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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
36/82

HEADS(ヘッズ)


黄輝の生徒を5人一気に倒した西條だったがそこからも破竹の勢いだった。

異能力が発現したことで移動速度が大幅に上昇した西條は、高速で移動→他校の異能力者を見つけ次第速攻で倒すのコンボを繰り返していった。

それに伴って当然地図の靄もハイペースで消えていく。


一方の俺は西條の高速移動についていくので必死で、ひたすら走り回る羽目になったが

やっと追いついたと思ったら、そこには西條に倒された他校の生徒しかいない、という状態をもう何度も繰り返している。


普段全く運動しないのもあって走りまわされてマジで死にそうだ。

中学の頃はそれなりに運動していたはずなのだが今は見る影もない。


「ふぅ・・・だいぶこのあたりの異能力者は倒しましたね!」


今度は翠陵高校の生徒を数人まとめて蹴散らしたらしい。

西條は一仕事終えた風に一息ついておでこの汗を拭っていた。


「はぁ、はぁ、西條・・・もうちょっと待ってくれ・・・

早すぎて追いつけない・・・」


「あ、ごめんなさい!

異能力が発現して元気になったのでつい!」


「いやまあ、それがあるべき姿なのはわかってるけど・・・


「すごい息切れしてますね・・・

しょうがないですね、今回は奢ってあげましょう!」


やっとこさ息を切らしながら追いついた俺を見かねたのか西條は近くの自販機で水を買ってくれた。

女の子にここまで気を使われるのも情けない気もしたが今更か

奢ってもらったペットボトルの水を飲むとやっと呼吸が収まってきた。


「はあ、はあ、もう大丈夫、ありがと

ふぅ、ここまでは割と善戦してるんじゃないのか?我々

もう結構他校の生徒倒しただろ」


「ですね!

先ほどの紗希からの連絡では

直接戦闘ではうちの生徒はまだほとんどリタイアもだしていないそうですし」


スマートウォッチのGPS機能を利用して、うちの学校の生徒の行動やリタイアの有無は雪峰が監視している。

GPSによって生徒の位置がおおむね把握できるからこそ、雪峰も生徒会室からでも的確な指示が出せるというわけだ。


「らしいな

にしても普通の異能力者相手なら西條は圧倒的すぎるな」


西條が瞬殺したこの黄輝の女の子たちも恐らく見た感じではC判定ではあるだろう。

それでもこのレベルなら何十人が束でかかっても西條には敵わないだろうな。

そんな西條でも則武さんや陸斗にはまだ敵わないわけで・・・

どうやら異能力者の間でもとんでもない格差社会が巻き起こっているらしい。


「でも!私の目標はA判定ですからね!こんなところで立ち止まるわけにはいきませんから!」


「頼もしいけどくれぐれも無理はやめろよ、西條」


元気がいいのはいいことだけど、体張りすぎてるような気がするからな西條は


「そんな心配しすぎなくて・・・って想!危ないです!」


「は?えっ?」


いきなり西條に体を突き飛ばされたが俺の元居た場所には、弾丸のような何かが通過したようだった。

咄嗟に西條の馬鹿力で突き飛ばされたためか俺の体は、3メートルほど吹っ飛ばされ、自販機に激突して止まった。

助けてくれたのはありがたいけどちょっとやりすぎだろ、西條・・・加減してくれよ


「んー、惜しかった!」


むち打ち気味の首を起こすして声のするほうを向いた。

そこには黒縁メガネをかけて背の低い童顔の男子がいた。


「誰ですか!」


「誰?うーん、誰なんだろうね僕」


「ちゃんと答えてください!」


「だって別にここで答える義務も義理もないじゃん

貴方のことは有名人だから知ってるけどね、青月高校副会長の西條千織さんでしょ」


言いながら黒縁メガネは右手を掲げそのまま斜め下に振り下ろした。

振った瞬間にまた何かが俺めがけ飛んでくるのが見える。

自販機に叩きつけられた反動でまだ体が動かない・・・

このままじゃ逃げきれない!


「いや、まじ・・・殺される・・・」


「任せてください!!想!」


今回は西條が俺の前にシールドを展開することで攻撃を防いでくれた。

青白い四角い盾に数発弾丸のようなものがぶつかる音がした後、地面に落ちた。


「なんなんですか、これ?

白くて硬い・・・」


「・・・骨?・・・か?」


灰色っぽくて白い不揃いな数センチ大のそれはよく見れば骨のような質感だった。


「あたり、僕の異能は・・・骨だよ」


次はデコピンのしぐさをすると骨がまた俺めがけて飛んできた。

再び西條が俺の前に出てきてシールドで防いでくれる。


「にしてもE判定の俺を狙うなよ、虐待か」


ようやく体が動かせるようになった俺はとりあえず自販機を離れ西條の数メートル後ろまで後退った。


「あ、君、E判定バニラなんだ、それは悪いことをしたね、ごめんごめん

でも大丈夫、クローサーがその辺の折り合いはつけてくれてるから当たっても即死はしないよ、きっとね」


「いや、前哨戦中はクローサーの制限が緩まってんだぞ・・・」


「へーそうなんだ、知らなかったなそれは」


俺の命にかかわることを知らなかったで済ませてもらいたくないんだがな・・・


「・・・制服を見る限りは貴方、紅陽の生徒ですね

しかも、HEADSヘッズですか・・・」


「お、当たり、流石だね

自己紹介する気は更々ないけど、僕はね、HEADSヘッズの一員だよ」


言われてみれば、くすんだ赤の制服はまさしく紅陽のそれだしこの黒縁メガネが紅陽の生徒だということには納得したが、それにしても


「ヘッズ?なんだそれは?」


初めて聞いた固有名詞だ。


「紅陽には異能力の強度による選抜制度があってそれに選ばれた人をHEADSと呼ぶんです。

HEADSは紅陽の中では特権階級化されていて特別扱いを受けるそうです。

そしてHEADSに選ばれた人は、太陽を象ったバッチを左胸に着けているんです。

まあ要するにこの人はB判定以上の強力な異能力者ってことですよ!」


短刀型デバイスを起動させた西條。20センチほどの青い刀身のナイフを三つほど黒縁メガネへ投げつけた。


「ふーん

この程度なの?」


黒縁メガネもシールド型デバイスを起動させて西條の短剣から身を守る。

赤白い盾にぶつかったナイフはそのまま勢いを失い地面に落下したがしかし、その隙に西條は既に黒縁メガネの視界から消えていた。


「なるほど、さっきの攻撃は囮・・・!」


「です!本命はこっち!」


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