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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
異能力者狩篇
20/82

答えは一択、ノーしかありえません


まずい、せめて高木先生ぐらいにはここに来る前に状況を説明して加勢を頼むべきだったと、今更ながら後悔した。



「まじ?

・・・則武を見た時も大概だったけど、お前も変わったな陸斗

いつの間に人間やめてたんだよ」


「どこぞのまるで成長していないもやしよりかは変わったな」


「はいはい

そういえばこういう姑息な手がお前は得意だったな昔から

そういう意味では変わってねーか」


とりあえず強気には振る舞ってみるが

これじゃ、ただ丸腰のままのこのこ来ただけでほぼ何の役にも立ってないじゃないか。

なんのために来たんだ、俺。



「うるせーよ

にしても想、お前未だにE判定らしいな

やっぱ黄輝には来なくてよかったなお前、来てたら今頃ただのお荷物だぞ」


こいつも則武さんみたいなこと言ってくるんだな。


「ほっとけ、てかなんで知ってんだよ

そもそもお前がいる時点で黄輝に進学するつもりは1ミリもねーよ」


「こっちから願い下げだっての・・・

まあ、想のことはどうでもいい。

・・・それでどうするんだ、副会長、素直に聞き入れるのかそれとも此処で戦うか俺と?」


西條の中で答えは初めから決まっていたようだ

逡巡することなく力強く返答した。


「答えは一択、ノーしかありえません。

倒さないと此処から出れないのなら、貴方を倒します!」


「・・・そーか、まあそうこないとなぁ

ならクローサー見せろよ

俺が改造して100%の力を出せるようにしてやるよ」


「・・・え、どうしてそんなことをするのですか?」


予想外な返答に、西條は面食らってしまったようでもともと大きな目を更に見開かせていた。

敵に塩を送るような前をするつもりらしい陸斗は、相変わらず余裕の態度を崩さず話を続ける。


「ハンデ持ちを倒してもつまんねーだろ

だから、俺と戦うやつはな、クローサーを解除して全力で来てもらうんだ

そのうえで潰す

まあ俺に負けたらよりもう一度コードを書き換えて結局より強いクローサーを着けてもらうことになるんだがな」


言われてみれば陸斗がその気なら不意打ちでクローサーをつけることもできただろうにこういうところは正々堂々としているんだな。

中学の時を思い出すとそういう性格だったかもなこいつは。


「それじゃあ、山縣さんのクローサーはどういったいどうされるんですか?・・・」


「俺か?俺はそもそもそんなおもちゃ着けてねーよ

人のクローサーを書きかえてきてんだからその逆もまた然りだろ

俺のクローサーは最早クローサーとして機能してねえし捨てたわ

クローサーなんざラボにバレなきゃつける義務ねーしな

・・・さて、じゃあ副会長、クローサーを見せてくれ」


「ええ!?いやそれは・・」


「形を見せてくれねーと、型番が分からないからな

それともそんなに嫌なら別にクローサーをつけたままで戦ってもいいけどな」


「いや・・・仕方ないです・・・

恥ずかしいですけど・・・」


赤面し、しばらく思い悩んでいた西條だが

諦めたようにスカートを捲し上げ膝上あたりの太ももに巻きつけたデバイスを見せた。

普通の生徒はクローサーは人目のつかないところへ着けるものだが

にしても結構きわどいところに着けてるんだな西條のやつ。

目を逸らさないといけないのはわかっているのだがついつい釘付けになってしまうが、とりあえず平静を装っておいた。

雪峰は勘がいいから速攻でバレてそうだが。


「ふーん、その型か」


女の子の太ももの付け根が見えているのに、そのことには何のいじりもなく

陸斗がデバイスの型を確認して数秒、デバイスに付いていた明りが一瞬で落ちた。


「え?いったい何が起きたんですか?」


「遠隔操作で強制終了させた

これでクローサーは機能しないぜ

じゃあやるか、本気で来いよ」


「おお、確かに感覚が久しぶりに戻ってきました

よし!望むところです!

紗希・・・」


「勿論、いいよ」


「あ、えっと、柊はしばらくこっち見ないでくださいね」


「いや、なんでっ・・・」


「ごめんなさい、失礼します。」


「っん・・・」


「千織、あまり無理はしちゃだめだからね?」


「大丈夫です!任せてください!」


「いやいや、何やってんだよ」


俺にこっち見るなというや否や西條は、雪峰の首元に口を這わせて噛みついた。

少し距離があったので細部までは見えなかったが色々と衝撃的な

見るなって言われてもこんな衝撃的な展開見ないほうが無理があるだろ。


「見るなっていったのに・・・

仕方にないです、緊急事態ですからね

・・・ただ、これでもう準備万端です。」


西條の顔に狼のような耳としっぽがついた。


「本気で戦うのは久しぶりです。

力がセーブできないんで怪我しても知らないですからね!」


雪峰の血をほのかに唇に残したまま西條は不敵な笑みで笑った。


これから戦えることが心底楽しみなのか

ニタニタという効果音がピッタリの表情で陸斗もパーカーを脱いで投げ捨てていた。


「・・・お互いにな」


西條が目を閉じて短く息を吐く

しばらくして目を見開いたその瞬間、西條の姿が消えた

いや正確に言えば一瞬で陸斗の目の前までワープしたみたいに移動していた。

遅れて西條が移動したことによる風圧を感じる。

瞬間移動した西條はそのまま拳をグーにして思い切り陸斗をぶん殴ろうとしていた。

この間1秒もない

いや、1秒どころかコンマ数秒だろう。

目で追うだけで精いっぱいだ。


「・・・っち、なるほどな」


西條の思い切り振りかぶった拳は陸斗の顔面を捉えると思ったのだが・・・


「・・・!?

デバイスですか・・・姑息な真似を!」


「・・・うるせえな」


陸斗がシールド型デバイスを発動させたことで西條の拳が届く寸前に2人の間に薄い黄色の壁が現出した。

どうやら回避は間に合わない判断した陸斗が自分の持っているシールド型デバイスを展開させて西條の攻撃を防いだようだった。

西條のパンチはシールドに思い切り叩きつけられた。

シールドはかなりの強度を誇っているはずなのだが、西條の拳の衝撃で小刻みに震えていた。


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