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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
39/82

竜生(たつお)じゃなくて竜生(りゅうせい)



「・・・瞬間移動して攻撃してくる異能、というのは面倒ですけど」


「俺らで何とかするか」


「ですね

紗希は此処にいてください」


「え、大丈夫?」


電話越しで驚いているのが分かる声で雪峰が返す。


「トップの紗希が倒されたらそれこそこの前哨戦も一瞬で終わってしまいます

だから今回は生徒会室に居続けているのが正解だと思いますし、しかも狙われているのがあたしなのであるなら尚更、紗希のところへ帰るべきではないです」


「そうそう、雪峰のリスクになるような行動をわざわざとる必要ないだろ

大丈夫、あとは俺らが何とかするから

教えてくれてありがとうな」


「・・・分かったわ

千織・・・何度も言うけど私はいないけど、潰れちゃだめだからね?」


「もー、大丈夫ですってば!任せてください!」


「ならいいのだけどね・・・

柊、千織のこと頼むわね」


「おっけ」


雪峰からの携帯を切った俺たちは再び顔を突き合わせた。


「異能初心者すぎてさっぱりわからんが、ヘッズと副会長ってどっちが強いんだ?」


「一概には言えないですけど、基本的に副会長に選ばれるような人は、ほぼほぼ確実にヘッズには入ってるでしょうね」


「てことはさっきの骨の異能力者以上の実力がある可能性が高いと」


「おそらくは・・・

想、どうやって新城さんを倒しますか?」



さっきの黒縁メガネもかなりの実力者だったが、それ以上の実力者とこれから交戦しないといけないのか・・・

俺がするわけでもないけどでも、なんか気が重くなるな。



「そうだな、せっかく雪峰が教えてくれたのに何の準備もせず絡まれて

さっきみたいにごり押しがうまくいくて考えるのは馬鹿だと思うしなんか考えたほうがいいだろ

てか、さっき見たいにひとりで倒したいとか言い出すなよ?」


「ですね・・・すみません・・・

さっきは熱くなってしまって」


「西條はなにか作戦があったりするか」


「いえ・・・すぐには思いつかないかもです

逆に柊に何かいい案があったりしますか?」


戦闘中はただのキングオブ無力でしかないが、折角俺もこうして西條のそばに居るんだし、せめて一緒に対策を考えたりぐらいはしてあげたいというのが素直な気持ちだ。

女の子に無能圧扱いされたくないという俺の小さなプライドなのかもしれないけどな。


「一応、俺の考えを言っていいのなら・・・」


俺は西條に紅陽高校副会長対策を早速披露してみることにした。

拒否されるかもと思ったが意外にも西條のリアクションも悪くなかったのでその作戦を即実行することになった。


「おー、お久しぶりです!」


「そうじゃな、ひ、久しぶり、じゃ」


「それにしても、改めてみても大きいですねえ

身長何センチなんですかー?」


「ま、まあの・・・の

ひゃくきゅうじゅぅ・・・」


「?」


「おい、何デレデレしてんだよ・・・たつお

195センチの大男がもじもじしてるのは見ていてそこそこきもいぞ」


西條も竜生の緊張が移ってしまってなんて声をかけたらいいのかわからなくなって困っているじゃん。

にしても、小柄で華奢な西條と巨人の竜生は並べてみると同じ人種に見えないな。

リアル美女と野獣だ。


「う、うるさい!

それから、竜生たつおじゃなくて竜生りゅうせい!」


陸斗と戦った時に強く思ったが、やはり丸腰で挑んでもあまりいいことにはならない。

さっきの骨の異能力者は不意打ちだったからどうしようもなかったが、どうせこれから強敵と戦わなくてはいけないのならやはり強力な協力者というのは心強い。


特に俺なんて戦闘中は何の役にも箸にも棒にも掛からないわけだしな

というわけで、今回は竜生に協力を要請することにした。


「そもそもなんで急にわしを呼び出すんじゃ関係ないじゃろ!

黄輝のわしが青月に手を貸しても何のメリットがあるんじゃ!」


「こないだ陸斗と一緒にいたいけな女の子2人をいじめてただろ

あの罪を此処で償え」


こないだの異能力者狩りの件、世間では大きな問題にならなかったとしても俺は絶対忘れないからな。

中学時代にチームメイトだったから勿論連絡先は知っているし、だから元中央中バスケ部キャプテンをこうして呼び出したってわけだ。

青月の近くの公園に集合とだけ携帯に連絡を入れたが、ちゃんと来てくれた。


「はあ・・・そもそも襲ったのはわしではないじゃろ」


「いや、あれは共犯だろ、言い訳すんなよ」


「う・・・

それは置いておくにせよ、こんなこと誰かに見られでもしたらどうする!

陸斗に殺されるぞ!」


「いや、どうするも何も

お前の異能を使えば、そもそも別に誰にも見られないじゃん

実際今もそうしてるんだろ」


「いや、まあそういわれるとそうなんじゃけど・・・」


此奴の異能力は、確か空間の認識を歪める異能だったはずだ。

他校の生徒とつるんでいるのを見られたら竜生もまずいだろう。今も自身の異能を使い、俺たち以外には姿を見られないようにしているようだった。


俺には珍しくここまで竜生の主張は完全論破だ。

竜生に対してなら、上からでもいけるというのは中学の頃とどうやら変わってないらしいな。


「いいから諦めてさっさと今回は協力してくれ。

あと、こないだのこと謝罪しろ」


「ん・・・

確かに先日の一件は迷惑をかけて申し訳なかったと思うしの・・・」


俺の言葉を素直に受け入れた竜生は無駄に大きな図体でゆっくり首を垂れた。


「すまんかった」


「そんな、頭を上げてください!

あの日は色々ありましたけど、でもそんな大きな被害が私たちにあったわけではないですから」


「そうかの

ならよかった・・・」


「です!

柊の言う通り山懸さんと違って篠崎さんはいい人なんですね!」


こないだの件もあったしもう少し警戒されるかと思ったけど西條はすんなり竜生のことは敵ではないと判断したらしい。

そして多分その判断は正解だ。

中学の頃から竜生のことを知っているがどこぞの餓鬼大将とちがってこいつは面倒見の良くて真面目で律儀な奴だからな。

じゃなきゃこうして会いにもわざわざ来ないだろうし。


「・・・なんでちょっと嬉しそうなんだよ、たつお」


「う、うるさい!」


ただ、女の子への免疫はほぼほぼないという致命的な弱点が竜生にはあるが。中学の頃からかわってねーな。


「あ、あの、ではせっかくお会いできたので、一つ聞いてもいいですか?」


「なんじゃ?」


「今更かもなんですけど、どうして異能力者狩あんなことをしていたのですか?」


俺もずっと悩んでいた疑問。西條に

質問を聞いた竜生はため息をつきながらこう言った。


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