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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
異能力者狩篇
19/82

黄輝高校生徒会会長、山縣陸斗・・・だよな


「そりゃデバイスで呼ばれたからな」


「この住宅街に入った途端、急に道に迷ったみたいになって気が付いたらこの公園にたどり着いてしまいました。

しかも夜みたいに周りは真っ暗で空も赤いし、どこなんですか此処?」


「俺が聞きたいわ

てか、俺もあのデバイスがなけりゃ此処にはこれなかったと思う

ありがとな、雪峰」


「え、ええ・・・

柊もすぐ来てくれてありがとう」


どこか心ここにあらずといった感じのまま雪峰が返事する。

今日は一日本当に元気がないようだ。

気持ちはわかる、今日は確実に厄日だろうな、俺も含めて。


「それでこの方は柊のお知り合いの方ですか?」


「そうだな、こいつは中学時代、バスケ部でチームメイトだったんだ・・・

黄輝高校生徒会会長、山縣陸斗・・・だよな」


元御天中学バスケ部副キャプテン正ポイントガード

中学時代のチームメイトで中学時代の仲良しグループLARMSラームズの一員と2年ぶりに再会していた。


「・・・ふん」


急に俺に紹介されて困惑したのかバツの悪そうな顔を陸斗がする。

そもそも俺の登場自体予想外だったのだろう。

いい気味だ。更に煽りたくなる。


「異能力者狩りなんて物騒なこと、どんな奴がやってんのか想像もつかなかったが

なるほど、お前なら納得だわ陸斗」


「・・・へえ、異能力者狩りなんて呼ばれてんのか、今知ったわ」


「らしいぞ、で、今回はうちの高校の副会長を狩るつもりだったのか

B判定だし」


「いや、こんな雑魚には興味ないわ」


「誰が雑魚ですか!」


「うっせえな・・・

さっきから言ってるが、キンキンした声で怒鳴る女は大嫌いだから、もう少し黙れねえのか、おい」


「誰もあなたの好みなんて聞いてないです!早くここから出してください!」


「ちっ・・・はあ」


やってられないな、と小声で陸斗が言ったのがかすかに聞こえたような気がした。

糞まじめの西條と手を抜けるところは徹底的に手を抜く陸斗では絶望的に性格が合わないだろうな、というのはこの短時間ですでに察せられた。


「・・・俺の今日の目当ては、会長さん、あんただ」


陸斗が白くて細長い指を雪峰に向かって指した。


「・・・私?」


陸斗に話を振られてずっと下を向いていた雪峰が30度ほど上に顔の角度を向ける。



「ああ・・・噂を聞いたんだよ

青月の会長は未だにD判定てな」


D判定という言葉に雪峰の表情が激しく曇ったのを俺は見逃さなかった。

思わずまた顔を下へそむけてしまったということも

そりゃ気にしないわけがない。


「それなら、今ここでサクッとつぶしたほうが色々有利だろ

今後の五校祭とかな」


陸斗は邪悪な機関の若手幹部みたいな笑顔を俺たちに向けてきた。

相変わらず顔は整ってるが、人相の悪い男だ。

そしてどうやら則武さんとは違いこいつは明確な敵意を持って雪峰に近づいてきたようだ。

陸斗の発言後、すぐに雪峰も西条も身構えてしまう。


「・・・潰すってどういうつもりだ?」


「この特製クローサーを付けてもらう

いい首輪だろ?」


「見たことない形状のクローサーですね」


陸斗の右手には真っ黒でゴツめのチョーカーのようなものが握られている。

確かに俺たちの知っているクローサーとは色も形も違っていた。


「このクローサーは超強力でな

例えA判定の異能持ちでもバニラ(E判定)とほぼ同じになるほど異能の出力が下がるという謳い文句の特注品だ

俺が異能でクローサーのコードを書き換えるのとは訳が違うぜ

これを青月の会長さんには五校祭が終わるまで着け続けてもらう。

これで、もし仮にお前がここからA判定に目覚めたとしてもE判定のままこの1年を終えるってわけだ。」


「そんな話乗れるわけありません!

そもそも、なんでそんなもの一介の高校生が持っているんですか!」


「・・・そういやこいつの父さんは確か、もともと医者で今は御天大学発のベンチャー企業立ち上げてたな

デバイスの開発とかの会社だったような」


「ち、おい、根暗、余計なこと吹きこんじゃねーよ!」


陸斗の父親の企業は大学発ベンチャーだから未央には頭が上がらなかったんだっけか

今日のこと未央にでもチクってやろうか

まあ今はそんなことどうでもいい。


「私にそれを付けさせて五校祭で異能が使えないようにする、てことね」


「ああ、そうすりゃ五校祭で青月が優勝することはほぼあり得ないだろ?

ライバルが減るわけだ。

勿論、嫌なら断ればいい、実力でな」


「そんな提案乗れるわけないじゃないですか!!!」


「そうだな、それが嫌ならここで俺に潰されて五校祭が終わるまで入院生活でもいいんだぜ!

それか、異能力者狩りらしくこれからも狩りまくってお前らの学校のB判定全員狩ってクローサーを書き換えてやってもいいけどな」


ここで遅れて現れたヒーローみたいに颯爽と陸斗こいつを潰せば雪峰と西條の2人からモテモテ間違いなし何だろうけど

ただ残念ながら俺はE判定、デバイスすら扱えないような体たらくだから、はっきり言って戦闘面では何の役にも立たない。


「とりあえず学校に連絡を・・・」


そんな無力な俺にできることといえば外に助けを求めることぐらいだ。

陸斗と話しても埒があきそうにないしな、さっさと青月の先生にここに来てもらおう。


「ああ、そういや、異能の発現は中学時代だったが、お前の前で使ったのは初めてか」


「なんだこれ、圏外になってる・・・」


携帯を取り出して画面を見たが、待ち受け画面には「圏外」の文字。

当然、青月に電話をしてみたものの繋がらない。

どうやらこの空間は外部との通信ができないようだ。


「俺の異能は電気・電波を体内で作り出し操作する異能だ。

ちなみにA判定。

この一帯は俺が妨害電波を出しているから携帯は繋がらねえぞ」




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