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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
邂逅篇
3/82

じゃあね、柊君


「・・・辛辣ね、残念だわ

いいチャンスになると思ってたんだけどな

ダメ元で言うけど、柊くんからもお願いできない?」




ニヤっとした小悪魔的な笑い方で今度は則武さんがこちらに大きな目を合わせてくる。



「何を?」



「私たち紅陽と手を組んで五校祭を一緒に戦わないかってこと

どうも冷たくあしらわれてばかりで全然取り合ってもらえないのよ」



「・・・則武さんが三年前に言った言葉も今さっき言われた言葉も俺はちゃんと覚えてる」




「ん、どういうこと?」




「もうこれ以上私たちの争いごとに顔をつっこまないでっていったんだろ?

ならもう俺はノータッチでいるよ

好きにしてくれ」




言いながら、できる限りに笑顔で返す。

本当は人外の異能にビビってたから顔は引きつってたかもしれないけど一応精いっぱいの反抗のつもり。


則武さんの顔は中学の頃から好きだけど、中身を知った今となってはこの可愛さにふらふらだまされなくなったのは成長なのかもしれないなんて思った。


それでもやっぱりビジュアルは今見ても破壊力満点だったが




「・・・それもそうね

わかったわ、なら柊君も来たことだし

これ以上のお願いはやめておくわ」



そう言い残すと則武さんは急いでポケットから携帯を取り出しいじり始めた。

しばらく携帯を耳に当てていた則武さんだったが

急に則武さんの横に扉サイズの光の長方形が出現した。


突然のことで驚いたがこれも誰かの異能なのだろうということは想像に難くない。

そして、その光の壁からひょこっと髪型がボブの目鼻立ちの整った女の子が首だけ顔を出した。


あや、やっと話し合い終わったー・・・?

て、うおー!!!

また派手にやっちゃったね~!

文がここまで異能を使うなんて珍しいねどうしたの」


首から上だけが見える少女がこの部屋の惨状を見て失笑気味に笑った。

ただその表情は驚きというよりも面白がっているように見える。


「今回は反省してるわ

デバイスもクローサーも壊しちゃったし。

でもどうせ異能課の職員が帳尻あわせるんでしょうけどね」



「だろうねー、とりあえず現行犯でなければ大丈夫っしょ。

しょうがない、今日のところは帰ろ?」


「そうするわ

雪峰さんの異能がどうやらまだ本当に目覚めてないみたいっていうのは今回の様子で知れたし」


「あ、そうなんだ

やっぱり噂は本当だったんだね」


「・・・それなら早く帰ってください!

今の則武さんと新城さんに話すことなんてこれ以上ありませんから」



すかさずうちの高校の副会長さんが言い放つ。

もはや目が完全に敵を見る目だった。



「完全に逆効果だったか

でも、もしもまた考え方が変わったら教えてね

いつでも大歓迎だから

私だってあなたたちとそんなバチバチ争いたいわけではないから

・・・新城」



「はーい、じゃあうちの高校にかえりまーす!

今日はお邪魔しましたー

この教室については異能課にでも連絡しとくからすぐ直ると思うから安心してね。

まあまた会うときがあればその時にはよろしくね」


「じゃあね、柊君」


そう言い残すと俺に一瞥だけ向けた則武さんは光の壁の中に向かって歩いていきそのまま消えていった。

丸焦げになった生徒会室と返り討ちにあってところどころ制服の燃えた女の子と放心状態の女の子を残して



なるほどあの新城とかいう子も異能持ちか


則武さんと一緒に来てたところをみるとあの子も紅陽の生徒会役員で、移動系の異能持ちだってわけか



そんなことをぼんやり考えながら、残された我が青月高校生徒会の役員お二人と目を合わせる。



初めはやっと嵐の元凶が帰った安心感からくる放心状態で二人ともお互いを抱きしめたままあくがれていたようだが



次第にこっちに意識が戻ってきたらしい。



そしてこれが不本意ながらも俺が、五校の争いに首を突っ込まなくなってしまったきっかけだった。



あれから数日後

青月高校生徒会室爆破事件、と名付けられた先日の騒動は、次の日には学校で知らない者はいないビッグニュースになっていた。


ここまで非日常な出来事が起きれば、学校中がその話題で持ちきりなるのは必然なわけだが、俺があの場に居たとは自己申告しなかったしする場もないので周りの生徒にはバレていないようだ。



なんだかんだで高校生活も無事2年目に突入するが、相変わらず俺の高校生活は1対100ぐらいで水割りしたカルピスのままだ。


無駄に注目を浴びなくて済んだという意味では影の薄さがいいように働いたわけであるが

逆に影が薄いがゆえに、昨日生徒会室で爆発があったという噂は流れていようとも友達のほぼいない俺にはそれ以上の詳しい情報は何にも流れてこなかった。

なんか自分で言ってて悲しくなるな。


あの日、事件の直後に教師からの事情聴取はあったものの

不思議なことにその後の進展については音沙汰なし。警察沙汰になるような気配も皆無だった。


噂だけが流れ、学校側からの公式な説明がないことを不気味に感じつつ

そんな現状にすっきりしないもやもやを感じながらいつものように空虚な放課後を迎え、いつも通り寄り道せずにぼっちに直帰を決めてやろうと思い廊下に出ると


見覚えのある小柄な生徒と長身でスタイルのいい女子生徒が俺の前にやってきた。


「あの、お久しぶり?ですよね

柊くんは貴方でお間違いないですか?」


「ええ、そうですけど・・・

お久しぶりです。」


美形すぎて一目見ただけでわかる。うち(青月)の高校の生徒会長と副会長さまだ。

クラスも違うし見かけたのはあの事件以来だと思う。

俺に何の用、と言いかけたが先に向こうから要件を提示してきた。


「えっと、あの、先日の一件についてちょっとお話したいことがあって・・・もしよかったらこれからご飯でもいかがでしょうか?」



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