かって飛んで行った。




「遠距離攻撃か!」




再び人一人分の光の扉を生成することで攻撃を吸収した新城。


紅い壁で吸収されず漏れた端の方の衝撃波はそのままガードレールにぶつかると大きな音を立ててへこみを作り出した。



どんな威力だよ。



「えー、そのデバイスってそんな使い方があったんだね」



「ラボで習得したんです。

そして、これだけじゃありません」



「え!?・・・かはっ・・・

けほけほ、いったーい、なにこれ」



いきなり新城がダメージを食らっている、一体何があったんだ?



「あなたが吸収しきれなかった衝撃波が、後ろの高架線の柱に当たって反射したんですよ」



「なるほど、厄介な攻撃だなあ」




一発とはいえなかなかのダメージが入ったように見えたが、新城は余裕の態度を崩さない。


まるですべて織り込み済みかのようだ。




「私の攻撃をすべて吸収できますか!」



今度は二回の斬撃を繰り出して衝撃波を作り出した西條。

先ほどより大きな二発の三日月状の波は再び新城へ向って駆けていったが



「別に必ず吸収する必要はないけどね!」



扉大の四角い膜のような壁を作り出した新城は衝撃波が到達する前にその中に入ってしまった。

そして一瞬にして光の扉も消える。




何もなくなった空間を衝撃波は突き進み、再び高架下の柱に当たることで大きく反響した。

柱の一部が欠けたように見えたけどこれ大丈夫なのか?

細かいことを気にしてる場合ではないか




「消えましたね」



「どこからまた出てくるか分からないからな気をつけろよ」



本来の異能の使い方をした新城は跡形もなく姿を消した。

一体どこへ消えやがった・・・



「・・・私の異能はね

空間を自由に行き来できるんだよ!」



「どこですか!」



「西條!上だ!」



声のする方へ目を向ける。

西條の頭上数メートル上にまた光の扉があらわれていた。



「上は死角になりやすいから気をつけてね!」




新城は光の壁から頭を出したまま、くすんだ赤色のゴルフボールぐらいの球体を西條めがけて十数個落としてきた。


なんだこれ?



「想!早く離れてください!

ボム型デバイスです……!!」



「まじかよ!」



西條からそれなりに距離は取っているがそれでもこのボムの数なら射程圏内なのだろう。

急いで、後ろに向いて走るが気がついた時には既に遅し

西條も俺を巻き込むわけにはいかないと判断してくれたのか

俺とボムの間に割って入って爆破の直前でシールド型デバイスを展開してくれた。



大きな破裂音が連鎖して響き、少し遅れて大きな爆発の熱と風圧を感じて俺は地面に伏せた。

「想!大丈夫ですか!」


「俺は大丈夫だけど、なんも見えねーな」


新城の爆弾が炸裂してしまったことで土煙が巻き起こり、ここら一面を覆ってしまった。

上に線路があるせいか、ここ一帯は風通しが悪いらしい。


「任せてください!はあ!」


西條が小さく刀を振ると、まるで風を操っているかのようにそれによって小さな衝撃波が複数発生した。


「こんな使い方もあるんだね、衝撃波って」


「今思いついたんですけどね」


「扇風機代わりか」


「うまいこと言わないでください」


衝撃波が四方八方へ飛び散るとその勢いで一帯の煙を掻き出してくれた。

おかげで徐々に視界が開ける。

しかし、見覚えのある紅い扉と人影はどこにも見当たらなかった。


「あれだけの爆発を防げるシールドが張れるんだ。

やっぱ青月の副会長なだけあるね」


「西條!今度は後ろだ!」


また光の壁を西條の真後ろに出すことで死角をとった新城だった、俺の声に瞬時に反応した西條が前に思い切りジャンプしたので新城の攻撃が空振りする。


徐々に煙が消えていくと、新城の姿がよく見えてきる。


新城も西條と同様に剣型デバイスを起動させて斬りかかった。

日本刀型の西條とは違い、サーベルのような見た目で刀身が紅い。



「E判が一緒にいると死角を突いてもバレちゃうから面倒だねー

E判を攻撃するわけにもいかないし」


「想と一緒に戦ってますからね!

いつも助けられてます!」


「・・・らしいね、事前の情報通りだ」



「お前が死角からしか攻撃しないやつだってのは知らなかったけどな」


「そうです!死角からばかり卑怯ですよ!」

正々堂々戦ってください!


「いやだって正面からぶつかってもこんな化け物、勝てるわけないもん

仕方ないじゃん」


軽く挑発してみたが軽くいなされてしまった。

流石に紅陽で副会長してるだけあって、そんな簡単に感情的になるタイプではない、か


今度は西條は銃型デバイスを起動させて新城に銃口を向けた。

陸斗との一戦を経て遠距離対策に力を入れるようになったんだな西條のやつ。


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