表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
前哨戦篇
31/82

新たに前哨戦を追加する


なるほど高木があまり歓迎していない理由はこれか

おかげでこれから残業増えそうなのよねえなんて高木はボヤいていた。


「あたしたちがどう思っているかなんかどうでもいいんですか?」


「いや、そんなことはないわよ少なくとも私はね

ただ、中には保守的で自分の立場を生徒のことよりも優先させる人もいるってことね

世間体ってやつが大切ってわけ」


「へー、なんか大人同士も一枚岩ではないんですね」


そういう大人たちの実情を俺たちにぺらぺら話すのもどうかと思うが・・・

まあでも、ここは生徒会室

せめて生徒会メンバーぐらいにはそんな大人たちの内情を知っていてもらいたいなんて高木も考えているのだろうか

・・・いや、ただ単に誰かに愚痴を聞いてもらいたいだけのような気がする。



「当たり前でしょ

事実、異能に関しては、五校といえど学校側はほぼノータッチだしあまり関わりたがらないわ。別に異能を強化するためのカリキュラムだって学校が企画しているものは特にないでしょ?

ただ、ラボは違うわ

競争させたいから必死になって安全性を高めようてクローサーを作ったし

強い異能力をもっていない生徒のためにデバイスを作っている、なんて考えて方もできるしね

今回の前哨戦だってその一環という可能性もある。」


「なるほどねー

そう思うと俺たちはデータをとるためのモルモットみたいな感じがしてきてあんまりいい気はしないな」


建前では異能力はそれを通して個々人の教育を行うなんて、大義名分をよく聞くけど大人たちはどこまで本気でそう考えてんだろうね

まあ、ぶっちゃけてしまえばE判定の俺個人にとってはどうせ異能力者同士の競争や戦いなんて蚊帳の外でしかないのだからどっちでもいい。

寧ろ、俺が心配しているのは・・・


「そうかなあ

それでも私からしたら異能もってるてだけですっごい羨ましいけどなあ

こんなすごいな能力、私も欲しかったわよ

それこそあの異能力者狩りを止めた雪峰さんみたいなね」


「・・・」


途端沈黙

あの日以来、陸斗は異能狩りを辞めてしまったらしく表立っては噂されなかったが結局、青月の教師や今回の騒動を知る人には異能力狩りをとめたのは雪峰紗希ということになってしまっている。

ただ、おかげで雪峰さんの表情は曇りっぱなしだ

馬鹿高木、今の状態なら煽りにしか聞こえないぞ。


「あ、ありがとうございます・・・」


ああ、明らかに引いたリアクションとそれに気が付かない高木

ほんとこの数学教師は雰囲気クラッシャーだ


「はあ、高木は一言余計ですよ

色んな意味で」


「ん?どういうこと?まあいいや

兎に角また、続報があれば来るわ

私はちょっとこれから野暮用があるからもう行くわね

柊君は頑張って成績を上げてね~」


伝えたいことはすべて伝え終わったのか

前哨戦に関するいくつかの資料を机に置いた高木はそのまま生徒会室を後にした。

嵐のような騒がしさで嵐のようにあっという間に消えてしまった。





高木(先生)の話はどうやら本当だったらしく、数日たって夕方のテレビで前哨戦の件は取り上げられることになった。

放課後、いつものように生徒会室に集まった俺たちは、テレビの電源を入れ地域のニュースが流れるのを待っていた。


「・・・こんにちはここからは地域のニュースをお伝えします。

まずは速報です。先ほど五校評議会が開かれ、今年度、新たに五校の生徒が競い合うイベントとして例年行っている五校祭に加え、新たに前哨戦を追加する、と正式に発表いたしました。

繰り返しお伝えします・・・」


事前に情報があったがテレビのローカルニュースで速報扱いになる程度にはこの前哨戦とやらの新イベントは注目されているようだった。


「前哨戦の件、ついにプレスにも出たんだな」


このニュースが今日流れることは事前に雪峰からは聞いていたが、いざニュースとして取り上げられると急に現実感が湧いてきたな。


「教育委員会は猛反発したらしいけれどね

高木先生の予想通り五校評議会やラボ、御天大学の関係者に押し切られたらしいわ」


「なんとなく力関係が見える話だな・・・」


「御天の教育現場では特に五校評議会はかなりの権力を持っているからね

五校を創立した五家の当主が名を連ねてるのも相まって、五校の先生方もなかなか面と向かっては反対しづらいみたい」


言っている内容とは対照的に雪峰は特に感慨も驚きもなさそうな様子だ。

お前もその権力集団の一員だろうにとも思ったが、彼女の場合はあえてそういう態度をとっている場合もあるから一概には言えないか。

一方の西條は、まだニュースに興味があるのかテレビを食い入るように見つめていた。


「それで、その前哨戦とやらは

具体的には何をするんだ?」


「宝探しを行うみたいだわ」


鈴を転がすような綺麗で芯のある声で雪峰は答えてくれた。


「宝探し?なんだそれ?」


「これを見て

今日の職員会議の資料、高木先生にもらったの」



言いながら雪峰は五校評議会が教師向けに作成したA4用紙をみせてくれた。

「取扱注意」と赤いハンコが押されたそこには先生向けの説明と注意事項それと今回の前哨戦のルールがかかれていた。


こまごましたルールは大量にあったが要約するとこうだ。


・前哨戦は御天のどこかに隠された宝探しをする


・お宝は見つけた人にプレゼントされる。お宝は今後、異能力者同士の戦闘を行う上でより有利になれるもの


・探し方は自由。一般の方に迷惑がかかるやり方でなければどんな手を使っても構わない。


・参加者には全員にタブレットを支給する。

タブレットには地図アプリが入っていて、他校の異能力者を倒すことで地図の靄が徐々になくなりお宝のあり方がわかるようになる。


・靄の消え方は倒した異能力者のレベルによって変わる。強い異能力者を倒せばより多くの靄が消える。もしもA判定の異能力者を倒すことができればかなり広範囲の靄が晴れる。


・D判定以上の異能力者にはスマートウォッチ型デバイスを支給。戦闘の際に使用する。

スマートウォッチはバイタルを測定しており、戦闘に敗れた生徒のスマートウォッチは赤く点灯しそれ以上の戦闘は続けることができない。


・お宝を見つけた生徒の所属している学校にはボーナスとして五校祭で有利になるように追加で基礎点を与える。



以上

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ