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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
33/82

私は自分にあんまり自信がない



「ううん、前哨戦が追加されたせいで色々と準備は必要になったのだけどね

でも、今日は此処(生徒会室)で作業するつもりよ」


「そっか、相変わらず真面目だな」


ということはやはり今日は珍しく、雪峰と二人でゆっくり話せるいいチャンスてことか。

地味にテンション上がる。三人でいるのも勿論楽しいんだけど

こんなかわいい女の子と2人きりなんて陰キャの俺からしたら人生で数えるくらいしかないレベルの幸運だと思う。

西條も勿論かわいけどあいつは一緒にいたら勉強しか言わねーしな。


「真面目、というかそれしか出来ないてだけよ

私だってもしも強力な異能があるのなら千織と一緒にラボでトレーニングしたかったし」


どこか不満気に髪を手で梳きながら雪峰は答えた。


「そりゃそうだけど

雪峰は雪峰のできることをしてんじゃん

えらいじゃん」


「全然よ

寧ろ、私も千織みたいに前線に出れるほど強ければ良かったのにって思う。

こんなところで待っているだけというのは正直辛いし」


言いながら雪峰は机の上に書類の束を置いて何やら作業に取り掛かり始めた。

なんの作業かはしらんが恐らく前哨戦関連なのだろう。


「そんな卑下しなくて自信持てばいいのに

超絶可愛いんだから」


思わずポロっと本音が出てしまった。後悔はしていない。

こんな美人で賢くて運動もできて声も綺麗な女の子、国宝級だぞ。まじで。


「あ、ありがと・・・」


俺の本音をいきなり食らったせいで雪峰は照れてしまったようだ。

なんかそんな様子もかわいいわけだけど、でもちょっと申し訳ないことしてしまった気分になる。


「・・・で、でも・・・あの・・・

私は自分にあんまり自信がない」


かなり言いにくそうだったが

二人きりになったせいもあったのか

いつもと違うしおらしい様子で雪峰が話し続ける。


「・・・私が他の五校の生徒会長より優れて言うところなんてどこにもないから。

本来なら神輿を担がれる側の人間なんかじゃないって思ってるし」


「そんな自虐しなくてもいいのに」


とってはいくら美人で能力の高い人間でも

本人の思う理想に達していなければつらいだけ、ということを俺が知ったのは雪峰と知り合ったからだと思う。


「あんまり私が言っちゃダメなんでしょうけど羨ましいわ、すごく

A判定もらえているような人たちのことが

私なんて所詮はD判定。ただの凡人。

LARMSの一員に選ばれるような人とは全然違う。

きっと、則武さんなんてあれだけ見た目もよくて能力もあるのだから、自信なんていくらでも出てくるのでしょうね。」



いつか話をしようと思っていたが二人きりだし、こんなに雪峰が俺に本音や弱音を言ってくれるのならちょうどいい機会なのかもしれない。

雪峰がどうすればA判定になれるのか、というか本来のポテンシャルを発揮できるのか

俺の考えた結論は―――



「・・・唐突だけど中学時代の話をしていい?」


「え?」


いきなりで虚を突かれた様子だったが無視して俺は話し始めた。


「中学のころLARMSで集まったときの話題って大概、五校とか五家に関する愚痴ばっかでさ。

そもそも彼奴ら全員、この五校とか五校祭て制度にはあまり協力的でも肯定的でもなかったからな。

五校制度のせいで自由に行動できないし、無駄に注目されるし糞だなって言いあってた

五校祭もうやめようって教育委員会に本気で掛け合おうとしてたこともあるくらいなんだぜ、潰されたけど」


「へー・・・なんだか意外

LARMSのメンバーなんて完璧超人の集まりだと思っていたから

則武さんといい山懸くんといい、あんな強力なA判定の異能を持っているから

寧ろ自分が人の上に立つのが当たり前なんて考えてきたのかと思ってた」



「そんなわけねーよ

そもそもな、あいつらがそんな完璧超人集団ならまだLARMSラームズだって解散せずに仲良くできてるだろ

彼奴らにはそこまでのコミュ力ないってことだぜ、まあ人のこと言えないけど

そもそも少なくとも俺が参加できるようなグループだぞ」


いやまあコミュ力て観点で言えば一人化け物はいたけど

それでも、あいつらのことを聖人君主だなんておもったことなんてただの一度もない。

能力の高いだけの一般人だ。

腹は減るし寝ないと死ぬ。


「想も私から見れば十分能力は高いと思う

異能力に関しては今は確かに高くはないのかもしれないけどでも地頭はいいし。

LARMSにいたっていうのも何となく今は納得してるわ、色んな意味で」


「どんな意味だよ・・・

とにかく、あいつら自身も今となっては確かにA判定のエリート面してるけど

中身は雪峰が思うほどできてたやつらではないってことが言いたいの

あとさ、俺から見たら彼奴らより雪峰のほうが優れていることあるぜ」


「なに?」


「精神面で雪峰は大人だと思うことが多い、自分の感情を抑えるって意味ではな

あいつら割とすぐイラつくほうだしな

あと、あいつらは実力もあるから傲岸不遜なところもあるし」


雪峰のよくやるアルカイックスマイルというか穏やかな笑顔は恐らくそういう表情なのだろう。

彼女なりに感情を抑えた結果生まれた最適解

そして、そんな裏の意味があることを知れたぐらいには俺もこの子と仲良くなれたのだろう。


「そんな風には自分では思えないけど・・・

でも、そう思ってくれるのは嬉しいかも」


「ああ、則武さんは西條にキレてうちの生徒会室を壊したし、陸斗だって見た通りあんなんだったろ

それに比べたら雪峰は優しいし他人思いだしいい子だなて思ってるよ。

あいつらは優秀だし強い異能を持ってるがゆえに他人に対してそこまで寛容じゃないんだよ、だから割とすぐイラつきがち何だと思う」


そして、溜め込むタイプでもないから外に発散させてるしな。

ただ、異能力という観点では溜め込むタイプより発散できるほうが強い異能を持てる傾向がある気はするが。



「そうやって柊がすごい褒めてくれるのは本当にうれしいけど・・・

でも、もしそうだったとしても私は則武さんには勝てないという事実はどうしようも無い

結局、前にも言ったけど御天では異能力がすべてだから」


「ほらまたそうやってそんなこと言って」


「え?なに?」


「なんていうか、色々柄にもなくしゃべったけど・・・

まだ日は浅いけどここ数ヶ月一緒にいて俺が雪峰に思うのは、というか

俺が伝えたいことは・・・」


「・・・なに?」


このまま話を続けて雪峰を傷つけてしまったらどうしようなんて考えて一瞬躊躇ってしまったが今更引き返すわけにもいかないか。

軽い深呼吸をしてから俺は話を続けた。


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