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ハイスクールコンプレックス  作者: 折原
邂逅篇
11/82

俺も初言いだからな


「勿論そりゃ、勉強以外でもいいですよ!

基本的に異能は突出した能力を持つ人に発現しやすいんですから!」



西條の言うように、頭が良かったり運動神経が良かったりなにかしら人より優れた能力を持っている人間はより強い異能を持ちやすい。相関関係があるのだ。

異能を強化させたいのであれば沢山勉強していい成績を取る、というのが一番手っ取り早い方法だというのはよく言われているしな。


当然いい成績を取れば必ず強い異能を持てるとは限らない

が強い異能を持ちたい意欲ある生徒はかなり勉強や部活を頑張ったりするので結果的に御天の高校生の平均学力や運動能力は一般的な高校生よりはるかに高い、というのは御天に住む人間とっては周知の事実だった。


「おい、生徒会の応援をするとは言ったが・・・

勉強をする、とは言ってないぞ・・・」


とはいえ、俺には勿論そんな向上心なんてかけらもない

俺が生徒会に協力することと俺が勉強することは何の相関もないだろうに。



「あの日、柊は「俺がA判定になって、私たちを助けてやる!」て約束してくれましたじゃないですかー

それにもしも私たちとの活動のせいでこれ以上成績が下がってしまうなんてことになったらきっと保護者の方も悲しみます」


「いや、そんなこと1ミリも言ってねーよ

親が俺の成績を気にしている件については反論のしようもないが・・・」


実際おかんはここ最近なお一層勉強についていけなくなっていう俺に対してかなり強めに勉強しろと言ってきているのは事実としてある。


「そういえば前から気になってたのだけど、柊の家ってどのあたりなの

いつも帰ってる方向が私たちと違うから気になってたの」


ここ最近毎日のようしている俺と西條の言い合いにも慣れてしまったのか

いつの間にか書類の処理を終えた雪峰が話を遮るようにこちらを向いて言った。

どうでもいいけど俺は雪峰さんのけだるげというか退屈そうにしている顔が性癖だし、大好きだ。

本人の前では口が裂けても言えないが。


「実家の話か?

俺の家はどっちかというと紅陽や黄輝高校のほうが近いんだ

だから今は一人暮らしさせてもらってる」


中央中学出身の俺にとっては地理的には紅陽や黄輝へ進学するのが普通なわけであるが,

どちらの高校の生徒会長もLARMSラームズのメンバーで顔を知ってるなんてレベルでないぐらいに知っている。

五校とのかかわりを断ちたい俺と五校という進学校へ入って勉強を頑張ってもらいたい親との利害関係が一致した結果、俺は今、青月にいるってわけだ。


中学の時も成績が壊滅的すぎて高校受験期には黄輝高校の現会長様には色々とお世話になってたわけだが。


「え!そうなんですか!初耳です!」


「だろうな、俺も初言いだからな」


たまにこの部屋でずっと勉強して一緒に帰ることはあれど、家まで一緒に帰ったことはなかったしな。


「柊って一人暮らしだったんだ

高校生で一人暮らしなんて珍しいね

そりゃ遅刻も多くなるわけか」


「そういえば、柊は遅刻も多いって、B組の友達から聞きましたよ!

そういうところもちゃんとしないと!」


「わかった、わかった・・・って、雪峰もなにもこのタイミングで言わなくてもいいだろ」


「ふふ・・・ごめんなさいね」


悪戯っぽい笑顔でそういって髪を雪峰が触る。

絶対確信犯だったろ・・・

くそ、かわいいから許すけど


「御天でもトップクラスの進学校であるうちの高校(青月)でそれなりに上位の成績がキープ出来たらという条件付きで今一人暮らししているってわけ。

遅刻に関してはこれから改善させます」


一人暮らしを初めて学んだことその1

朝起きる難易度が実家の10倍になった。

そもそも誰も起こしてくれないという時点で起きれなかったら即遅刻確定だしな。

親のありがたみを知ったわ。


「え、上位の成績?

なら尚更勉強しないとまずいんじゃないの?」


西條に渡したはずの俺の模試の結果はいつの間にか雪峰の机の上にあった。

そして、俺の成績が上位とはほど遠いことを認識したうえでの発言だということは一瞬で察した。


「ぐうの音もでない正論だな

・・・残念ながらここ最近は週末に実家帰るたびおかんにめちゃ怒られている」


「もしも成績落ちたらどうなるの?」


「正直言うと、もう既に成績が悪いから一人暮らし辞めさせるとか、塾へ通わせるとか、最悪の場合は実家に戻って学校も転校させるとか言われてる」


塾については割と本気で検討しているらしく、おかんは青月や実家周辺の塾の評判をネットで漁っているようだった。

俺の自由を謳歌した友達のいないぼっちの一人暮らしは現状黄色信号で、このままいけば終わりを無事迎えそうである。


「転校!?

それだけはダメです!折角こうして知り合えたのに」


先ほどまでの俺への怒りから打って変わって

ここまで驚きから悲しみの表情のふり幅を表情で表現できる友達は西條が確実に一番だな、と思うぐらいの表情変化で西條がそういう。

赤ちゃんとか小動物系のペットみたいな感じの子だなこの子。

そう思えば憎たらしいところもあるけど西條もいい奴だし可愛いとは思う。

線の細い色素薄い系の見た目だし。


「そうだなそれだけは勘弁してくれておかんにお願いしてるよ」


「やっぱり柊には、勉強を頑張ってもらうしかないですね・・・

それに、そもそも異能力を発現させたいのなら勉強が一番効果があるのは常識です!

勉強やスポーツを頑張るていうのは、異能発現方法の王道中の王道なのに

それを放棄するなんて絶対に許されません!

それでも生徒会準メンバーですか!」


いやそんな悪いことしてますかね俺

そもそも準メンバーてなんだよ、西條にたまに言われるけど俺の立ち位置てどこなんだろ。

生徒会の陰キャ担当とかでいいんかな。

西條は滅茶苦茶いい子で頑張り屋なのは勿論わかってるけど、それを他人に押し付けるのは違うんだよ、なんて諭してあげたい気分だ。


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